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エピロ~グ エピロ~グ 美姉妹といっしょ♪~新婚編
     
 ご懐妊の主、多恵子(三十八歳)と若くして父親となった宏(二十二歳)は。

「ヒロ。今日から出産までの十ヶ月間は多恵子さんに常に寄り添い、一緒に過ごしなさい。寝る時は勿論、お風呂も一緒に入って夫として妻と子に愛情を存分に注ぐのよ! そしてイクメンのスキルを最高練度まで磨き上げなさい! 今後のあ・た・し、の為に!」

「……胎教だよ、ヒロクン。周囲の環境や夫の愛情は胎児にも届く。そしてお姉ちゃんのエゴはともかく、ボク達が妊娠した暁にはヒロクンがボク達を導いて欲しい」

 筆頭妻からの鶴の一声と優からの真摯な願い、そして皆の配慮で宏は一階北東側にある多恵子と夏穂の部屋で閨を共にする事となった(夏穂は宏のいた二階西側の部屋に移った)。
 そして毎晩身体を流し合い(流し愛♥)、同じベッド、腕枕で眠るとなれば互いの愛情もより高まる訳で――。

 ――んぐ、んぐ、んぐ、チュパッ!――

 全裸のままベッド中央で両手を腰に当て、両脚を肩幅に開き立っているのは宏だ。
 窓の外は冷たい季節風が吹き荒れているが、屋敷全体に暖房が程好く効いているのでスッポンポンで廊下やトイレに行っても少しも寒くはない。

 ――ジュルル、ジュルン、ズズズズズ!――

 その股間に顔を被せ、涎を啜りつつ一定のリズムで顔を前後に動かしているのは多恵子だ。
 生まれたままの姿で女の子座りしているので八十五センチDカップの白い胸と頂で屹立するピンク色の実が顔の動きに連動してゆさゆさと上下に揺れ動いている。
 つまり、二人はベッド中央で仁王立ちフェラの真っ最中だった。

「うぅ……多恵子さんの口の中、凄く熱いです。チンポ、溶けちゃいそうです」

「んぷ、んぐ、んぶ、んぐ……ちゅるん! あぁ……宏さんのおチンポこそ、灼けた鉄のようでおしゃぶりのし甲斐、ありますわぁ♥ しかも太くて弓なりに反って、何て逞しいおチンポですこと」

 ジュルジュルと音を立てて唇でカリ首を弾くよう何度も扱き、口蓋に亀頭を押し付け強弱を付けて擦ったり平たく伸ばした舌で裏筋から亀頭裏まである時は力を抜き、またある時は力を籠め舌先だけで舐め上げ、そして不意に鈴口を突(つつ)いたりほじったりもする――。

「あぁ……この見事なおチンポがわたくしの妹と二人の娘の処女膜を破ったのですね。しかもそれ以前に六人の処女膜を貫いていただなんて……なんて初物キラーなおチンポなんでしょう。しかも、十七年近く空室で蜘蛛の巣が張っていた未亡人まで再開発するなんて、女には危険なシロモノですわ」

「多恵子さん、ソレ、褒めてます? それとも呆れてます?」

「うふふ♪ 感心しているのですわ。それだけ多くの女性が宏さんに惹かれている証拠、ですもの♥」

 上目遣いのまま捧げ持った肉棒に何度も頬擦りし、ピンク色に滑(ぬめ)る舌を長く伸ばして見せ付けるようペロリと亀頭裏を舐め上げ、そのまま喉奥深く咥える多恵子。
 目尻を紅(あか)く染め、視線はこちらに向けたままなのでアップに纏めた漆黒の髪と白磁のような白い肌、そして官能的に色めく乳首と舌のピンク色の対比が艶めかしい。

「多恵子さん――うぅうっ! く、口の動きに連動した手の動きが……何とも堪らんっ♪」

 多恵子の左手は手の平で睾丸を捧げ持つようにして指で陰嚢を転がし、右手は三本指――親指で裏筋を、人差し指と中指で竿の表側を支え、口唇のタイミングに合わせて上下に扱いてもいた。

「くっ!? た、多恵子さんのフェラが気持ち好過ぎて……足元も不安定だから……不意にイッちゃいそうです」

 愛情たっぷりな愛撫に、立つ宏も腰が砕けそうになっていた。
 気を抜くと、あっという間に二発目の精を絞り取られてしまうだろう。

(今日に限らずこれまでに何度、多恵子さんのフェラでイかされた事か。夫として、男として早漏は控えないと)

 そう考えるも、滾る男根からの性電気は理性と脳ミソをあっという間に溶かしてしまう。
 結果、今晩も、ものの五分と持たず射精に導かれていた。

(初っ端からシックスナインが拙かったな。ともあれ若姉や晶姉から早漏のそしりを受けるのは勘弁願いたいし)

 殊に性に関して女性から指を差されつつ笑われたり半目で蔑まれたり(?)するのは精神的ダメージが大きい。
 しかも愛の記録と称し若菜が4Kカメラでエッチシーンを毎回撮りまくるものだから、言い訳すら効かない状況だ。

(若姉ってば、今日も全裸大股開きの立て膝でカメラをこちらに向けてるんだもんなぁ。しかも口から涎を垂らし、パイパンの股間からも愛液を駄々洩れさせているのが、こっちから丸見えになってるし)

 何でも、生まれ出た子供に両親の愛情の深さと、どのような方法で命を宿したかを教えて上げるのだとか。

(子供に両親のセックスシーン見せるって……情操教育じゃ無くてトラウマになるんじゃね?)

 そう危惧するものの、被写体たる多恵子自身が全く反対しなかった所を見ると、案外、撮られる悦びを自覚しているのかもしれない。

(でもまぁ、気持ちイイから射精(だ)すんだし、早漏は悪い事じゃ無いんだよなー。実際、みんなの膣(なか)で抽挿する分には十五分以上持つし先にイかせたり一緒にイケたりもしてるんだし)

 もっとも、多恵子相手だとひと回り以上も歳上の女性にご奉仕されている、抱いていると言うシチュエーションに普段よりも敏感になっているような気もする。

(くぅっ! き、亀頭の裏側先端を尖らせた舌先でチロチロ舐めるだなんて、それだけ多恵子さんのフェラ技術が向上した、ってコトなんだろうな。まぁ、若姉から性戯の入れ知恵があるんだろうけど……うぅ、気を抜いたら出そう)

 などと、滾る男根からの痺れるような性電気に身を震わせていたら。

「宏さん、どうでしょう? 飛鳥の読んでいる女性向け漫画に、かようなテクニックなら男はイチコロだと描いておりましたので実践してみました。おほほのほ♪」

 右手で男根の根本を握り、ピンク色に滑(ぬめ)る舌先で亀頭をペロリと舐め上げた多恵子が微笑む。

「確かに今、イキそうに――って、レディコミが教則本だったんかい!」

「あ~ん、かぷ♥」

「あぁあああっ!? 今そんなコトしたらっ……で、出るっ!!」

 衝撃の事実と亀頭を甘噛みされ、鈴口をほじられた刺激が命取りとなって、いとも簡単にイかされる宏。

「んぐ、んぐ、んぐ……(ゴックン、ゴックン)」

「うぅ……手と唇で扱かれつつ一滴残らず吸われてるっ! し、刺激が強くて射精が収まらんっ!」

 巨大ダムの放水の如くドクドクと吐精を続け、無意識に腰を前後に動かし射精の快感に浸る宏。
 当然(?)、視線をこちらに向けたまま飲精する多恵子の赤ら顔とより尖った乳首も前後に揺れ動いている。

「んぷぁ♪ ふぅ~、二発目も濃厚でたっぷりと射精(だ)しましたね。美味しく戴きました♥」

「た、多恵子さん、色っぽ過ぎますって。お陰で全然、収まりませんし」

 目元を紅(あか)く染め、口元に残滓を付けたまま上目遣いで見上げる多恵子の艶姿に、宏の肉棒は衰え無いどころか、多恵子の指を弾く勢いで益々滾る始末だ。

「んふふ♪ ご満足戴けましたか? では、今度は素股で気持ち好くなって下さいませ……あぁ、ふ、太いっ!」

 ベッドに仰向けにされ、宏の肉棒は素早く跨る無毛の縦筋に挟まれた。
 多恵子は若菜に次ぐ天然パイパンの持ち主なのだ。
 お陰でくすみの無い可憐な陰唇が野太い竿によってパックリと拡げられる様が丸見えで、何とも扇情的である。
 しかも多恵子の陰核包皮は肉厚なので裏筋の太さと丁度合わさり、まるで淫唇が肉槍を舐め咥えているかのようにも見える。

「うっわ~、毛も生えてない純真無垢な女子中 学生がおまんこ濡れ濡れでエッチしてるみたい~♪」

 フ~フ~と鼻息を荒くした若菜が、カメラのファインダーを覗きつつ嬉々とした声を上げた。
 見ると、すっかり開いた淫裂からは銀色の糸を引く液体が何本も内腿やシーツに垂れ落ちている。

「若姉、いくら興奮してるからって、見たまま、思ったコトを口にしちゃダメ!」

 苦笑した宏が窘めるものの、多恵子は身長百四十八センチと屋敷一小柄な上、見た目も娘の美優樹より幼いので、ともするとかように見えてしまうのだ。
 もっとも、宏達にはそれすら夫婦性活の活性剤となるのだから、皆、相当な心臓(ハート)の持ち主と言えるだろう。

「あぁ……こうして腰を前後に動かすと宏さんの硬さと熱さ、長さと太さが判りますわ。それに淫核が裏筋の膨らみと上手い具合に擦れて……余りの気持ち好さに、すぐイッてしまいます」

「くっ……っ! 多恵子さんの腰使いが何ともエロチックだし、その上、綺麗で妖艶だから俺もイキそうです!」

 仰向けになった宏からは、多恵子が腰を蠢かす度に豊かに実る双丘が柔らかにプルンプルン揺れる様子や見下ろす赤い顔と半開きの口が一望出来るのだ。
 そんな視覚効果と男根からの刺激がダブルパンチとなり、あっという間に昇り詰めてしまう。

「でしたら宏さんの熱い精液でわたくしのおまんこ、白くたっぷりと染めて下さいまし♥」

「多恵子さんっ! そんないじらしいコト言われたら、もう我慢出来ませんっ!」

「我慢せずお好きな時に射精(だ)して下さあ、あ、あ、あ、あ、あ~~~~っ♥」

 仰向けのまま、多恵子の括れた腰に手を当て猛然と腰を突き上げ、自ら淫裂を擦り上げる宏。
 部屋にはお屋敷最年長妻の声高な喘ぎ声と粘着質な水音が一気に大きく響き始めた。

「あ、宏ちゃんが犯(や)る気になった。多恵子さんのヌレヌレパイパンマンコが白く泡立ってるぅ~!」

「宏ってば、素股でも簡単にイケる質(たち)なのね。亀頭裏が多恵子さんのプックリと膨らんだクリ、猛然と弾いてるし薄ピンクの小陰唇もあんなに充血して拡がっちゃってる。でも、あたいは素股よか、やっぱ膣(なか)に欲しいな」

「……妊婦さんに激しいセックスは御法度。お腹を圧迫する体位や子宮を過度に刺激する抽挿は避けるべき」

 カメラを回したまま若菜が羨ましそうに呟き、全裸の千恵は己の股間に両手を突っ込んだまま目を見張り、したり顔で解説する優はショーツの上から縦筋に指を食い込ませ蠢かせてもいる。

「こらこら! アンタ達、順番なんだからもう少し静かになさい! 二人の気が散るでしょ!」

「晶ちゃん、この面子にあって宏クンにはちっとも影響は無いと思うわよ? むしろ見せ付けて興奮するタイプだし」

「う゛っ! そ、それはそうだけど……」

「うふふ。晶先輩も夏穂さんには敵わないのね。しかも真っ裸だからいつもの迫力、無いし」

「まぁな。何だかんだ言っても恩師には変わりないからな。こっちも女教師もスッポンポン、だけど」

 ショーツのみ纏った真奈美とほのかも宏と多恵子の絡み合いに無毛の淫裂が透ける程、ベットリと濡らしていた。

「ねぇ、美優樹? 私達、ここにいても好いのかな? お母さんのエッチ、見てるのに若干の抵抗、あるんだけど」

「好いんじゃない? 美優樹達だって、ああやって命を宿したのだから。それに美優樹達は宏さんの正当なる妻なんだから、夫婦の寝室にいても何ら不思議じゃないわ」

「アンタが言うと、正しくても嫌味に聞こえるから不思議だわ」

「ふふん♪」

「そ、そこで胸を張るかぁ!? Bカップの薄い胸のくせに!?」

「貧乳Aカップのお姉ちゃんに言われたくは無いわ」

「ぐっ!」

 ショーツ一枚のみの姿で対峙し、火花を散らすツインテール姉妹は今日も健在だ。
 どちらも慎ましやかな胸を丸出しにし、クロッチに笹の葉状の濡れ染みが大きく拡がりパイパンの縦筋が丸見えになっている。

「ひ、宏さん! わ、わたくし、も、もうっ!」

「た、多恵子さん! 俺もイキます! 一緒にイキましょう! ってか、もう射精(だ)しますっ!!」

 亀頭をより一層膨らませた宏の爆発的噴射に、周囲からも熱い吐息や息を詰める無言の声が漏れ出した。
 どうやら二人に合わせて絶頂を迎えたらしい。

「ハァハァハァ、き、気持ち好かった! 多恵子さんの素股、また一段と腕を上げましたね」

「お褒め戴き恐縮ですわ。でも、腕じゃ無く宏さんの感度が上がっているのでしょう。ですので、今度はわたくしの膣(なか)に挿れて下さい♪ ――って、その前にたっぷりと射精(だ)した精液、勿体無いので戴きますわね」

「た、多恵子さん、タフですね」

 宏の胸に飛び散った大量の白濁液を一滴も残さないとばかり、舌を這わせジュルジュルと啜り取ってゆく多恵子。
 当然のように、周囲の妻達も我先にと宏の残滓を頂戴しようと群がっても来る。

「みんながっつき過ぎ! 俺は精液置き場かっ! 後でみんなに膣内射精(なかだし)するんだから落ち着いて」

 幾つもの舌で綺麗に清められ、苦笑いする宏と多恵子の妊婦エッチは続く――。


     ☆     ☆     ☆


「さて、今日も暑い一日になりそうだけど、ディスパッチャー・アシスタントとして頑張りますか」

 一家の主(あるじ)、宏は国家資格の運航管理者(ディスパッチャー)になるべく、入社直後から副所長(三十六歳の独身美女だ)の補佐役に就いて業務のイロハを徹底的に学ぶ毎日を送っていた。

「ん~、ジェットサウンドが耳に心地好いねぇ♪ 今日も気分が乗るなぁ」

 勤め先の会社――通称、羽田事務所は羽田空港の一角にあり、防音施工された鉄筋二階建てではあるが数分毎に離着陸する旅客機の高らかなエンジン音が風に乗って届くのだ。
 航空機ファンの宏にとって、ここ羽田空港は聖地でもあった。

「宏ぃ、朝から御機嫌だな。ま、この環境じゃ気持ちは判らんでも無いがな。あははははっ!」

「えへへ。ほのかさんも、嫌いじゃないでしょ? ジェット機の上昇音とか聞くの」

「まぁな。下手な音楽聞くよか、ずっと落ち着くわな。あ~はっはっはっ!」

 隣の席から豪快に笑い掛けるほのかも、主任機長(チーフキャプテン)として同じ事務所に勤めていた。
 因みに、会社本体は丸の内にあり、ここで晶が才色兼備な飛行業務部長として指揮を執っている。
 三人が籍を置く会社は、親会社や共同出資先企業の重役や取引先の重鎮の国内外の移動手段としてビジネスジェットを運航している専門会社なのだ。

「それでは宏さん。一週間後の八月末に板付までの日帰り往復便が組まれているから、今からディスパッチャーとしてシミュレート、してみましょうか」

「はい。了解です」

 長い黒髪をアップに纏め、紺のスーツ姿の副所長からの毎度のお誘い(?)に、宏は振り向き様に首肯する。
 宏の席は副所長の目の前にあり、隣もほのかなので実務と現場を教えて貰う側としては最高の席なのだ。

「えっと、飛行計画(フライトプラン)作成に必要なのはリアルタイムの赤外線衛星画像と最新の天気図、航空路図(エンルートチャート)と空港図表(エアポートダイアグラム)に最新の飛行情報(ノータム)、それから換算表に――」

 席を立った宏は各種資料や情報の収められた棚から必要なファイルを手際好く、引き抜いてゆく。
 このようなOJT(On the Job Training)は入社した昨年十一月から何度も繰り返しているので、半年以上経った今ではよそ見をしながらでも目的のファイルを指先一本で取り出せるまでになっていた。

「宏さんは呑み込みが早くて助かるわ。専門用語も難なく理解出来てるし、これなら実務経験一年経ればディスパッチャーの資格、最短で取れるかもしれないわね」

 打合せ(ブリーフィング)用デスクに腰を下ろしながら美貌の副所長が褒めてくれる。
 しかし責任者から認めて貰えるのは素直に嬉しいが、まだまだ道半ばなので手放しでは喜べない。
 ディスパッチャーの仕事はパイロット同様、人命を預かっている。
 それ故の国家資格なので、東京大学の理Ⅲ受験や超一流商社の入社試験みたく簡単にはいかないのだ。

「ありがとうございます。でも曇を写した赤外画像や天気図を読み解くのがまだ慣れてなくて、ほのかさんにいつも突っ込まれてます。オマエはオレ達を積乱雲や乱気流に突っ込ませる気か、って」

「うふふ、見慣れるまでは仕方無いわ。普通の人に赤外画像なんて馴染みが無いし、あってもテレビや新聞の天気予報でチラ見する程度で詳細に読み解かないもの」

「はい。でも、知れば知る程、地球の大自然を相手にしてる面白さがあって楽しいです」

「うんうん。その調子なら、気象予報士の資格も一発で取れそうね」

 黒ストッキングのおみ足が艶めかしい副所長が頬を緩め、最上の笑みを向けてくれる。
 宏はディスパッチャーの資格取得を目指すと同時に、気象予報士の資格を得る為の勉強も平行して始めていた。

「さぁ、それはどうでしょう。こっちの試験も偉く難しそうですし」

 ファイルの束を机に置いた宏はヒョイと肩を竦め、苦笑いする。
 ただでさえ難しいディスパッチャー資格の他に、合格率数パーセントの気象予報士資格を同時に取得するなど、昔の自分ならとっくにサジを投げていただろう。

「宏さん、気象予報士の資格はディスパッチャーに必ずしも必要な訳じゃありませんから何度落ちても大丈夫ですよ」

 優しい笑みを向けてくれるもうひとりのキャプテン、澪(みお)――ほのかのフライトパートナーで二十五歳の独身美女――のキュートなウィンクと軽口が両肩に掛かる重さ(プレッシャー)を取り除いてくれる。

「あはは。それを言っちゃお終いですよ、澪さん」

 澪の言う通り、気象予報士の資格が無くとも運航管理者の資格は取れる。
 にも係わらず気象予報士を目指すのは、気象状況を高精度に分析し判断する行為に両者の差異は無く、それならば気象予報士の資格が無いよりあった方が箔が付くだろうと、宏と副所長、主任機長の三者で判断した事に因る。

「さて、始めますか。えっと……同じ西行きルートでも、こっちの方が上空の向かい風が強そうだな――」

「このエリアは六時間……否、三時間後には天気が崩れるから――」

 リアルタイムで送られてくる赤外線衛星画像を眺めつつ、ペン先でモニターを指し示す宏。
 そしてその様子を、瞳を細めて何度も頷く指導役の副所長(とジ~~~~ッと凝視するほのかとチラチラ横目で眺める澪、そして微笑む事務所の面々)。

「ふむ。確かに、見慣れてくれば、ある程度の予測を立てられるモンだな。テレビの曇画像も侮れんわ」

 呟く宏は仕事の一環として朝、昼、晩とテレビの天気予報を読み解くのが日課となっていた。
 お陰で、今では好い方向へ働いているのが実感出来る。
 また、現場訓練(シミュレート)とは別に会社として本来の業務――飛行(フライト)が組まれている時は。

『羽田ベース、こちらClipper 001(クリッパー・ゼロゼロワン)。感度如何ですか?』

『現在、飛行高度(フライトレベル) 510(ファイブ・ワン・ゼロ)、機種方位(ヘディング) 010、指示対気速度(インディケーティッド・エアスピード)480ノットでNASU (那須)ポイントを通過。残存燃料は――』

 ほのかや澪の操るビジネスジェットに搭乗し、補助乗務員(サブクルー)として航空無線――厳密に言うと企業無線(カンパニーラジオ)だが――を操作し羽田事務所と交信したり、

「ほのかさん。ヘディングを五度左に、358に振って下さい。今のままだと風下に流されて進路が徐々に東にずれちゃいますから。で、十五マイル進んだら風が弱まるのでディングを003に戻してオッケーです」

「澪さん。この先三十マイルに発達した積乱雲があるので現地点から右に八度、ヘディング088へ旋回して下さい。曇の横を抜ける地点に来たら追ってコースを指示します」

 航空地図とコンパスを携え飛行中に進路を決める空中航法(ナビゲーション)を行うなど同乗訓練も重ねていた。
 これは飛行中の航空機で無線操作と航法を一年以上経験しないと運航管理者の受験資格を得られない為だ(どちらかひとつだけだと二年以上の経験が必須となる)。

「うんうん。元々、飛行機好きなだけあって宏の知識量(レベル)も格段にアップしてるな。その調子だぜ♪」

「宏さん、『好きこそ物の上手なれ』ですね。航法(ナビ)や無線(ラジオ)の扱いなんか、僅かな期間で私達キャプテンや主任整備員(チーフメカニック)と同じレベルにまで達してますもの」

 操縦中のほのかと澪が正面や左右の窓の外、そして計器盤に視線を常に走らせつつ微笑んでくれる。

「いやいや。まだまだ、だよ、ほのかさん、澪さん。今はまだ、ディスパッチャーとしてのスタートラインに顔が向いただけ、だよ。ホントの勉強はこれからだよ」

「ふふん♪ 宏がそう言うなら、そうなんだろうな。でもオレはいつでも宏を後押しするぜ。澪もそうだろ?」

「うふふ♪ そうですね。私も新米機長ながら頼もしい仲間が増えるのは嬉しいですし。副所長も、後任を育てる楽しみに浸ってますでしょ?」

「べ、別にそんなコトは……無くは無いわね。ま、来年の春が楽しみなのは確かよ♪」

 突然、話を振られた副所長(指導教官として同乗しているのだ)も顔を赤らめつつ強く否定はしなかった。

「みなさん、ありがとうございます。俺、一発合格出来るよう、更なる勉強と経験を重ねます!」

 機長のほのかや、機長に昇格直後の澪、そして上司から大いに認められ、はにかみつつ頭を下げる宏。
 その瞳に宿す熱意はそうそう衰える事は無く、宏の猛勉強と実地訓練は順調に続けられた。


 そして季節は移り――。


     ☆     ☆     ☆


「みんな聞いて。屋敷の両隣にあった元・大家さん家(ち)の畑だけど、俺が買ったから。ついでに軽自動車も一台」

 多恵子のお腹もはち切れんばかりに大きくなった、とある初秋の日――。

「へ?」

「なんだって? も一回、言ってみ?」

 団欒の最中(さなか)、宏はリビングで爆弾発言をかましていた。
 訝かしむ目を向ける妻、目を真ん丸く見開く妻、そして耳をかっぽじる妻と、反応は三者三様で実に面白い。

(なんて笑ってる場合じゃ無いな。まずはきちんとタネ明かし、しないと)

 噴き出しそうになる想いをグッと堪(こら)え、お茶をひと口啜ってから宏は口を開いた。

「東側は当面、家庭菜園用に。西側は屋敷の増築用と駐車用スペースに充てる予定なんだ。広さは、両側共、この屋敷の建つ土地と同じ大きさだよ。つまり東西で約二百九十坪ずつ、合計五百八十坪の土地を買ったんだ」

「……………………」

 唖然とし絶句する一同に、宏は「してやったり♪」とばかり、ガッツポーズを決めた。

(えへへ。みんな驚いてる驚いてる)

 ドッキリを仕掛ける醍醐味は何度味わっても堪らないし、尽く成功するから止(や)められない。

「春先に、優姉に登記とか支払とか色々手伝って貰ったんだ、みんなに内緒でね。で、全ての手続きが先日終わって両隣の土地は正式に俺達のモノとなったんだ。車は明日、新車納車だよ。免許ある人は自由に使ってね♪」

 ここで、状況判断の早さなら屋敷でもトップクラスを誇るほのかがフリーズから解けた。

「春先? もしかして、あの時か? 寝る段になって宏が優に頼み事した、あの時の内容がコレだったのか!?」

「正解だよ、ほのかさん。車は大量の買い出しや悪天候時の送迎にも使えるしね。当然、チャイルドシート付きだよ」

 満面の笑顔で応える宏に、他の妻達は未だに口をポカンと開けたままだ。
 晶など、未だに切れ長の瞳が真ん丸くなる程に目を見開き、顎もカクンと大きく落としている。

「詳しく説明すると――」

 自分の元に集まる妻達の真ん丸く見開く瞳を満足気に眺めつつ、宏は経緯(いきさつ)を語って聞かせた。

「な、成る程。宏が元住んでたアパートの大家さんと交渉し土地を新たに買ったのか。隣が整地されたのは駐車スペースを作ってた訳か」

 ほのかが腕組みしながら何度も頷き、

「大家さんって、このお屋敷を土地ごと売ってくれた人、よね? あ、それで生け垣、両側に伸ばしてたのね」

 真奈美が首を少し傾げ、確かめるよう辺りを見回す。

「……その土地売買や車購入に係わる書類やら手続きをボクが手伝った。ヒロクンの言う通りに」

 ドッキリの片棒を担いだ優が自慢気に(少し薄い?)Cカップ――七十七センチの胸を張る。
 どうやら、自分だけが知っていると言う醍醐味と優越感にずっと浸っていたらしい。
 心なしか、鼻まで高く聳えて見えるのは……気の所為ではあるまい。

「優ってば、ひとり悦に浸っちゃって……何か悔しいわね。姉を差し置くなんて、不埒なヤツ! ヒロもヒロよ!」

 袖にされたと思ったのか、筆頭妻の晶は瞳を眇め眉間に皺を寄せて、かなり御機嫌ナナメらしい。

「ま、今回はそんなに大掛かりなドッキリじゃ無いし、みんなには実感が乏しいと思う。でも、将来を見据えた土地の取得は今しか出来無いからさ。それに、お腹が大きくなった多恵子さんを病院に送迎するのに車も必要だったしね」

「「「「「「「「「ムフ♪」」」」」」」」」

 至って普通の態度で打ち明ける主(あるじ)に妻達の瞳がキラリと輝いたが、当の宏は全く気付けなかった――。


     ☆     ☆     ☆


 街の木々が黄色一色に濃く染まり、歩道には落ち葉の絨毯が敷き詰められた、とある日――。

 ――ほんぎゃぁ、ほんぎゃぁ、ほんぎゃぁっ! ほんぎゃぁ、ほんぎゃぁ、ほんぎゃぁっ!――。

 産婦人科病院全体が揺さ振られるような、元気でエネルギッシュな声が雲ひとつ無い秋空に立ち昇ってゆく。

「おめでとうございます! 二千八百グラムの男の子ですよ! 異常もありませんし、健康で元気な赤ちゃんです!」

 そんな朗らかな泣き声に負けぬよう、女性看護師の明るく弾む声が重なる。

「ぃやったぁっ!」

「きゃぁ~~~~っ♪」

 カレンダーに赤ペンで『予定日』と大きな花丸付きで記された、十月十四日。
 二十畳近い個室の病室は宏達の歓声で満たされ、はち切れんばかりの笑みに溢れていた。
 部屋の中央には出産用の幅広ベッドが据え置かれ、数々の計器類に混じって取り囲むよう妻達が集まっている。
 出産に際し、多恵子のたっての希望に妻達が応え、全員で立ち会ったのだ。
 夫である宏も枕元に座り、陣痛開始からずっと多恵子の手を握っていたのだった。

「え~ん! 多恵子さん、やったぁ~! おめでとう~!」

「な、泣くんじゃないわよ! お、お目出度い日なんだからっ……え~んっ!」

 出産シーンを4Kカメラで詳細に撮影していた若菜とデジカメ持参の千恵の双子美姉妹(しまい)は抱き合い、顔を涙と鼻水でクシャクシャにしつつ笑い泣きし、

「多恵子さん、おめでとう! Good job! そしてお疲れ様!」

「多恵子さん、おめでとうございます! 母子共に無事で好かった! 私も女子大生として頑張ります!」

 波打つ金髪を煌めかせ、ウィンクとサムズアップで称えるほのかと、今月から飛鳥と美優樹の通う大学に通い始めた真奈美は祈るよう胸の前で両手を合わせたまま滂沱と涙する。

「おめでとうございます、多恵子さん」

「……多恵子さん、おめでとう」

 晶と優の美女姉妹(しまい)は言葉数は少ないものの、満面の笑顔で心の籠もった言葉を贈り、

「姉さん、おめでと! 三人目は男の子ね! これでウチが甥っ子の童貞を貰える……うっうっうっ」

 多恵子の妹でもある夏穂はガッツポーズを小さく決めると俯いて目頭を拭い、そのまま肩を震わせしゃくり上げた。

「「お母さん、おめでとう!」」

 三歳違いでも外観は鏡で映したかのような飛鳥と美優樹の女子大生姉妹の声がユニゾンし、両手で握り合ったまま切れ長の瞳を潤ませている。

「私も無事に三年生になれたし、未来は明るいわね!」

「十七歳の美優樹に弟が出来るなんて……何だか不思議な気分だわ。でも、好いお姉ちゃんにはなりたいな」

 常にポジティブな飛鳥は何度も頷き、白を基調とした病室で黒のゴスロリドレスが妙に合う美優樹の呟きが宏の耳にも届いた。

「みんな、ありがとう! そして――」

 手を固く握ったまま、宏は愛しき妻に顔を寄せた。

「多恵子さん、ありがとう。ホント、ありがとう。好く、頑張ってくれたね」

「宏さん。こちらこそ、ありがとうございます。このわたくしに忘れ去っていた女の幸せを再び恵んで下さいました。感謝してもしきれません! それもこれも、愛する宏さんがずっと傍にいて下さったお陰です」

 額に若干、細かい汗を浮かべてはいるが表情は至って明るい多恵子。
 どうやら大役を完璧に果たし、心底安心したらしい。
 出産に伴う痛みで多少、顔を歪めていたものの、三度目の出産とあって極めて順調に済んだ事も大きいだろう。

「いえいえ、俺の方こそ可愛くて凛々しい男の子を授けて貰いました。多恵子さんがいたからこそです!」

「まぁ、わたくしにとっては飛鳥、美優樹に続いての出産ですから、もう慣れておりますし。おほほのほ♪」

 多恵子の笑い声は妻達の温かな笑い声と交じり、暫し止む事は無かった。
 と、担当医師から声が掛かった。

「宏さん、多恵子さん、おめでとうございます。お子様の誕生日時は十月十四日、午前十時十四分……って、同じ数字が並びましたね。これは偶然……と言うより、奇跡ですね。ともあれ。母子共に健康で異常ありませんわ」

 クスクス笑う女医さんに、宏達も釣られて笑い声を上げる。

「医師として長年、出産に立ち会いましたが、この様な数字の並びは初めてです。貴重な体験をさせて戴き、私からもお礼申し上げますわ」

 笑みを絶やさぬ若き美人女性医師――夏穂と同い年なそうな――がカルテに記入しつつ言うと、再び妻達から歓声が沸き起こった。
 しかし、ひとりだけ、お澄まし顔の妻がすぐ目の前に横たわっている。
 宏は念の為、聞いてみた。

「あの、多恵子さん? まさか……狙ってました? その……今日、この時間を」

「おほほ♪ 偶然ですわ、偶~然。赤ちゃんが外に出たいのを、わたくしがダメと言える訳、ありませんもの」

 涼しい顔で言うから、冗談なのか本気なのか判らない。
 それでも。

「でも、多恵子さんと赤ちゃんが無事で好かった! これに尽きます! 俺、正直、不安と心配で――」

 宏が改めて手を握ると、妻達の中で最も小柄な多恵子が瞳を細め、言葉を遮るよう頷いてくれた。

「わたくしも、ホッと致しましたわ。いくら三度目でも前回から十八年も経ってますもの」

「何でも好いんだ。俺は二人が無事ならそれで満足だよ。ありがとう、多恵子さん」

 感極まり、思わず声が震えてしまう(涙腺も緩んでしまった)。
 多恵子も目尻に光るものを薄っすらと浮かべ、ニコリと微笑んでくれる。

「宏さん……。こちらこそ、ありがとうございます。愛する男性(ひと)の子を宿し、産むと言う女の幸せを分け与えて戴き、感謝に堪えませんわ」

「多恵子さん♥」

「宏さん♥」

 熱く見つめ合う潤んだ瞳に互いが映り、自然と重なる二つの唇。
 なかなか離れないキスの間、冷やかし(?)の声と口笛が病室に響き渡った。
 若き女医さんと看護師達も(羨ましそうな?)笑顔を向けてくれる。

「そ、それではお母さん。赤ちゃんとご対面しましょうか」

 キスを終えるのを待っていたのか、女性看護師から遠慮がちな声が掛かった。
 どうやら二人の熱烈なキスにすっかり中てられたらしく、女医さん共々視線が泳ぎ目元も赤くなっていた。
 赤ん坊を受け取った多恵子に妻達が一斉に群がり、思い思いの感想を口にする。

「うっわ~、手がちっちゃい~~~~っ! 紅葉の赤ちゃんみたい~~~~っ!」

「お鼻が可愛いっ! どこもかしこも可愛くて素敵っ!」

 弟とご対面した飛鳥と美優樹姉妹が同時に破顔し、

「いゃ~ん♪ 在りし日の宏ちゃんを思い出す~~~~」

「そう言われれば……目元が宏に似てるような。……あ! 耳の形が宏と同じだぁ!」

 宏の幼馴染である若菜が目尻を下げてしみじみ言い、指差す千恵の発見に場が大いに沸き上がる。

「ふふ。鼻筋と口元は姉さんに似てるかな? 案外、イケメンになるかも」

 多恵子の妹、夏穂はニコニコしつつ甥の顔と姉の顔を何度も見比べている。

「おぉ、意外と肌に張りがあるんだな。もっと皺くちゃかと思ったが個人差があるんだな」

「ほのか先輩。ダメですよ、好い加減な情報に惑わされては。宏君ジュニアなんだから、今から男前なんです!」

 金髪碧眼ハーフ美女のほのかが微笑み、窘める真奈美も終始、ニコニコ顔だ。

「何だか、ヒロが生まれた時を思い出しちゃった。あたし等が四歳の時だから、時代が過ぎるのは早いわね」

「……うむ、ボクも当時を思い出してた。あの時のヒロクンも、同じく可愛かったのをボンヤリと覚えてる。でもお姉ちゃん。回想に耽って自ら老けるにはまだ早い。ボク達だって母親のひとりになったのだから、これから、だよ」

 宏の従姉である晶と優の双子姉妹も感慨深げに言葉を交わしていた。
 そして。

「あぁ……ようやくわたくしと宏さんの、愛の結晶が実ったのですね。わたくし、凄く嬉しくて……うぅぅぅぅ」

 温かなタオルに包まれた赤ん坊の顔をまじまじと眺め、それからそっと抱き締めた多恵子の肩が震え始めた。

「多恵子さん。俺も嬉しいよ。俺の初めての子供を多恵子さんに身籠もって貰い、無事に産んで貰えて、すっごく嬉しかったよ。ありがとう、多恵子さん。俺、多恵子さんと出逢えて好かった。奥さんになってくれて、ホントに好かった」

 宏はベッドにそっと腰掛け、多恵子の震える肩に片手を置き、そっと抱き寄せた。
 そしてもう一方の手は、赤ん坊を支える多恵子の手に添える。

「宏さん……こちらこそありがとうございます。未亡人として生涯を終えるつもりだったわたくしを娶って戴けたからこその幸せです。この子は、わたくしが命に替えても育て上げてみせますわ」

 涙目で見上げる多恵子に、宏は微笑みつつ小さく首を振る。

「多恵子さん。命に替える必要は無いよ。俺が二人を守るから。そして共に生きて行くから! だからこれからも俺の奥さんとして宜しくお願いしますね、愛しの多恵子さん」

 宏は両手に少し力を籠め、我が子と愛する妻を胸に抱(いだ)く。

「宏さん……ありがとうございます。本当に……ありがとう」

 顔を寄せ、赤ん坊を中心に抱き合う二人に、病室は貰い泣きや啜り泣く音が幾つも流れるのだった――。


     ☆     ☆     ☆


(さて、ぼちぼち好いかな?)

 そんなこんなでひと段落着き、病室にいつもの穏やかな空気が流れ始めた頃。
 宏は密かに想い続けていた事柄を打ち明ける事にする。

(殊に、ここ最近はお腹の大きい多恵子さんを気遣う生活だったから、なかなかみんなに言えなかったんだよな)

 ご懐妊発覚から今日まで全て多恵子中心の生活を続けていただけに、自分からは切り出しにくかったのだ。
 しかし出産も無事に済んだのだから自分から親告しても文句が出たり、ましてや糾弾されたりは無いだろう。
 宏はベッドサイドの椅子に座り直し、皆から寄せられる祝辞を期待しつつ意を決する。
 そしておもむろに振り返ると妻達へ手を挙げつつ口を開いた。

「あの~、ところでみんな。今日は俺の――」

 ――ほぎゃぁ、ほぎゃぁ、ほぎゃぁっ! ほぎゃぁ、ほぎゃぁ、ほんぎゃぁっ!――。

「わお! なんて力強い声だ。こりゃ将来は大物になるぜ!」

「す、凄まじい声量なのね。でも、こーゆー声は聴いてて飽きないわね♪ むしろ、元気を貰うって感じで」

 ご当主の遠慮がちな声はタイミング好く泣き出した赤ん坊の泣き声と、ほのかや千恵達の歓声によって完全に掻き消されてしまった。

(あ、あのー、今日、十月十四日は俺の誕生日なんだけどー、みんな忘れて無い……よね? ね!?)

 しかし思い虚しく、妻達は例外無く誕生した赤ちゃんと優しく抱く母親――多恵子に夢中で、誰ひとりとして気付いてくれる気配は無い。
 普段は何かしらのイベントに注意を払う千恵や若菜でさえ今は目の前の母子を目の色を変えて撮影しまくり、多恵子も第三子を見つめたまま瞳をこれ以上無い位に細め、すっかりと『母』の顔になっている。

(も、もしかして俺、自分で思ってる以上に存在感が薄かったり意識されてなかったりする?)

 中途半端に彷徨っていた右手を虚しく下ろし、口をへの字に曲げ、天井を仰いで涙を堪える宏だった。


     ☆     ☆     ☆


「ところでヒロ」

「ん? 晶姉? どしたの、妙に浮かれた顔して――って、みんな揃いも揃ってニコニコ、ニヤニヤして、どしたの?」

 顔を戻すと、病室は頬を紅(あか)く染めた妻や内股でモジモジする妻、そっぽを向いて知らんぷりする妻、長い髪を指先で弄(いじ)って照れ隠しする等、さっきとは一線を画す雰囲気になっていた。

(もしかして、やっと気付いてくれたっ!? これで目出度さ二倍だぁ!)

 歓喜の渦にあっても、どことなく疎外感に囚われていた宏だったが、向けられる妻達の笑顔が心の曇りを完全に晴らしてくれた。
 しかし。

「ムフフ~♪ 今度はあたし等がママになるからね! 今は全員、三週目から四週目に入った所よ。出産予定日は来年の八月だからね! 今日これからのヒロのイクメン振り、全員で期待してるわよっ!」

「……………………は?」

 心と頭が己の誕生日で占められていた為に、晶の言葉が真っ直ぐ脳ミソに入って来ない。

「まぁ♪」

 唯一、出産直後の多恵子は新たなご懐妊報告に破顔し瞳を煌めかせている。
 と、筆頭妻たる晶は夫の無反応が赦せなかったのか、

「だーかーら! あたしら九人が同時に妊娠した! って言ってんだろうーがっ!」

 それまでの穏やかな笑顔を一転、切れ長の瞳を目一杯吊り上げ、額に青筋を浮かべて詰め寄って来た。
 長い髪をヘビの如く蠢かせ、腕を伸ばすや胸ぐらを強烈に締め上げ、噛み付く勢いでガンを飛ばす晶。
 その腕力たるや、パイプ椅子に座った宏を軽々と持ち上げる程だ。

「晶姉、顔が怖い――って、今、何て言った?」

「ひ、ひぇ~~~~っ!」

 そんな怒髪天を衝く筆頭妻に、多恵子以外の妻達は青褪め、抱き合って震えている。
 普段は物怖じしない若菜でさえ病室の隅へ我先にと避難し、背を向け頭を抱えて踞(うずくま)る始末だ(しかしカメラのレンズは晶に向けたままなので大した根性だ)。
 そんな怒れる大魔神・晶に、終始笑顔の多恵子が真っ先にリアクションを起こした。

「それはそれはお目出度いですわ! おめでとうございます! 今度は皆様がお母さんですわね!」

 ベッドの中から満面の笑みを零し拍手する多恵子に遅れる事、数十秒。
 ここでようやく、晶の言葉が脳ミソに届いた。

「な゛っ、な゛んですとぉ――――――――っ!?」

 目の玉を飛び出させ、顎を床にまで落とし、言葉が続かず絶句する宏。

(晶姉達が……妊娠!? 今度は九人同時っ!? 女子大生三人もっ!? 大学はどーするっ!?)

 余りの事態に脳ミソが一気に撹拌され、思考が纏まらない。

(若姉と千恵姉も!? 十数人分のメシは誰が作るっ!? 屋敷の維持管理は何時誰がっ!? 優姉が寝込んだら株の売買はどーするっ!? 俺の預金残高、足りるのかぁ!?)

 そんな、目を渦にし不甲斐無い夫に。

「宏ちゃん反応が悪い~~~~っ!」

「宏……アンタ……イイ根性、してんじゃないっ! あたい達の妊娠が気に喰わんのかぁ!?」

「「「ブーブー!」」」

 夫の、余りの反応の薄さ(軽薄さ?)に猛然とブーイングする若菜と千恵、そして妻達。
 多恵子の病室はいつの間にか夫である宏を糾弾する空気に満ち溢れていた。

「あ、いや、その、あの……」

 九つの畑に種をバラ撒き、見事、同時的中させた宏は未だにあぅあぅ言っている。
 この情け無く狼狽える姿はこの病院のみならず、広く地域の笑い話として永らく語り草となったと云う――。



 かくして、新たな家族を加えた宏達十二人――否、更なる命を育む宏達大家族は新たな時代へと突き進むのであった――。


                                      美姉妹(しまい)といっしょ♪~新婚編 了


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【 お寄せ戴いた御意見・御感想 】

[ 感想 ]
最終回 お疲れ様でした。  宏の計画性のなさは・・・・・治らんな!!   《おろかというか、なんというか・・・》

夏穂って、 以前   《枯れたとか蜘蛛の巣が張ってる》とかっていわれてたような  (笑)


車を購入ってのはわかるけど、  なんで軽??  普通に考えたら ワンボックスが2台必要な気が・・・
《宏も免許を取るげきです。  一家の主?として)


[ 毎度お越し戴きありがとうございます♪ ]
アムロ・レイさん
 コメントありがとうございます♪

 永い間応援戴きありがとうございます♪ m(_ _)m
 宏のボケ(?)は直りようが無いような……。(^^ゞ

 次回作まで今暫くお待ち下さいませ。m(_ _)m
 

[ 大団円((+_+)) 9人一緒 はうーΣ( ̄ロ ̄lll) ]
みんな一緒に・・・・・・でしたか。
それは想像していませんでしたね。

『あとがき』を先に読んでしまいましたが、足掛け8年の作品だったとか。
長い間お疲れ様でした。
私もほぼそれにお付き合いさせて貰いました。
新聞連載小説でもオンライン連載小説でも、
こんな長い期間の作品は知りません。
どうもありがとうございました。

それでは『番外編』を楽しみに待っています。

[ 毎度お越し戴きありがとうございます♪ ]
ぺんぎんさん
 コメントありがとうございます♪

 拙小説を永きに亘りご愛顧賜り、感謝に堪えません。
 ありがとうございます♪ m(_ _)m

 番外編と完結編、どちらが先にアップ(掲載)されるのか……わたくしにも判りませんが(←オイッ)、気長にお待ち下さいませ。 m(_ _)m
 

[ ]
さあこれからも見物ですね・ひとまず先生お疲れ様です。
これからも楽しみにしてます。
なかなかコメント出来なくて申し訳ありません。

[ お越し戴きありがとうございます♪ ]
海人さん
 コメントありがとうございます♪

 いつも応援して戴きありがとうございます♪ m(_ _)m
 完結編はいったいどうなるのか……期待せずお待ち下さいませ。(←オイッ)
 コメントはお気になさらずに♪ (^o^)ノ

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