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夕 立(ゆうだち) 夕 立(ゆうだち) 美姉妹といっしょ♥~番外編
 
「ねえ宏、今度の金曜か土曜、何か予定入ってる?」

 千恵が顔をほんのりと赤らめ、手に持った雑誌で顔半分を隠しながら上目遣いに聞いて来た。
 宏は夏休みの宿題を片付けている手を止め、首だけで振り返る。

「今度の週末? ん~~~~」

 壁に掛かったカレンダーに目を向けて週末は何も書き込まれていない事を確認し、暫らく考えた後、宏は身体ごと振り向いて満面の笑みを浮かべる。

「空いてるよ。何の予定も無し♪ ……で、どこ行く?」

 宏は先回りして千恵に尋ねる。
 果たして千恵は一瞬大きく目を見開いたもののすぐに破顔し、向日葵の様な弾ける笑顔に変化する。

「あはっ♪ 判っちゃった? あのね、海に、行かない? 今年はまだ泳いでないし……宏の受験勉強の骨休みに好いかな、と思って♪ それに、来年はあたいが大学受験で行けるかどうか判んないから、今のうちに行きたいな~、なんて思ったんだけど」

 千恵は手にした雑誌を膝の上に置き、ちゃぶ台越しに宏と向き合う形になる。

「勉強はロクにしてないけど……うん、行こうっ! こうも暑い日が続いてたから、思いっ切り泳ぎたかったんだ♪」

 と、ここで宏はハタと気付く。

「千恵姉、若姉はいいの? 今、インターハイで家(うち)を空けてるんだから、戻ってから一緒に……」

「ううんっ! いいのっ! あ……ほら、来週になると、もうクラゲが出て泳げなくなるじゃない? それに、試合とはいえあの娘(こ)だけ北海道に行ってるんだもん、あたい達が地元の海で泳いだって、バチは当たらないわっ」

 宏の言葉を遮る様に、何故か慌てて言い訳(?)を始める千恵。
 いぶかしんだ宏は千恵の大きな瞳をじ~~~っ、と覗き込む。

「あ……、あはは~~……」

 宏の探る様な視線をついっ、と外し、ポリポリと頬を掻く千恵に宏は苦笑する。

「つまり、若姉がいない間に、二人っきりで海に行きたい、と」

 身も蓋も無くズバリと本心を突かれ、千恵の顔がボンッ、と音を立てて真っ赤になる。
 初心で純情な千恵は表立ってデートに誘う事など出来ないので、いつも遠回しに予定を伺い、何かと理由付けして宏を誘うのだ。

「~~~~~~っっ」

 耳まで赤く染めたまま俯く千恵に、宏が改めて言葉を掛ける。

「千恵姉、俺、海で泳ぎたいんだけど一人で行くのも何だし、もし好かったら今度の金曜日、一緒に行って貰えると嬉しいんだけど、どうかな?」

 宏から誘った事にして千恵を見つめる。

「あ……、う、うんっ!!」

 千恵は雑誌を放り投げ、万歳をして歓びを表した。

「……ところで千恵姉? 今更だけど、何でここにいるの? 自分の部屋でくつろいでた方が好くない?」

 宏は当たり前の様な顔をして宏の部屋でリラックスしていた千恵に改めて聞いてみる。
 千恵は自宅での夕食後、隣の家に住む宏の部屋に夏休みの宿題を手伝うという名目で訪ねて来た(宏にはただ押し掛けて来た様に見えた)のだが、実際は宏の本棚から漫画を読み漁り、腹這いになって雑誌を読んだりと、手伝う所か邪魔しに来たかの様な有様だったのだ。
 すると千恵のトレードマークでもあるロングポニーテールが小さくフルフルと揺れ、どんどん千恵が小さくなる。

「あ……いや、だから、海に誘いに来た……じゃなくってっ! んと、あの娘がいないと妙に部屋が静かで……。だからホラッ! あんたも寂しいんじゃ無いかと思ってっ……。でも、ある意味チャンスかな、とも……」

 支離滅裂に言い訳する千恵の声が段々小さくなり、仕舞いには何も聞こえなくなる。
 千恵とて、妹が不在の時に抜け駆けする様なマネはしたくはないのだが、いつも宏は誰かしら(晶、優、若菜の事だ)と一緒なので千恵と宏が二人っきりで逢って話す機会が殆ど無いのが現状だった。
 そんな折、若菜がインターハイ出場の為に今日から五日間家を空けるという。
 つまり、その間は宏と二人っきりという状態(晶と優という二人の従姉はこの際無視した)になるのだ。
 このチャンス(?)に、いくら初心で純情可憐な千恵と言えども、気になる(それもかなり気になる、限りなく好きに近い)男の子と二人っきりになりたい、何処かに出掛けたい、と願うのは乙女心として至極当然の事だった。
 そこでこのチャンスを生かすべく、海に誘いに宏の部屋まで押し掛けて来た、と言うのが本当の所だったのだ。

「……千恵姉」

 宏は千恵の健気な本心を垣間見て思わず感動の呟きを漏らす。
 そこまで想ってくれているのかと思うと、この場で「好きだ」と告白したくなってしまうが、他三人の顔が浮かんでしまうので言葉に出せない。
 千恵はミニスカートなのに立膝になり、顔を埋(うず)めて上目遣いで宏の顔を窺って来る。
 若菜を差し置いて二人っきりで出掛けたいと思った自分を許してくれるのか不安だったのだ。

「そ、それじゃぁ……金曜の朝、九時に迎えに行くよ。一緒に海へ行こう♪」

 赤い顔をしながら視線を逸らし、笑顔で約束してくれた宏に千恵はこの日一番の幸せを感じた。
 ……千恵の立膝の間、腿のつけ根にピンク色の布が見えていた事は宏だけの秘密だった。


         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「うっわ~~~っ!! 何処までも青い空! まぁ~るい水平線! 澄み切った海! 真っ白な雲! 焼けた砂浜!」

 宏は砂山の天辺から左右数キロに亘る白く、真っ直ぐな浜辺を見渡し、思いっ切り伸びをする。

「晴れて好かったわ~。正に海水浴日和ね♪」

 その隣で千恵が嬉しそうに目を細め、宏を見つめる。
 宏達は街中にあるメジャーな海水浴場を避け、街外れにある地元民しか行かない砂浜に来ていた。
 浜茶屋は二軒しか無く(しかもボロい)、駐車場も無い(最寄り駅まで徒歩三十分以上)お陰で海水浴シーズン真っ只中なのに人影はまばらで、人目を忍んで(?)の海水浴デートにはもってこいの環境だった。

「それじゃ、俺、ビーチパラソル借りて来るから、千恵姉は着替えてきていいよ」

「ううん、大丈夫♥ 一緒に行こう♪」

 心から愉しそうな笑顔に宏の心も嬉しくなる。
 千恵のこんなにも嬉しそうな、弾ける笑顔を見るのは初めてかもしれない。
 二人は顔なじみの浜茶屋の主人(千恵の三軒隣に住んでいたりする)から冷やかしの声を浴びる中、特別大きなパラソルをタダで借りると早速陣地の設営にかかる。
 パラソルを挿し、レジャーシートを拡げ、四隅をクーラーボックスと海水浴セット(水中眼鏡、足ヒレ、シュノーケルの素潜り三点セットとバスタオル、日焼け止めなどの小物類)の詰まったバッグ、昼食用のバスケットを置くとあっという間に狭いながらも二人だけの空間が完成した。

「それじゃ、着替えて……って、千恵姉?」

 宏はいつまでも着替えに行かない千恵に首を傾げる。
 シートに横座りした今日の千恵は、いつもの高い位置で縛ったポニーテール(それでも腰まで髪が届く)に真っ白なノースリーブのプリントTシャツとパンツという、いかにも夏らしい格好をしている。

「ムフッ♪」

 何故か千恵は妖しい流し目を宏にくれるとTシャツをおもむろに脱ぎ始める。

「はわわっ、ち、千恵姉っ、なっ、ななな、なにをっ!!」

 まだ午前の陽射しがさんさんと降り注ぎ、周りには少ないとはいえ人が何人かいる状況の中、千恵は宏の目を見つめながらゆっくりと裾をたくし上げる。
 透き通る様な白い肌に縦長のお臍が露(あらわ)になり、白いブラのアンダーラインが見えて来る。
 十五歳、中学三年生の宏には十七歳、高校二年生になる千恵の、女性の生脱ぎは余りにも刺激が強過ぎた。

「フフッ♪」

 千恵の含み笑いと同時に勢い良くシャツを脱ぎ捨てた千恵はチロッ、と舌を出し、悪戯っぽい目で宏を見つめた。

「驚いた? 家(うち)からもう、着て来たの♪」

 千恵は既に服の下に白いビキニの水着を着ていたのだ。
 家(うち)からこの海まで歩いて三十分という距離の近さが成せる技だった。

「~~~~~~~~っっっ!!!」

 いきなりな展開に顔を真っ赤に染め、前屈みになった宏は無言で抗議する。
 そんな宏の態度が可笑しかったのか千恵は続けて腰を浮かせ、パンツを脱ぎ始める。
 宏の反応を愉しむかの様に、ゆっくりと、少しずつ、腰から太腿、膝へと下ろしてゆくと、その度にお腹と同じ肌色が徐々に露になり、同時に少しずつ桜色に色付いてもゆく。
 細いウェスト、横に張った腰、丸くて大きなお尻、ムッチリとした太腿……。

(……ごくりっ)

 そのいずれも宏を大いに興奮させ、ズボンの中でペニスがどんどん大きく成長する。
 千恵自身、こんなに男性の目を意識して服を脱ぐのは生まれて初めてだ。
 恥ずかしくてホントは顔も上げられない……でも、せっかく二人っきりになれたのだ。

(少しくらい、冒険したっていいよね……♪)

 千恵は宏の熱い、突き刺す様な視線に全身が熱くなり、羞恥に耐えながらようやく水着姿になる。

「「ふう~~~~」」

 互いが同時に溜息を付き、場の空気が動き出す。
 宏は千恵に抗議しようとするも、股間がモッコリと勃ち上がっているので慌ててバスタオルで隠す。

「千恵姉、心臓に悪いからそんなイタズラ無しにしようよ~」

「あらっ、その前に言う事があるんじゃない?」

 千恵は腰に手を当て、どうよ、と白いビキニ(紐パンタイプ)に包まれた肢体を惜しげも無く晒す。
 初心な千恵からは考えられない積極性だ。
 それ位、二人っきりになれた事が嬉しかったのだ。

「あと、えと……うん、綺麗だ。千恵姉、すっごく綺麗だよ♪ 普段の千恵姉も素敵だけど、今日は一段と綺麗だ」

「え……、あ……、うん、ありがと……じゃなくてっ! 水着よ水着! 似合ってるかどうかを聞いてるのっ!」

 宏の素直な感想に大いに照れた千恵は内心、顔が破顔するのが判った。
 耳まで赤くなった宏のこの言葉を聴けただけで、小遣いをはたいて水着を新調し、冒険心を奮い立たせて挑発(?)した甲斐があったというものだ。

「は……、水着? あ、そうか。水着ね、うん、好く似合ってて、セクシーでかっこいいよ♪」

 宏はまともに千恵を見られない。
 どうして水着だと判っていても、こうも色っぽく、艶めかしく見えるのだろう。
 それに白い水着よりも、その下の白い素肌に目がどうしても吸い寄せられてしまうのだ。
 股間の疼きが収まるまでの暫らくの間、宏は立ち上がる事が出来なかった。

「千恵姉、ぼちぼち潜ろうか?」

 波打ち際で追い駆けっこに興じ、海水を掛け合い、砂で城を築き、ジョーズ君(ビニール製で長さ二メートル、鮫の形をしている)に掴まって波に漂ったりと、身体を海に慣れさせてから宏は千恵に声を掛ける。

「そうね、身体も解(ほぐ)れたし、そろそろ良いかな♪」

 二人は海で普通に泳ぐよりも潜っている方が断然多かったりする位、素潜りにハマっているのだ。
 何より、青い海の中から見上げる水面の光り輝く波の模様を眺めるのが最高に素晴らしく、まるで宇宙に浮かんでいるかの様な、万華鏡の中にいるかの様な気分にさせてくれるのだ。

「……よし、と。千恵姉、準備出来た?」

「OKよ♪ さ、行こう♪」 

 水中眼鏡にシュノーケルをセットした二人は膝まで海に浸かると足ヒレを着け、沖に向けて泳ぎだす。
 沖合い百メートル近くまで進んでから(この浜は遠浅なのだ)千恵の首まで浸かる深さで一旦立ち止まり、浜の方向を見て自分の位置と基準点を確認する。
 この場所から海岸線と平行に、浜方向が安全に愉しめる潜水エリアだ。
 そうしないと浮かび上がった時に足が立たず、波で位置判断も出来なくなるからだ。
 千恵も自分達の陣地を浜に見つけ、宏に頷く。

「それじゃ、宏♪」

「行こうか♪」

 千恵に続いて宏も大きく息を吸い込むと、勢い付けて海底を目指す。
 海面から精々(せいぜい)百二十センチ程度の深さなのだが、潜る分には十分愉しめる。
 海底まで潜ってゆくと、波で模様の付いた海底の砂、砂と同じ色をした魚の群れや貝などが海面から見るよりも鮮明に目に飛び込んで来る。

(千恵姉、ほら、あそこに魚の群れだ♪ 向こうにもいっぱいいる♪)

(うん、凄く綺麗……♪ あっ! カニがいる~~っ♪)

 身振り手振りで意思を伝え合う二人。
 あるいは無意識に、目線だけで会話をしているのかも、しれない。
 およそ一分近く潜っては海面に浮上し、息継ぎと位置確認も忘れない。
 海底を潜っていると、潮の流れに乗って意外な程(百メートル単位で)流される事が良くあるのだ。
 だから潜る前に基準点を決めておかないと、どんどん流されても気付かない事になってしまう。

(千恵姉、まるで人魚みたいだ……♪)

 宏は海底で仰向けに泳ぎながら、水面に浮かんでこちらを見ている千恵の姿を見つめる。
 キラキラと煌く光の中で美しい人魚がシルエットとなり、優雅に波間を漂っている様にしか見えない。
 小さい頭に長い髪、程好く膨らんだ双丘にキュッ、とくびれた細い腰、丸く、大きく張り出したお尻のラインから続く長く、ムッチリとした太腿と細い足首。
 その艶やかな姿に、艶めかしい動きに宏は思わず生唾を飲み込んでしまう。

(宏ったら、いつの間に逞しくなったのかしら……)

 千恵は海面に漂いながら海底を仰向けで泳ぐ宏の身体に目が釘付けになる。
 千恵の知っている宏はもっと痩せていて、もっと筋トレしなさいよ、と言いたくなる身体をしていた。
 でも今は肩や腕に筋肉が付き、腹筋も付いて全体にバランスが取れた身体をしている。
 部活で陸上短距離をしている賜物かもしれない。
 全身に目を走らせていた千恵はビキニパンツの股間の膨らみで目が止まってしまい、思わず水面から顔を上げてしまう。
 顔を赤らめ、立ち止まった千恵の隣に宏が急浮上する。

「千恵姉? 大丈夫? 海水を吸っちゃった?」

 宏が優しく声を掛けるが、男(宏)の股間を意識した千恵は直ぐには反応出来ない。
 パクパクと口を開閉させるのが精一杯だった。

「よし、お昼にしよう♪ もう、ハラ減っちゃって」

 宏は千恵の赤ら顔を見て、深くは追求せずに一緒に浜へ向かう。
 この時、二人は自然と手を繋いでいる事に全く気付かなかった。

「これ、みんな千恵姉が作ったの!? 凄いや♪」

 目の前には鳥の唐揚げ、肉じゃが、フライドポテト、ポテトサラダなど、宏の好物が所狭しと並んでいる。

「ありがとう! 千恵姉、とっても美味しそうだ♪ いただきますっ!!」

 もの凄い速さでおかずが無くなってゆくのを千恵は嬉しそうに眺め、一緒に箸を伸ばす。
 普段家で一緒に夕食を共にする事も多々あるが、今日は特に美味しく感じる。
 夏の海の、恋の魔術(マジック)かもしれない。

「ふぅ~~~、食べた食べた♪」

 ランチを全て平らげ、食休みに横になろうとした所、千恵が顔を真っ赤に染めながら隣に寄って来た。
 黙ったまま正座し、膝上をポンポンと叩く。
 どうやらここに頭を載せろといっているらしい。

「……いいの?」

 宏の照れた顔に、コクンと頷く千恵。
 そっと千恵の膝(というよりも太腿)に宏の頭が載った瞬間、二人共顔が真っ赤っかになる。
 宏は柔らかくも弾力のある枕に心ときめき、その余りにも心地好い温もりと感触に瞼が下がって来る。

「おやすみ、宏♪ ゆっくり休んでね♪」

 頭の重みが意外な程心地好く、千恵は宏を海に誘って好かった、心底そう思った。
 千恵の頭の片隅にちょっぴり、ほんのちょっぴりだけ若菜のむくれた顔が浮かび、直ぐに消えてしまった。

「ん……? あれ?」

 宏がゆっくりと目を開けた時、目の前に覆い被さっていた影が急速に離れていった気配がした。
 逆さになって見える千恵の顔が何故か真っ赤に染まっている。

「起きた? 良く寝てたわよ~♪ どう? もうひと泳ぎする?」

 千恵はドキドキする心臓を抑え、思わず宏の額にキスしようとしていた事をおくびにも出さずに尋ねる。
 唇へのキスはちゃんと愛を囁き、見つめ合ってからするもの、という思いがあったのだ。

「……千恵姉? 今……」

 キスしようとしてた? と言いかけて言葉を切り、宏は視線を合わせない千恵に苦笑すると腰を上げる。

「今日はもう十分に潜って遊んだから、ゆっくり帰ろうか? 途中お茶でもしながら」

 宏の提案に大きく頷いた千恵は、今度は浜茶屋でちゃんと着替えて来た。
 流石に濡れた水着のまま服を上から着る気にはなれないし、潮でベタベタの身体もサッパリとしたかったのだ。

「久しぶりの海だったわね~。来年もきっと来ましょうね……♪」

 二人っきりで、と言う言葉は流石に恥ずかしくて口に出せなかった。
 二十分も歩くと商店街の外れに差し掛かり、駅前通りにあるいつものファーストフード店に腰を落ち着ける。
 中学生の宏には、喫茶店よりこっちの方が気楽に過ごせるから好きなのだ。
 二人で海での思い出話を咲かせていた時、斜(はす)向かいのテーブル席から女子大生らしい二人連れがこちらを見てクスクス笑っている事に気付いた。

「ねえ、可愛いカップルだわ♪ 中学生同士かしら?」

「ん~~~、兄妹じゃないのぉ~~~? どっちも幼い顔してるしぃ~~~」

 騒がしい店内なのに、何故かその言葉だけが二人の耳にまで届いて来る。
 その瞬間、千恵は唇を噛み締めて俯いてしまうが、直ぐにもとの笑顔になって宏との話を続けようとする。

「……千恵姉」

 宏は千恵が無理して笑っているのが手に取る様に判った。
 確かに、千恵と向かい合って座っていると身長百六十五センチの宏と身長百五十センチの千恵では座高もその分差が出来、千恵が宏を少し見上げる格好になる。
 知らない人間から見れば、一見兄妹に見えない事も無いし、千恵も時々そう耳にした事はあるが、今は余りにもタイミングが悪すぎた。
 千恵にとっても、恋人気分でルンルンだった所に中学生として、それも兄妹として見なされたのだ。

「千恵姉、出ようっ。今日はもう帰ろうっ」

 千恵の腕を取り、なかば強引に店から出る。
 もう一時(いっとき)もあの場に居たくなかったし、千恵の哀しい顔も見たくなかった。

「……」

 流石にショックだったのか、いつの間に千恵の顔から笑顔が消えている。
 二人で肩を並べて歩いていると、いつの間にドス黒い雲が青空を覆い隠し、雷鳴と共に大粒の雨が降って来た。

「うっひゃぁ~~~っ!!」

 激しい夕立に街はたちまち雨に煙り、全ての物を淡く、覆い隠してゆく。
 宏と千恵は少々濡れはしたものの近くのビルに逃げ込み、黒く染まった空を見上げる。

「凄い雨だね……。予報ではなんにも言ってなかったのに」

 宏がわざと明るく話を振ってみるが、千恵からの反応は無かった。
 さっきの事が余程堪えているらしい。
 宏は空を見上げるしかなく、千恵はずっと足元に視線を落としたままだ。
 どの位そうしていただろうか、千恵は喉の奥から言葉を搾り出す様に呟いた。

「妹……夕立……バチが当たったわね。若菜を……みんなを差し置いて抜け駆けしたあたいに……」

「そっ! そんな事っっ!!」

 宏は慌てて「そんな事無いよっ!」と千恵を慰めるべく、身体ごと向き直って声を掛けようとしたが……。

「っ!!」

 思わず息を止め、見入ってしまう宏。
 視線を外そうと頭では理解しても、身体が言う事を聞かない。

「……ん?」

 千恵が店を出て、初めて宏に反応した。
 宏は何かを言いかけ、そのまま固まってしまったかの様に動かないし話さない。

「宏? どうしたの……? きゃっ! や、やだっ!!」

 千恵は慌てて両腕で胸を覆い隠しながら宏に背を向ける。
 宏の熱い、食い入る様な視線を辿って初めて、宏がフリーズした原因が判ったのだ。
 白いTシャツが雨で濡れ、肌に張り付いて白いレースのブラがハッキリと透けて見えているではないか。

「え……あ……ああっ、ち、千恵姉っ! ごめんっ!! そのっ……これを掛けてっ」

 千恵の短い悲鳴に、宏は慌てて荷物の中から乾いたタオルを差し出す。

(何で水着のブラは何ともなくて、下着のブラだと、こんなHに見えるんだろ……)

 場違いな考えが頭に浮かぶが直ぐに追い出し、千恵の憂いを帯びた顔を見つめる。
 激しい雨音が二人を包み、何とも気まずい雰囲気が漂う中、千恵がポツリと口を開く。

「……ごめん、宏。せっかくの楽しい雰囲気をあたいが台無しにしちゃって……。ダメね、あたい。人から幼く見られているのにもう慣れているかと思ったけど、チョッと堪えちゃった。宏と二人でいても、あたいは妹なのね……」

 二人っきりの時は恋人に見られたい、という千恵の切なる想いに、宏は数少ないボキャブラリーの中から言葉を選び、たどたどしく紡いでゆく。

「千恵姉、千恵姉は俺にとって……妹なんかじゃ、絶対に無い。俺が保障するっ! それにっ……千恵姉の水着姿や、その……今の姿を見て俺、すっごくドキドキしてて……何て言うか……色っぽい、って言うか……セクシー、って言うか……つまり、その……妹に対してはこんなドキドキはしないよっ! 妹と二人っきりで海になんて行かないよっ! 千恵姉だからっ、俺は海に行ったんだ。俺にとって千恵姉は、とっても素敵な……大切な女性(ひと)だよっ! 決してバチが当たった、なんて事は無いよっ!」

 宏の熱い想いが、年下の男の子の精一杯の想いが千恵の身長コンプレックスを徐々に溶かし始める。

(宏……♥ 宏はちゃんとあたいの事を判ってくれてるっ! 一人の女性(ひと)として見てくれているっ!!)

 互いに告白は出来ないものの、事実上は恋人同士(但し、四人いる候補の内のひとりだが)といっても差し支えない関係に自信を取り戻す千恵。
 千恵は透けたTシャツの事などすっかり忘れ、腰に手を当てて身体ごと向き直ると普段と変わらない笑顔を向ける。

「ありがと♪ 宏がそう言ってくれるだけで、あたいは大満足よ♪」

 千恵は宏にタオルを返そうとした時、偶然(不覚?)にも大きく盛り上がった宏の『男』の部分をまともに見てしまう。
 ズボンの下からモッコリにょっきりと押し上げる太く長い棒状のシルエットに、千恵の顔から火が噴き出る。
 今度は初心な千恵が固まってしまった。
 二人は雨が上がっても宏の『傘』が小さくなり、千恵のフリーズが解けるまで暫らくその場を動けないでいた。

「あっ! 宏、見て見てっ! 虹が出てるっ!! 綺麗~~っ♪」

 商店街を歩く二人の背後から夕日が差し込み、薄れゆく黒い雲を背景にして色鮮やかな虹が大きく掛かっていた。

「ったく、人騒がせな夕立だったな……」

 宏は苦笑し、そっと千恵と手を握り合う。
 寄り添う肩と腕が触れ合い、互いに温もりを伝え合い、鼓動を感じる距離に二人はいた。


                             (番外編~夕立(ゆうだち)・了)

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