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朧 月(おぼろづき) 朧 月(おぼろづき) 美姉妹といっしょ♥~番外編
 
「え~、今配ったプリントは来週末に回収するので、それまで各自良く考えて下さいね♪」

 宏は担任の言葉をぼんやりと聴きながら机の上に置かれた「進路希望調査票」を眺め、溜息を付く。
 今からこんなの決めたって仕方無いじゃん、という気分と、いやが上にも来春は卒業なのだ、という事実を思い知らされた気分だったのだ。
 窓の外に視線を移すと、どこまでも真っ青な空に白い雲が所々にゆったりと浮かんでいる。

「いい天気だな~。もうすぐ桜も満開になるってのに、月曜の朝からめんどいモノを配ってからに……」

 眉をしかめた宏はもう一度深い溜息を付き、ゆっくりと流れる雲を目で追ってゆく。

「ねぇ♪ どこかに美人のお姉さんでも歩いていた?」

 突然耳元で囁かれ、反射的に振り向いた目の前数センチの所に、学校に在籍する女教師の中で最も美貌を誇る担任教師(二十八歳・独身・彼氏無し)の笑顔があった。

「どぉわぁぁっっっっっ!!!」

 余りの近さに驚いた宏が椅子ごと大きく仰け反ると、クラス中からどっと笑い声と冷やかしの声が上がった。

「宏君、その溜息は恋の悩み? だったら、私が手取り足取り腰取り、親身になって相談に乗ってあげるわよん♥」

 色っぽくウィンクした担任女教師に人差し指で鼻の頭をツンッ、と小突かれる。
 何故かこんな状況なのに先生の澄んだ声と指の温もりが妙に心地好い。

「か、夏穂(かほ)先生っ! いい加減人前でそんなコトしないで下さいっ!」

「あら♪ 人前じゃなければ好いのかしら♥」

 顔を赤く染めた宏の抗議もどこ吹く風、大人の女性でしかあり得ない妖しい流し目を男子生徒に寄越す女教師。
 ほのかに香る香水とセミロングヘアから香るシャンプーの匂いに股間が反応するのを抑えつつ、宏はずずいっ、と思いっ切り椅子ごと後ろに下がって妖艶な担任教師から距離を取る。

「あん♥ 恥ずかしがっちゃって、可愛い♪ でもね……」

 この女性(ひと)は数ある男子生徒の中で、宏にだけには何かと身体を摺り寄せ、何気無いスキンシップをいつも仕掛けて来るのだ。
 宏も美人のお姐さんに言い寄られ(?)て満更では無いものの、その度に周りの注目と男共からのやっかみを浴び、照れもあってつい、ぞんざいな態度になってしまう。

「ホームルーム中はちゃんと先生の話しを聞くようにね♥ 相談事なら二十四時間受付中よん♪」

 おでこを指で弾かれた宏は教卓へ戻ってゆく担任のナイスボディー(一七〇センチ、上から八四・五九・八八センチだ)な後姿を苦笑しながら眺める。
 やれやれと溜息ひとつ付き、机の上に置かれた紙に再び視線を戻す。

「進路、か……。どうすっかな……」

 今まで自分の進路についてまともに考えなかった宏はじっと白い紙を見つめ、来年の今頃、自分は何処で何をしているのか想像して見る。

(地元の国立大学は……俺の頭じゃどうなんだろ? 東京の私立大学は……学費高いから行きたくないし。他に進学となると、どこか地方都市の公立大学か、もしくは専門学校……にしたってこの田舎町(まち)には無いし。就職するにも地元に高卒を受け入れる優良企業なんて聞いた事無いし……。どっちにしろ地元(ここ)を出るしかないのかな……)

 そう思った途端、宏の脳裏に心秘かに想いを寄せる二組の双子姉妹の顔が浮かんで来る。
 同じ街に住む四つ年上の従姉である晶と優、隣に住む二つ年上で幼馴染の千恵と若菜。

(俺が家を出ると、みんなと離れ離れに……寂しく、なるな……)

 宏は心の中で深い溜息を付き、プリントを鞄の奥に仕舞い込むと再び果てし無い青空を見上げた。


     ☆     ☆     ☆


「ヒロ~~~っ! 今帰りなの? だったら途中まで一緒に帰りましょ~~~♥」

 放課後、宏が家に向かって商店街歩いていると何処からか宏を呼ぶ声がする。
 首を巡らして辺りを見廻すと、ソフトウェーブにしたロングヘアを風になびかせ、駅へと続く歩道を手を振りながらこちらに向かって駆けて来る晶の姿があった。
 その姿に夕方の買い物客で賑わう一画から音が消え、次の瞬間、男は勿論、女でさえ羨望の溜息を漏らし始める。

「晶姉♪ 珍しいね、こんな時間に」

 来た道をUターンし、迎えた宏は美しき従姉に目を細める。
 晶は左肩に黒のディバックを背負い、頭にはトレードマークのヘアバンド(今日は赤だ)を着け、上は真っ赤なトレーナーにジージャン、下は裾を絞ったジーンズを穿いて惜し気も無く足のラインを強調しているその姿は、洗練された美人女子大生そのものだ。

「今日はサークルが無かったから早目に帰って来たの。お陰でヒロと逢えるなんてラッキーだわ♪」

 屈託の無い笑顔を宏に向けるが、今の宏にはその笑顔は余りにも眩し過ぎた。
 来年はもしかすると、この笑顔が見たい時に見られなくなるかも知れないのだ。

「んっ? ……ふむ」

 晶は宏のいつもと違う反応に直感的に何かあると察し、親指をファーストフード店に向けると宏の左腕を取って歩き出した。

「……なるほど、進路か~。いつの間にヒロもそんな年になってたのね~」

 抹茶シェイクを優雅に啜りながら、晶は感慨深げに宏の顔を見つめる。
 学校は違えど同じ街に住み、週二~三回は顔を逢わせる仲なので学年の事など頭から消えていたのだ。

「俺、今まで高校(がっこう)出てからの事なんて考えもしなかったから。精々(せいぜい)、夏休み過ぎてから考え始めればいいもんだと思ってたからさ。今考えろと言われても、何だか実感湧かなくて」

 宏はフライドポテトを摘みながら進路で迷っている風を装うが、本当は姉妹達と離れ離れになるのが寂しいとはおくびにも出さない。
 話を聴いている晶は宏の内心までは流石に察する事が出来なかった。

「そ、それはまたなんて悠長な……。ん~~~、ヒロは将来どうしたいの? 平凡なサラリーマンになる? あるいは新たな会社を起こす? それとも自給自足の生活を選ぶ? 先の展望なり、希望なり、ある程度描かないと進学も就職もままならないわよ?」

 晶は宏ののんびりした、と言うか他人事(ひとごと)の様な態度に危機感を募らせる。
 これは晶にとっても他人事ではないからだ。

「好きな男の子の進路が気にならない女の子なんて、いないモンね♪」

 宏の嫁の座を本気で狙っている晶の呟きが耳に届かない宏は、普段から思っている事をとつとつと話し出す。

「うん、それは判るんだ。方向性ぐらいは決めなきゃならない、って。でも、今の世の中ってさ……」

 宏は言葉を切ると視線を外し、チキンナゲットを摘むとホットティーで流し込む。
 晶は急かす事無く、じっと年下の従弟を見つめる。

「大卒の資格なんて生きる役にも立たんし、精々初任給が高卒より有利な位でしょ? 入れる会社やその後の肩書きだって大学のレベルで決まるんだから、高い金払って大学行って、社会で全く役に立たん勉強するよりも高卒で職に就いて、少しでも社会経験を多く積んだ方が遥かに好いかな、とも思うし」

 晶は黙って隣に座っている宏の話に耳を傾ける。
 店内は混み合っているものの、二人の話を邪魔する程の騒々しさは無い。

「ただ、高卒で職に就くと潰しが利かない、っていうか……大学行って広い世界を知らなかった分、他にするべき事があったんじゃ無いか、って思う時や後悔する時がきっとあると思うんだ。でも……」

 宏は眉をひそめ、溜息混じりに呟く様に言葉を搾り出す。

「学歴に関係無く、働いたら働いたで会社の腹一つで理不尽な転勤や出向、リストラ、それに逆らったらクビになる仕組みの会社が多いのも事実だし……。となると、どっちもどっちで好くないんなら、フリーターで自由に稼いだ方がよっぽど実用的で好い……」

 ここで宏は晶の澄んだ瞳にハッと気付く。

「あっ、ごめんっ! 別に晶姉達の大学生活や将来をどうこう言うつもりは無いんだっ。これはあくまで俺個人の考えだからさっ、だからっ、その……」

 現役大学生、それも卒業を来春に控えた人を目の前にして大学批判をしてしまった事に宏は慌てて頭を下げる。
 晶は可笑しそうに目を細め、小さく首を振る。

「いいのよ、気にしないで。何とも思ってないから。逆にな~~んにも考えて無い人より、遥かに立派よ♪」

「……うん、ありがと」

 宏は小さく肩を竦めると晶に身体事向き直り、参考までに晶の進路を聴いてみる。

「晶姉は、大学(がっこう)卒業し(で)たらどうするの? やっぱり就職するの?」

「ううん、ヒロのお嫁さんになるの♥」

 打てば響く早さで反応した晶は身体を摺り寄せ、ウィンクしながら人差し指で宏の鼻の頭をツンッ、と小突く。
 状況は違えど担任と同じ事を晶からもされ、宏は一瞬動きが止まってしまう。

(女性って年下の男をこうやってからかうのだろうか……?)

 宏の呆けた顔に晶は声を上げて笑い、周りにいる男達の視線を一身に集める。

「晶姉……」

「あら、あたしは本気(マジ)よ♥ 昔、優と一緒に約束したでしょ?」

 苦笑した宏に真摯な瞳が見つめ返す。
 その熱い視線に、宏は四年前の夏休みに起きた事を鮮明に思い出した。
 すると晶と触れ合っている肩の温もりに鼓動が早まり、顔が急速に火照り出すのが自分でも判った。
 宏が晶の何処までも澄んだ瞳を見つめていると、表情を崩した晶が再び鼻を小突いた。

「ごめん、話を戻すわね♪ 卒業したら外資系の会社に就職するの。もう内定、貰ってるし♪」

 嫁入り話はそのままに(そのままかよっ! と後に宏がツッこんだのは言うまでもない)晶はチロッ、と舌を出し、元の場所に座り直すと中学時代から描いていたビジョンを語って聞かせる。

「晶姉って、そんなに早くから進路を決めてたんだ……」

 晶の話を聴く内に宏の顔が次第に俯き、暗くなる。
 晶と比べて将来への展望を何も持たない事が後ろめたくなったのだ。
 そんな宏の心を知ってか、晶は無理に宏を鼓舞しない。

「ヒロ、周りに流され、焦って答えを出すとロクでも無い事になるから、性急に事を決めない事。時間はまだまだたっぷりとあるんだから、これからゆっくりと考えて行けば好いの♪ 五年や十年十五年、回り道や道草したって構わないのよ、人生なんて♪」

 宏には、優しい瞳で背中をバンバン叩いて励ましてくれる晶がとても頼もしく映った。
 別れるかもしれない寂しさはそのまま残ったものの、ほんの少し、心が軽くなった様な気がした。


     ☆     ☆     ☆


 晶との放課後デート(?)から数日後の夜、本人からの電話に宏は読みかけのライトノベルをベッドサイドに置くと階段を駆け下りる。

「花見? 今度の週末? 晶姉の家族と一緒に? うん、行く。叔父さんや小母(おば)さんに暫く逢って無かったし。――うん、判った、公園の入り口に行けば良いんだね? うん、了解♪」

 宏は電話を置くと両親に晶一家と土曜日に朝から花見へ行く旨を話し、二階の自室に戻る。
 机の上には進路希望調査票が手付かずのままずっと置かれている。

(進学か就職、か。二択しか無いのが不思議なんだよなー。どちらも選べない、選びたくない人だっているだろうに。俺だって……)

 先日、進路の事で晶に相談に乗ってもらった事を思い出す。

(晶姉、あの時は励ましてくれたけど、ホントは呆れてたんじゃないかな。世の中を知らない高校生(ガキ)の戯言(たわごと)として聞き流していたんじゃ……)

 好きな女性(ひと)と離れ離れになる寂しさ、先行きの見え無い自分の将来への不安感が宏の心に好きな女性(ひと)からの言葉をも信じられなくさせる黒い影となって覆い被さろうとしていた。
 宏は頭を強く横に振るとベッドに上がり、読みかけのライトノベル(美姉妹といっしょ♡)に没頭した。


     ☆     ☆     ☆


「うっわ~~~♪ まさに満開だね~~~」

 午前の陽射しが柔らかく降り注ぐ中、レジャーシートの上で宏は両側から覆い被さる様に迫って来る桜並木を仰ぎ、続いて宏の左側に座っている晶に視線を移す。
 今日の晶はいつものヘアバンド(今日は白だ)に上下白で揃えたブラウスにフレアスカート、腰まで届く長い髪も白いリボンで首の後ろでひとつに束ねている。

「今日の晶姉、とっても清楚だね♪ すっごく似合ってる♪」

 全身白で統一された晶はまるでどこぞのお嬢様風で、宏の鼓動が自然と早くなる。
 一方、ショートヘアをシャギーにし、桜色のトレーナーにジーパンを穿き、こちらも白のパーカーを羽織った優が宏の右側に座り、受け皿や割り箸をみんなに配っている。
 一見すると美少年の趣がある優だが、胸の膨らみが立派な女性であることを示している。

「優姉、今日は活動的ないでたちだね♪ 好く似合ってる♪」

 好きな男性(ひと)が顔を赤らめ、眩しそうに見つめながらの褒め言葉に、心底嬉しそうに目を細める晶と優。
 今日着て行く服(下着含む)を昨日の夜遅くまで掛かって選びに選んだ、その努力が報われた瞬間でもあった。
 宏は正面上座に座っている叔父夫婦に頭を下げる。

「今日は誘って頂き、ありがとうございます♪」

 丁寧な宏の挨拶に叔父は笑いながら「いい、いい。ワシ達はついでだ」と軽く手を振り、小母も愉しそうに「そうなの♪」と頷く。
 宏は晶と優にも同じ様に礼を言い、頭を下げる。

「……ううん、礼には及ばない。ヒロクンは大切な――♥ 誘って当たり前♪」

「そうそう♪ 今日は存分に愉しんで♪ たっぷりとビールとおかず、用意したから♪」

 照れた様に言葉を区切り、顔をほんのりと赤らめた優に晶が続き、重箱の蓋を次々と開けてゆく。
 小母さんはクーラーボックスからキンキンに冷えた缶ビールを並べ、同じ様に冷やしたグラスを渡してくれる。

「凄い御馳走ですね♪ 美味しそう~♪ それじゃ、ありがたくいただきますっ!」

 桜の花びらが舞う中、宏の乾杯の音頭で五人のささやかな宴(うたげ)が始まった。

「お父さん、私達家族と宏君が一緒にお花見をするなんて、いったい何年振りかしらね?」

「そうさな……宏君がまだこの位の時以来じゃないか?」

 小母さんが宏を優しく見つめ、胡坐を掻いてビールを呷(あお)った叔父さんが胸の高さに手を翳(かざ)すと、すぐさま美女姉妹(しまい)がツッこむ。

「そんな昔じゃないわ。ヒロが小学六年になった春以来よ♪ その時は向こうの桜の木の下でお花見したのよ」

「……うん、ボクもはっきり覚えてる。六年生になったお祝いにヒロクンを誘った。ボク達が高校に入学したお祝いも兼ねてだから良く覚えてる♪」

 宏を見つめる優の眼差しは晶と同じ熱い想いを秘めている事に、黒い影を持つ今の宏には気付いていなかった。
 当の宏は視線を上に下に動かし、満開の桜を愛(め)でつつグラスを傾けるばかりだ。

「あんた達、そこまで覚えてるの!? こりゃ相当――だわねぇ~♪」

 小母さんが意味深な視線を晶と優に投げ付けると、そのまま大笑いする。
 宏は何が相当なのか判らず、晶と優に解説を求める視線を送るが、二人共目元を赤く染めたまま何も言ってくれない。
 仕方無しに叔父さんに聴こうとすると、左右から同時にビールが注がれた。

「ヒロ、グラスが空よっ! ささっ、呑んで呑んで♪ 今日は無礼講よ♥」

「……ヒロクン、遠慮しないでたくさん呑んで♪ 今夜は家(うち)に泊まる用意もしてあるから、酔い潰れても平気♥」

 何故か焦った様に話しをはぐらかす美女姉妹に首を傾げる宏。
 そんな三人の態度に叔父さんがにこやかに一言、呟いた。

「青春じゃの~♪」

 尚も問い質(ただ)そうとする宏の口に、今度は左右から交互に箸が伸びて来る。

「はい、あ~ん♥ この唐揚げ、あたしが作ったの♪ どうかしら?」

「……ヒロクン、あ~ん♥ この出汁巻き卵、我が家自慢の逸品なの♪」

 晶はここぞとばかり己が作った料理を勧め、家事全般が全滅な優は小母さんが作った料理を中心に勧めて来る。
 宏は一度も箸を持つ事無く、料理の大半が宏の胃袋へと消えてゆく。
 二人の甲斐甲斐しい世話もあって宏は何度も笑い、美女姉妹との思い出話に花を咲かせては顔を赤らめ、今、この時を存分に堪能する。
 首を上に向けると桜の花びらが風に舞い、青空に吸い込まれては淡雪の様に降り掛かり、左右を見ると手の届く距離に想い人がこちらを見つめて優しく笑って見つめている。
 宏は酒に、この場の雰囲気に酔いしれ、時よ止まれと心秘かに願った。
 やがて夜の帳(とばり)がおり、ライトアップされた桜が闇に浮かび上がる中、叔父夫婦が腰を上げる。

「それじゃ、ワシらは一足先に帰っとるからの。宏君、後は若いモノ同士、ゆっくりしていきなさい」

「宏君、娘達を宜しくね♪ お風呂と部屋をちゃんと用意しておくから♪ ……若いとは言っても、お互い初めてなんだから、外では控えてね♪」

 何故か愉しそうな小母さんのニコ目が宏を捉える。
 宏は半分酔った頭で遠ざかる二人に感謝の意を込めて頭を下げる。

(何を外で控えるんだろう? それに初めて、って、何が??)

 よもや両親公認で娘達との関係を推されていると思わない宏は、「青姦」「初体験」という言葉がすぐには浮かんで来なかったのだ。
 おまけに美女姉妹が母の言葉に耳まで真っ赤に染め、俯いて聞いていた事に鈍感な宏は全く気付かなかった。
 東の空から満月が昇り始め、重箱とクーラーボックスの中身が綺麗に無くなった頃、宏は両手をパチンと合わせる。

「御馳走様でしたっ! とっても美味しかった♪」

 満足そうに微笑む宏に美女姉妹が声を掛ける。

「ヒロ、今日はお疲れ様♪ どう? 少しは気分転換になったかしら?」

「……ヒロクン、いつまでも不安を抱えたまま過すのは良くない。そんな時は騒いで飲み食いするのも一興♪」

 二人の優しい声に宏は大きく目を見開き、晶と優の顔を交互に見つめる。
 優は宏の手の上に掌を重ね、静かに話し出す。

「……ヒロクン、答えは必ずしも用意されたものだけとは限らない。自分で探し、自分で作り、それから決めてもいい」

「ヒロ、貴方がどんな選択しても、どんな道を進んでも、必ず自分で考え、決断さえすれば、それはそれでOKなの。間違いではないのよ」

「……ヒロクンが決めた答えなら、ボク達はそれを最大限支援する。例えそれでヒロクンが他の土地へ行ったとしても、ボク達は寂しくない。自由に動ける足がある限り、何時でも好きな時に逢う事が出来る。電話で話も出来る。別れでは無く、新たなる旅立ち」

「ヒロが挫けそうになったら、あたし達が支えてあげる♥ 間違った選択したら警告してあげる♪ だから自信を持って思った通りの道を進みなさい♪」

 優に続いて晶が肩に手を置くと、二人の温もりが身体の隅々まで伝わってゆく。
 宏の欲していた的確なアドバイスと好きな女性(ひと)の息遣いがそれまで宏の心の隅に巣食っていた黒い影を徐々に消し去ってゆく。
 すると正常な心に戻りつつある宏はこの花見の本当の趣旨を理解し、急いで姿勢を正すと頭を下げる。

「晶姉、優姉、気を遣わせて、ごめん!」

 宏は叔父が最初に言っていた「ワシらはついでだ」の意味がようやく判った。
 この花見は晶が主催し、宏の憂いを軽くする為に催されたのだと。
 その為に叔父夫婦や優までも巻き込んでしまった事も。

「ありがとう! 晶姉。優姉、こんな俺の為に骨を折ってくれて、本当にありがとう!!」

 感謝の気持ちを篭め、深々と頭を下げ続けてようやく顔を上げた時、宏は不覚にも涙を見せてしまった。
 酒で涙腺が緩んだのかも、しれない。
 美女姉妹はそんな純粋で真っ直ぐな心を持つ宏がとても愛おしくなる。
 好きになって本当に好かったと心から思う。

「気にしないでいいの♪ あたし達がお花見したかっただけだから♪」

「……お花見は大勢いた方が愉しい。ヒロクンはボク達に付き合ってくれただけ♪」

 晶の心根が、優の優しさが宏の心に染み渡り、馴染んでゆく。
 アルコールとは別の心地好さが全身を駆け抜け、進路で悩んでいた宏の黒い心が完全に消えて無くなる。

「晶姉、優姉、俺、吹っ切れたよ。小さな事で悩んでいたのがバカみたいだ♪」

 いつもの、はつらつとして自信に満ちた笑顔を美女姉妹に向ける宏。
 その満面の笑みを目にした瞬間、美女姉妹にとって真の意味で報われた瞬間でもあった。
 天空に浮かぶ春霞の月が優しく三人を照らし出し、いつまでもいつまでも包み込んでいた。


                              (番外編~朧月(おぼろづき)・了)

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目指せ12都市制覇?

[ お越し戴きありがとうございます♪ ]
 meoさん
 いつもご愛読&コメントありがとうございます♪

 >12都市制覇?
 いえ、流石にそれは・・・・・・(汗)
 しかし、今後番外編にて何人か登場予定ですのでお楽しみに♪

 今後も御贔屓に願います♪
 

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