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百花繚乱~中編 百花繚乱~中編 美姉妹といっしょ♥~番外編
 
「真奈美さん~、こっちだよ~」

「うわ~、凄く賑やか。ここに若菜ちゃん御用達のお店があるのね」

 若菜と真奈美は地下鉄銀座線の田原町から徒歩五分のところにある合羽橋商店街に来ていた。
 屋敷で使う、新たな中華鍋の調達に来たのだ。
 今使っている中華鍋(宏が自炊していた頃に使っていたモノだ)では四~五人分の料理を作るのがやっとの大きさなので、十人分作るには二回に分けて作らねばならなかった。
 そこで、六~七人分を一度に調理出来る大きさの中華鍋を調達しに来たのだ。
 これで従来の中華鍋と二つ同時に振る(若しくは二人で使う)事が出来る上、調理時間短縮とガス代節約にも繋がるのだ。

「ねぇ、若菜ちゃん。調理道具はいつもこの商店街で買っているの?」

「うん。上京した直後に近所のホームセンターでフライパン買おうとしたら~、宏ちゃんが『それなら合羽橋に行けば、きっと若姉が納得する逸品が見つかるよ』って教えてくれたの~♪ それ以来、調理道具を買う時はいつもここに来てるんだ~」

 今日の若菜はロングブーツにスリムジーンズ、手編みのセーターに襟元にファーの付いた黒のAラインコートを羽織っている。
 腰まで届く漆黒のストレートヘアを風になびかせ颯爽と歩く姿は、道行く男共は例外なく振り返り、女性陣は羨望の眼差しで見送っている。
 百七十五センチの長身に切れ長の涼しげな瞳、目鼻立ちの整った小顔に長い手足。
 ファッションモデル以上のスタイルの好さと美貌を誇る大和撫子に、商店街にいる全ての人から視線が集まっていた。

「それじゃ、料理にかけてはプロ並の若菜ちゃんが満足出来る品が見つかったのね?」

 一方。
 背中の中程まで届くストレートヘアを今日は三つ編みにし、ひとつに束ねた真奈美が僅かに首を傾げる。
 こちらは膝下までのオフホワイトのワンピースに厚手のコート姿だ。
 外套を通じてもスタイルの好さが判るメリハリのあるボディーラインと、ちょっと垂れ気味な大きな瞳に鼻筋の通ったかんばせは見る者全てに安らぎを与え、誰もが納得する癒し系美人だ。
 黒髪と陶器のような白い肌のコントラストが美しい姿は日本人形を思わせ、コートの裾とブーツの隙間から見えるおみ足は黒のストッキングに包まれて誰もが頬擦り(?)したくなる美脚の持ち主でもある。
 当然、若菜同様に商店街の視線を一身に集めていた。

「うんっ! 宏ちゃんの言った通り、私にピッタリなのが見つかったんだ~♪」

 遠巻きに眺めるギャラリーも何のその。
 二人は至ってマイペースで会話を続けていた。
 人から注目される事に慣れっこになり、もはや他人の視線すら意識に無いのだ。

「お店の中はビックリする位に種類が豊富で~、目移りしちゃう位に逸品揃いなの~。しかも~、買ったフライパンは使えば使う程、手に馴染んで来るし~」

 若菜はいつもの店に入り、ずらりと並んだ中華鍋の中からお目当ての大きさの鍋が並ぶ棚の前に立ち、端から順に手に取って腕を振ってみる。
 この中からバランスや重心、柄を握った感触など、振り心地の好い中華鍋をじっくりと時間を掛けて選ぶのだ。

「凄いわ。手に馴染む……だなんて、さすが料理の達人の言葉は違うわ」

「えへへへ~、褒められちゃった♪」

「ねぇ? どうして若菜ちゃんはそんなに料理の腕が凄いの? 昔っから凄かった、って聞いたけど、そうなの?」

 興味津々に瞳を輝かせる真奈美。
 料理は勿論、家事の天才のルーツを探る(?)チャンスだ。

「ふふっ。いくら私でも~、最初っから達人じゃないよぅ~」

 遠い目をした若菜がとつとつと語り出す。

「最初は~、ままごと遊びなんだよ~」

「えっ!? ままごと……遊び?」

 意外な言葉に目を丸くする真奈美。
 てっきり、小学校高学年頃から始まる家事猛特訓の話が出ると思っていたのだ。

「私達が幼稚園の年少組になった時に~、三歳になった宏ちゃんと近所の公園で遊ぶようになったの~。姉さんもいるから三人で遊べるもの、って言ったら、ままごと遊び位しかなかったの~」

「晶先輩と優先輩は? 宏君と同じ町に住んでたし従姉なんだから、一緒に遊ばなかったの?」

「晶姉さんや優姉さんは小学校に入ったばっかりで放課後の時間が合わなかったし~、家の距離も少し離れてたから小学一年生が毎日遊びに来るのは難しかったの~。せいぜい月に一~二回、日曜日に遊ぶ位だったわ~」

 気に入った一品を見つけ、会計を済ませると同時に無料宅配サービス(買った品物を自宅まで送ってくれるのだ)を頼んだ若菜は次の専門店へと足を向ける。
 今度は磨り減った砥石(といし)を新調するのだ。

「だから宏ちゃんと毎日楽しく遊べるのは~、私達だけだったの~♪」

「そっか、若菜ちゃん達と宏君の実家はお隣同士だったものね。それじゃ、殆ど一緒に暮らしているのと変わらないわね」

 にっこりと微笑んで惚気気味な台詞を吐く若菜に、真奈美は苦笑してしまう。
 素直な気持ちをありのまま表わす若菜は、何年経っても可愛いと思ったのだ。

「宏ちゃんは男の子だから自動的にお父さんの役なんだけど~、私と姉さんのどっちがお母さん役をやるのかでケンカしちゃってね~」

「え? ケンカ? ままごとで、どうしてケンカになるの? いつも仲好しなのに」

 不思議そうに首を捻る真奈美。
 仲睦まじい普段の二人からは想像出来無い。

「ハッキリとは思い出せないんだけど~、子供心に宏ちゃんのお嫁さんになりたかったんだと思うんだ~」

「あ……なるほど」

 子供の遊びとは言え、お嫁さん役はいつの時代でもメインヒロインなのだ。

「それで姉さんとケンカ……と言うより役の奪い合いになったんだけど~、やっぱり『お姉さん』、なのね~。結局、私にお母さん役を譲ってくれたの~」

「ふふっ、千恵ちゃんらしいわね。その頃から面倒見の好い『御姐様』だったのね」

「以来、ままごと遊びは私がお母さん役で~、姉さんが子供役で遊んでたの~」

「二人の姿が想像出来るわ。きっと可愛らしい女の子だったんでしょうね」

 目を細めて微笑む真奈美。
 自分に子供が出来たら、きっとこんな風にして遊ぶんだろうな、と想像したのだ。

「そのうち~、宏ちゃんが私の作った本当の料理を食べたい、みたいな事を言ったらしいの~。私は好く覚えて無いんだけど、姉さんがそう言ってたわ~」

「おままごとは、砂のごはんだったり水の味噌汁だったりするものね」

 子供の頃に、殆どままごと遊びの記憶が無い真奈美が羨ましげに若菜を見る。
 当時は人見知りで引っ込み思案な性格だった上に、近所に一緒に遊ぶ仲の好い男の子など、いなかったのだ。

「私は宏ちゃんに美味しいご飯を作って上げたくて~、その日からお母さんの手伝いを始めたの~」

「えっ!? その日から? いきなり!?」

 再び目を丸くする真奈美。
 幼稚園の年少組に通う子供とは思えない行動力に驚いたのだ。

「そしたら、姉さんも張り合う、って訳じゃ無いんだけど~、一緒に手伝いを始めたんだよ~。きっと、その頃から宏ちゃんのことを好きだったんだと思うの~」

 若菜はショーケースにありとあらゆる種類の包丁が並んでいる包丁専門店に入り(以前ここで刺身包丁を仕入れた)、丹波青砥産の中砥(なかと)と仕上げ砥(しあげと)を手に取る。
 いずれも天然砥石の優れものなのだ。

「それじゃ、若菜ちゃんと千恵ちゃんは宏君の為に料理や家事を覚え始めて、今に至る……と?」

「あ、うん。そうなるね~。お嫁さん役だから~、掃除や洗濯も出来無いといけない、って子供心に思ったのかも~」

 今気付いたとばかり、僅かばかり目を見開く若菜。
 これまで自分の家事の原点について深く考えた事が無かったのだ。

「そっか、全ては宏君のひと言から始まったのね……って、ちょっと待って?」

 眉根を寄せた真奈美が頭の中で当時の年齢を弾き出す。

「ってコトは、若菜ちゃん達が年少組……って事は……五歳の時から、えっと……三歳の宏君の事が好きだったの?」

 眉を跳ね上げ、早熟(?)な双子姉妹に驚く。

「ふふっ。その頃の好きは~、今の好きと違って男と女と言う意識は無かったと思うの~。お隣に住んでる仲の好い遊び友達、って感じだったのかも~。でも、今なら判る気がするの。その頃の私は~、お父さんの役の宏ちゃんを本当の旦那様として夢見ていたんじゃないかな~、って」

 満面の笑みを浮かべる若菜。
 その優しい笑顔は、暫し時を忘れて見惚れる程に輝いていた。

「でも~、子供ながらに判るの。判っちゃったの。双子って、こんな時は不便よね~。姉さんの気持ちも判っちゃうんだもん。私が夢見た事を、姉さんも夢見ていたんだ~、って」

 会計を済ませ、持参のエコバッグに砥石を入れた若菜は真奈美と田原町の駅を目指して踵(きびす)を返す。
 これで、若菜のこの街での買い物は終了した事になる。
 道すがら、若菜の回想は続く。

「それでも姉さんは~、ずっと子供の役をやってくれてたの~。『お姉さんとしてみんなの面倒を見るんだぞ』ってお父さんやお母さんからいつも言われてたし~、自分でもそう思ってたんじゃないかな~? 自分もお母さん役をやりたい、って気持ちを抑えてでもね~」

「若菜ちゃん……」

 妹想いの千恵らしい、心に沁みる話(エピソード)だ。
 真奈美の涙腺が少し、危うくなる。

「そんな姉さんの気持ちが判るから……判っちゃったから~、私は姉さんを悲しませたくなかった。それからよ~。一日交代でお母さん役をやるようになったのは~。その時の姉さんの物凄く嬉しそうな顔、朧気ながら覚えてるの~。だって、しっかり者の姉さんが初めて目に涙を浮かべているの、見たんだもん」

「千恵ちゃんも、そんな昔から宏君を想っていたのね。たとえ男女の意識は無くても」

「えへへ~♪ 今から思うと凄いよね~。五歳児と三歳児の三角関係だよ? でも~、あの頃の私達にとっては、宏ちゃんが全てだったのよね~。一緒に遊んでいると、すっごく楽しかったし、心が温かくなるんだも~ん♪ それに~、弟みたいな宏ちゃんを姉さんと一緒に守らなきゃいけない、って言うお姉さん意識もあったと思うの~」

 そして若菜は目元をほんのりと赤らめ、照れ臭そうに肩を竦めた。

「それがきっと無意識のうちに~、男の子として宏ちゃんを好きになっていったんだと思うの~。じゃなきゃ、毎日宏ちゃんと遊んだりしないと思うし~、お嫁さんになりたい、なんて想いも出て来無いと思うの~。でも~、私も姉さんも抜け駆けはしなかったわ~。暗黙の内にお互いの想いを知っていたから、かもね~」

 完爾と笑う若菜に、真奈美が小さく微笑む。

「……なんだか羨ましいな。若菜ちゃん達の歴史は、宏君の歴史でもあるのね」

 姉妹(きょうだい)のいない真奈美にとっては想像も出来ない姉妹愛だが、確実に判る事がひとつだけあった。

「二人とも、やっぱり姉妹想いなのね。羨む位に。……普通、好きな男の子が出来たら抜け駆けすると思うし」

 微笑む真奈美の目尻には、薄っすらと光る真珠が浮かんでいた。
 若菜は、それに気付いてか気付かずにか(きっと後者だ)、真奈美を更に泣かせる台詞を紡ぐ。

「それだけじゃないよ~、私達の輪に真奈美さんが加わって~、私はすっごく嬉しいよ~。ここにも宏ちゃんの好さを判ってくれる女性(ひと)がいるんだな~、って♪」

 思いもしない言葉に、暫し絶句する真奈美。
 よもやここで自分の名前が出るとは想像の範囲外だったのだ。
 同時に、胸の奥から熱い想いが込み上げて来る。
 自分を認めてくれた歓びだ。

「ありがとう、若菜ちゃん! そう言って貰えて、すっごく嬉しいわ」

「うん! これからも宜しくね~♪」

「こちらこそ♪」

 満面の笑みで頷き合う美女二人。
 この日、合羽橋商店街に髪の長い二人の女神が降臨したと、まことしやかに噂が立ったと言う――。


     ☆     ☆     ☆


 真奈美と若菜は田原町から再び銀座線に乗り、屋敷への快速乗換駅で下りずにそのまま銀座まで足を伸ばした。
 四丁目に建つお洒落な店でランチバイキングを楽しみ、その後、真奈美の買い物をするのだ。

「ん~~~~、このソース、美味し~~~っ! 赤ワインとバルサミコが絶妙に利いてて……生クリームも隠し味で入ってて……最高~っ」

「ホントね♪ ここのランチって、いつ来ても安くて美味しいわ。お屋敷の近所に店、出さないかしら。……これはサーロインじゃ無くてヒレね。下味は軽く塩胡椒のみで……しかも岩塩、ってトコかしら?」

 顔を蕩けさせた若菜がレシピを分析しつつ仔牛肉のソテーに舌鼓を打ち、真奈美は純粋に味わいつつも味を盗んでいた。
 屋敷から銀座までの電車賃一往復分の値段で三時間食べ放題なのだから、二人の食す量とスピードは衰えない。
 なにせ、炊事を担当する者が外食で気に入った料理(店)に当たると必ずと言って好い程、味を盗まないと気が済まないのだ。
 そして持ち帰った味を夕食で再現し、宏を唸らせて褒められる(当然、夜のエッチ込みだ♥)のを楽しみにしているのだ。
 二人共御多分に漏れず、評判の店の味を盗みがてらランチを楽しんでいるのだった。

「こんな美味しい物を毎日食べてたら、あっという間に贅肉が付いて体重計に乗るのが怖くなりそうね」

 おどけた真奈美が横腹を摘む真似をしてみせると、切れ長の瞳を更に細めた若菜が心配無いと笑う。

「大丈夫だよ~。食べた分、い~~~っぱい運動すれば好いんだから~♪」

「? 運動? そんなの若菜ちゃん、してたっけ?」

 毎日家事にあけくれる二人に、近所のフィットネスクラブに通ったりジョギングしたりする時間など、全く無いに等しい。
 思わず手が止まり、不思議に思った真奈美が尋ねると……。

「あのね~、宏ちゃんとのセックスで~、カロリーを大量消費してるから平気なんだよ~♪」

「せ、セックスっ!? ……って」

 ランチタイムに多数の女性客で賑わう店内で口にするのも相応しくないような話題に、思わず言葉が詰まる。
 オマケに昨夜、騎乗位で腰を激しく振っていた若菜の妖艶な姿を思い浮かべてしまう。
 もっとも、この手の話は嫌いでは無いので、真奈美は顔を火照らせつつ若菜の言葉を大いに肯定する。

「たっ、確かに騎乗位にしろ正常位にしろ腰を激しく回転させつつ上下動もするから大汗掻いてスッキリするけど……って違うっ! わ、若菜ちゃんったら、真っ昼間から大胆発言ねー」

 無意識に際どい内容のノリツッコミをかます、癒し系美女。
 これでは、どちらが大胆なのか判らない。
 しかし、若菜には真奈美の発言を不満に感じたらしい。
 手にしたナイフで真奈美を指し、声のトーンを一段と上げて抗議した。

「え~~~、昨日、宏ちゃんに跨りながら『早く膣内(なか)に頂戴~! 熱い精液、たっぷり注いでぇ~!』な~んて言ってた真奈美さんの方がもっと大胆……」

「って、若菜ちゃんっ! 声が大きいっ!!」

 慌てた真奈美が腰を浮かせ、両手を振り回して止めるも既に時遅し。
 二人は静まり返った店内にいるお客やスタッフ全てから冷笑、嘲笑、苦笑、唖然、呆然、憮然、などなど、この世に存在するありとあらゆる冷めた視線を一身に集めてしまう。

「ん~~~~、ここのランチ、やっぱり美味し~~~~♪ この料理、宏ちゃんに作ってあげよ~っと♥ 真奈美さん、また来ようね~♪」

(……絶対、出入り禁止になってると思う)

 突き刺さる視線の痛さに真奈美は顔を赤らめたまま思いっ切り俯き、若菜は我関せずとランチをパクついていた。

     ※     ※     ※

 這々の体で退散した(退場させられた)真奈美と天然エロ娘は、ワンブロック隣にあるレンガ造りの瀟洒な五階建てのビルへと向かう。
 ここはビル全体がひとつの店舗になっていて、お洒落な下着からマニア向け実用(?)下着まで取り扱う、全年齢対象のインナーウェア専門店なのだ。
 フロア毎に老若男女プラス・アルファ(十八禁ワールドの事だ)に分けられ、品揃えが豊富な上に激安なので屋敷の住人の下着は全てここで購入していた。
 しかも、この店は若菜による性活必需品の仕入れ先(流石にこれはネットでの通販利用だ)でもあるのだ。
 真奈美達は合羽橋まで来たついでに自分の下着も買いに来たのだ。

「あ、これなんか好いかも♪」

 ビルの最上階(十八禁フロアだ♥)に足を踏み入れるや否や、やっと出番が来たとばかり猛然とダッシュする真奈美。
 午前中は若菜の付き添いだったが、午後イチで訪れたここが、本日の目標としていた買い物ゾーンなのだ。
 さっそく白のローレグビキニショーツを手にするや満足気にニコリと微笑み、同じ品の色違い――ピンク色のショーツも買い物籠に放り込む。
 白やピンクは宏好みの色なのだ。

「ん~、VフロントやTバックはどちらかというとタイプじゃ無い、って言ってたし……やっぱりノーマルなビキニタイプとハイキニとか紐パンにしておいた方が無難ね」

 真奈美は店内に飾られたカラフルな下着に視線を走らせ、お目当ての下着を物色する。

「ん、これこれ♪ こんなの、宏君の好みにピッタリ! これは即・買い、ね」

 真奈美が手にしたのは、薄ピンクの布地に真っ白な紐で縁取られ、それがそのまま結び目になる紐ショーツだ。
 これも布地が薄く、手を入れても関節の皺が判る程、透け具合も秀逸なアダルト向けショーツなのだ。

「おっとっ! これを忘れちゃいけませんねー」

 自らツっ込み、苦笑いする真奈美。
 己の買い物を実況しているかのようにブツブツ言いながら、見定めたショーツに手を伸ばす。
 白と薄ピンクのストライプ柄のビキニショーツ、しかもコットン製を掴み、サイズを確認して買い物籠に入れた時には既に次の品物を物色し始めて移動している。
 ターゲットを見定める早さと捕捉する早さは目を見張る物があり、あっという間にフロアの反対側に移動し、手にしているのだ。

「ま、真奈美さん、凄い……」

 貪欲なまでにショーツを漁る年上美女に、性の伝道師を自称する若菜もタジタジだ。
 自分の買い物も忘れ、切れ長の瞳を丸くしたまま、せわしく動き回る真奈美を目で追ってしまう。

「あっ! ブルマ発見! しかも臙脂(えんじ)色だし~♪ シャワーを浴びつつ体操服プレイも……むふふっ♥」

 涎を流さんばかりの鼻息荒い美女に、同じフロアにいる男性客やカップルは近寄りもしない。
 何やら普通の痴女(?)とは違う、アブナイ雰囲気を感じ取ったらしい。
 遠巻きにして眉を潜め、あるいは顔を背けてそそくさとフロアから出て行く者もいる程だ。
 しかし、それは同性の若菜にも感じる、鬼気迫るものだったのだ。

「真奈美さん、何だか必死になってる~。どうかしたのかな~?」

 驚きが疑問に変わりつつある中、真奈美の澄んだ声がフロア全体に響く。

「ね~、若菜ちゃん~! これなんか、スケスケで宏君が悦ぶんじゃない~?」

 真奈美が手に掲げるのは、極薄の総レースで作られた純白のビキニショーツだ。
 フロントもリアも後ろの布が丸見えになる程の透け具合で、これでは穿く意味が無いようなセクシーショーツだ。

「あ……、う、うん……。宏ちゃんの……好み……だね」

 しかし、戸惑う若菜の言葉を聞いてか聞かずにか、真奈美は既に次の商品を手に取っていた。

「こっちの黒も、好い具合に透けてて堪らないかも! でも予算が……って、思い切って両方買っちゃえ♪」

「……………………」

 ハイテンションのまま買い物籠に下着をどんどん放り込む真奈美を、若菜は呆然と見守るしかなかった。

     ※     ※     ※

 下着も調達し、あとは帰るだけとなった午後の時間。
 二人はちょっとひと休みにと、有楽町マリオン近くの落ち着いた雰囲気の喫茶店でティータイムを楽しんでいた。

「今日はいっぱい買い物しちゃったね~」

 ケーキセットのショコラケーキ(ドリンクはホットアップルティーだ)を頬張りながら、膨らんだエコバッグをポンポンと叩いて満面の笑みを浮かべる若菜。
 お気に入りの品を全て手に入れる事が出来てご満悦なのだ。

「ふふ。若菜ちゃんと千恵ちゃんの姉妹愛も判って楽しかったわ」

「そ、そんなの、無いも~ん!」

 真奈美もホットカフェオレ(こちらは単品だ)を啜りながら合羽橋での出来事を思い出して微笑むと、茶化された若菜は肩を竦めて苦笑いを浮かべる。
 道路に面した席で絶世の美女二人が微笑み合う光景に店内と歩道を歩く人々の視線が集まるが、例の如く二人とも全く意に介さない。

「真奈美さんだって、宏ちゃんの為に穴開きショーツとか紐みたいな透け透けショーツをいっぱい買ってたじゃない~。私のお株、すっかり真奈美さんに取られてるしぃ~」

 反撃とばかり、若菜は自分よりアダルトセクシーランジェリーを真奈美が買った事を指して揶揄する。
 これまで屋敷でのナイトライフの先駆者は自分だと言う自負があったのだが、ここ最近は真奈美に取って代わられつつあったのだ。

「だって私、自分に自信が余り持てないから、せめて色っぽい格好をして宏君に悦んで欲しい、と思って」

「えっ!? 自分に自信が……持てない?」

 てっきり好きな宏との生活が楽しいが故にアダルトムードを高める衣装や下着を気分高らかに揃えているのかと思っていたが、どうやら真奈美の中では別の思いがあるようだ。

「それって、どういう……」

 切れ長の瞳を見開き、真意を問い質す若菜。
 しかし、若菜の言葉が届かない真奈美は、自分の負の考えを自ら肯定するかのような言葉を次々と溢れさせてゆく。

「何の取り柄も持たない私だから、宏君好みの格好をして、お洒落して、色々尽くして上げたいな~、って思うの。私をもっと好きになって貰う為には……宏君がこの下着穿いてくれって言うなら貯金を使い果たす覚悟はあるし、私が気に入られるようにするには、次はどう着飾ったら好いかなー、とか、いつも考えてて……」

「……………………」

 まるで己が存在する理由付けの為に着飾り、それで宏の愛情を引き寄せようとしているかのような真奈美に、若菜の切れ長の瞳が徐々に眇められる。
 眉間に深い皺が寄り、さっきまでの明るい笑顔とは似ても似つかない、険しい表情になってゆく。
 しかし、当の真奈美はカフェオレの淹れられたカップに視線を落としたまま両手で弄んでいるので、正面に座る若菜の変化に気付けずにいた。

「宏君からいっぱい受けた愛情を返す為には、出来るだけ印象の好い振る舞いをして、家事にいそしめば――」

「真奈美さん~! 宏ちゃんは上辺で女性(ひと)を選んだりしないよ~。いくら何でも、その考え方は間違ってるよ~っ!」

 尚も言い募る真奈美に、遂に若菜の我慢の限界が訪れた。
 真奈美の言葉を遮り、トーンの下がった低い声で険のある言葉を投げ付け、ひとつ年上の先輩を糾弾してしまう。

「宏ちゃんは真奈美さんの着飾った姿を見て付き合ったり、ましてや結婚した訳じゃ無いよ~っ! そこら辺に転がってる軽薄で馬鹿な男とは違うよーっ! それにっ……愛情を返す……って、愛は貸し借りするものじゃ無いよーっ!」

 長い髪を逆立て、瞳を吊り上げ猛然と抗議する若菜に真奈美は言葉を失い、目を丸くしてしまう。
 宏を――夫を悪く言われて心証を害したのでは無いか、と思うよりも、怒りを露わにする若菜に対しての驚きだ。
 四年前、大学(がっこう)に入学して来た若菜に出逢って以来、怒りに震える若菜を見た事など、一度も記憶に無い。
 しかし、今の真奈美は自分のマイナス思考な心に気付いていなかった。

「あ、ううん、違うの。宏君が悪いって言う意味じゃなくて……えっと、どう言ったら好いのかしら……」

 これまで人を非難した事が無さそうな若菜から思いっ切り非難され、眉を八の字に下げてしどろもどろになる真奈美。
 首を傾げ、必死になって語彙を探すものの、自分の心を言い示す言葉が咄嗟に出て来無い。
 焦れば焦るほど頭の中が混乱し、背中や額に冷や汗が流れ落ちてゆく。

「もちろん、宏君は見た目で人を測る人じゃ無い事位は充分知ってるし判ってもいるわ。私が言っているのは、私自身の事で……えっと……つまり……」

 未だ言葉が見つからず狼狽える真奈美に、眉間に縦皺を寄せていた若菜がポツリと漏らす。

「つまり~、自分の不安な点や劣っている部分を下着や衣装、振る舞いでカムフラージュしてる……って事~? それで結果的に宏ちゃんの心を繋ぎ止めようとしている――って事~? ……それでさっきのお店で目の色変えて下着を買ってたの~?」

 言い得て妙な若菜に、我が意を得たりとばかり瞳を輝かせ、大きく何度も頷く真奈美。
 しかし。 その頷きが若菜の怒りの炎に油を注いだ。

「それって、宏ちゃんに対する最大の侮辱だよ~。宏ちゃんは真奈美さんそのものを愛してるんだよ~? 着飾るから愛している――だなんて、形だけの……上辺だけの真奈美さんを愛した訳じゃ無いよー!」

「でも……私……」

 尚も言い募ろうとする真奈美を片手で制し、若菜は真奈美の左手をビシッ! と指差す。

「それじゃ、その薬指に嵌められたリングは、何~? それは見た目を整えた真奈美さんだから宏ちゃんが贈ったものなの~? それも『形だけ』のリングなの~?」

「!! そっ、それはっ……」

 雷で打たれたかのような衝撃が真奈美の脳天を直撃した。
 それは違うっ! そんな事無いっ! と声高に反論したくても、頭の中が真っ白になって言葉が出て来無い。

(宏君から向けられる愛情は形だけなんかじゃ無い! 本当に……って……本当!? それじゃ私は……)

 頭の隅で何かが閃き、押し黙る真奈美に、目尻を吊り上げた若菜の言葉が矢継ぎ早に突き刺さる。

「宏ちゃんと行ったハネム~ンは何? ファーストクラスで世界一周したのは誰? 大きなお屋敷で一緒に住む事を許してくれたのは誰? そんな男性(ひと)が、上辺や着飾っただけの女にこう言う事をすると思ってるの~っ?」

 テーブルを掴んで肩で息をし、前のめりになって責める若菜とカップを両手で挟んで俯いたまま微動だにしない真奈美。
 そんな二人を、店内の全員が息を殺して見つめている。
 まるで時間と音の無い世界にいるかのように。

「ねぇ、真奈美さん~。着飾る気持ちは判るけど、愛され方が間違ってるよ~。さっき真奈美さんは受けた愛を返す、って言ってたけど、愛はお金じゃ無いんだよ~。貸し借りで計れるものじゃ無いんだよ~。そのリングだって借りた物じゃ無いでしょ~?」

 言うべきを言い切った若菜は同じ姿勢のまま、真奈美の答えを黙って待っている。
 いったい、どれ位の時が過ぎたのか、マリッジリングを指先でそっと撫で擦った真奈美が重い口を開いた。

「これは……この指輪は……宏君の……本当の想いが詰まった……かけがえのない指輪よ」

「そうでしょ~? この結婚指輪は~、宏ちゃんが私達の為に汗水流して買ってくれた、宏ちゃんの分身なんだよ~。私達に対して嘘偽りの無い、純粋な愛がいっぱい詰まったリングなんだよ~? その想いを『形だけ』なんて言ったら、宏ちゃんが泣いちゃうよぅ~」

 宏が泣く、と言いつつ自分がポロポロ涙を零している若菜。
 その光る雫に、真奈美の弱い心が徐々に奮い立ってゆく。
 自分の所為で、こんなにも自分を想ってくれるこの娘(こ)を泣かせ、本当の愛を注いでくれる宏を悲しませる訳にはいかない。
 真奈美は左手薬指のリングに触れたまま、硬くて冷たい金属の感触――でも温かな宏の想いを確かめる。

(いつでも、自分に向けて微笑んでくれる宏君。我が侭を言っても、どんな時でも笑って許してくれる心の広い宏君……)

 宏の自分に対する愛情は紛れもなく本物だし、疑う余地も疑った事すらも無い。

(……そうよ。宏君は素の私を愛してくれているのよね……。張りぼての私を好きでいるんじゃ……無いんだ! だのに私ったら、外面(そとづら)ばかり気にして……愛されようとして……馬鹿だわ。大馬鹿者よ)

 そう思った途端、自分の愛され方が間違った方向を向いていた事に、ようやく気付いたのだ。

(あの時……財布と定期を忘れてバスを降りられなくなった私を助けてくれたのは宏君。運転手さんと揉めている所に、わざわざ戻って来てくれたのは宏君。そしてバス代を立て替えてくれたのも宏君。そして笑顔ひとつだけ残し、お礼を言う間も無く呆気無い程足早に立ち去った宏君……)

 真奈美の頭の中に四年前の春、宏と初めて逢った出来事が走馬燈のように浮かんでは消えてゆく。

(お礼を言う為に宏君を探している内に、私は宏君に恋してた。誰も私を助けてくれなかったのに唯ひとりだけ手を差し伸べてくれた、人としての優しい心に惹かれたから……)

 真奈美の瞳の色が変わった事で判ったのだろう、泣き顔の若菜が元の明るい笑顔に戻る。

「……そうね。宏君は決して上辺だけで判断しない。……ふふ。そんな宏君を好きになったのに、自分自身が知らず知らずのうちに上辺を取り繕って好かれようと……していたなんて……自分が……情け無い……わ」

 頭(こうべ)を垂れると唇を噛み締め、両手で挟んだカップを強く握り締めて自己嫌悪に陥る真奈美。
 手は小刻みに震え、余りの情け無さに涙が次から次へと込み上げて来る。
 一方、同じ女として着飾る気持ちが痛い程判る若菜は、真奈美を元気付けるかのようにニコリと微笑むと両腕を伸ばし、震える真奈美の手を優しく包み込む。

「情けなくなんか無いよ~。誰だって……私や姉さんだって綺麗になって宏ちゃんに見て貰いたいと思ってるもん。ただ~、真奈美さんは愛され方をちょっとだけ勘違いしただけ~。それに気付いたんだから、もう落ち込む必要は無いんだよ~。これからはもっと自分をさらけ出して宏ちゃんに甘えれば好いんだよ~♪ 私達には~、二十四時間いつでも宏ちゃんが付いててくれるからね~♥」

 若菜は手を重ねたまま真奈美のリングをそっと撫で、ここにいるんだよと小さくノックする。
 その表情は真(まこと)の愛を知る者だけが出来る、慶びと幸せに満ちた女の顔だった。

「うっ……、っくっ……、うぅっ……っ、ぅうっ、うぅっ……っっ」

 そんな、どこまでも明るく前向きな若菜の励ましに、真奈美は合羽橋で流した涙以上に涙を零してしまう。

 ――自身の心の弱さ、張りぼての自分の滑稽さ、そんな自分を抜きに愛してくれる宏の存在と、本気で自分を叱ってくれる年下の女の子の手の温もり――

 不甲斐無い気持ちと嬉しい気持ちが綯い交ぜになり、胸の中で一気に込み上げて来る。
 弱い自分を気付かせてくれたお礼を言いたいが胸が詰まってしまい、何度も頷きながら声を殺してしゃくり上げる事しか出来無い。

「うっくっ……ひっくっ……ひっくっ……うぅっ……」

 そんな子供みたく泣きじゃくる真奈美を、若菜は手を重ねたまま優しい瞳でいつまでも見つめ続ける。
 それはまるで、子供を導く母親のような慈愛に満ちた瞳だった。
 店のアルバイトの女の子や女性客だろうか、啜り泣く声が店のあちこちから聞えるが、真奈美と若菜は相変わらず二人だけの世界にいた。

「これからは無理に自分を飾るんじゃなくて~、損得抜きで大好きな宏ちゃんとの暮らしを楽しめば好いんだよ~。何たって、私達が愛した男性(ひと)なんだもん。裸のまま宏ちゃんにぶつかって行けば~、どんな時でもきちんと受け止めてくれるし、一生、抱き締め続けてくれるよ~。宏ちゃんは~、それだけの心を持った男性(ひと)なんだから~♥」

「……うん。ありがと、若菜ちゃん。弱い私を叱ってくれて、本当にありがとう! ……ふふ。さすが、千恵ちゃんの妹さんなだけあるわね。面倒見の好い性格かんか、そっくり」

 ようやく気分が落ち着き、零れる涙を人差し指で拭った真奈美が小さく笑みを浮かべる。

「え~~~~っ!? いくら双子でも、姉さんと私は身体のサイズから性格まで真逆だよぅ~」

 上体を大きく仰け反らせ、自分で自分を否定するかのような若菜に、真奈美は軽やかな声を立てて笑ってしまう。
 若菜には、その笑い顔はこれまで真奈美が見せた表情の中でもっとも光り輝いて見えた。

「うふふっ♪ やっぱり双子なのね。頬の膨らませ方なんか、瓜二つだわ」

 いつまでも不満気な若菜に、真奈美の明るい笑い声が店内に響く。
 その笑顔に浮かんだ一粒の涙は、自身の危うい心を綺麗サッパリ洗い流すには充分な涙だ
った――。


     ☆     ☆     ☆


「おはよう、飛鳥ちゃん! 美優樹ちゃん!」

「ん? おはよう……って、おわぁっ!」

「ねぇねぇ、二人共、下宿始めたんだって? 場所は? どんな所? 賄い付きってホント? 部屋の大きさは? 今度遊びに行って好い?」

「私も一緒に行きた~い! 二人のお部屋、見てみたいわ~♪」

 朝、大学の構内へ足を踏み入れた途端、駆け寄った友人数人から矢継ぎ早に質問攻め(取り調べ?)される飛鳥と美優樹。
 二人の姿を見つけた同級生やその声を聞き付けた学生も一斉に長身のツインテール姉妹の元へ駆け寄り、朝の挨拶を口にしながら二人を取り囲む。

「……って、ちょっと、みんな落ち着いて……はぅっ! そ、そんなにせっつかないでっ!」

「あぅぅ、押さないで下さい~」

 飛鳥の戸惑う声と美優樹の困惑した声に周囲の黄色い歓声が重なり、朝のキャンパス内に賑やかに響く。
 二人は毎朝登校する度、誰かしらから何かしらの質問を受けていた。
 夏休み直前に起きた学生寮の事件のお陰で姉の飛鳥はヒーローとして、被害者のひとりでもある妹の美優樹はゴスロリ衣装と相まってヒロインとしてそれぞれ人気が花丸急上昇となり、今やキャンパスイチの注目株になっているのだ。

「美優樹ちゃんも、いつ見ても可愛いわね。今日の衣装も好く似合ってるわよ♪」

「あ……ありがとう、ございます」

 渦中の人となったゴスロリ美少女も、戸惑いと照れ臭さが綯い交ぜになった笑顔を浮かべつつ挨拶に応じる。
 相手が同級生でも言葉が丁寧なのは、周囲が全員三歳以上年上の為だ。
 なにせ、誕生日直前なので実際はまだ十五歳――世間一般では高校一年生の年代なのだ。
 いくら学籍上で同級生とは言え、人として年上に対してタメ口など、とてもじゃないが利けやしない。
 結果、誰にでも丁寧な口調と言葉遣いにならざるを得ない。
 それが物腰の低さとなって集まる学生達に好印象を与え、評判となって更に人を集め、飛び級したにも係わらず鼻に掛けない美優樹の謙虚さに好感を持って……と、好印象のスパイラルになっているのだ。
 学生達もゴスロリ衣装の美優樹を妹のように可愛がり、今では『キャンパスの妹』のような扱いになっていた。
 しかし、慕われるのは嬉しいが見ず知らずの学生達からひっきりなしに声を掛けられるので、戸惑う気持ちがあるのも正直な所だった。

「で、何で私達が下宿した事、知ってんの? 私、誰かに話したっけ?」

 一方、飛鳥はフランクに話している。
 当然、同級生でも年上には敬語を使っているが、今取り囲んでいるのは仲の好い同い年のクラスメイト達なので遠慮はしない。

「飛鳥、昨日、学生課で住所変更の手続きしてたでしょ? 私、偶然そこを通りかかったの。で、窓口のお姉さんに尋ねたらアパートじゃなくて下宿した、って聞いたの」

「あ……あの、頭のネジが緩そうなお姉ちゃんか。ったく、個人情報をペラペラと。それでも職員なのかしらっ!」

 飛鳥は口の中で思いっ切り愚痴り、頭の中で憤りつつも表情はにこやかに応じる。

「え~~っと、下宿したのはホント。ここから電車で三十分の所にある、畑と雑木林に囲まれた鄙びた郊外にあるの。下宿だから、朝晩のご飯付きよ。部屋の大きさは……どれ位だったっけ? フローリングで……」

 素でド忘れする飛鳥に、妹の美優樹が苦笑しつつ助け船を出す。

「部屋はおよそ十四畳分あるそうです。ここをお姉ちゃんと二人で使っていますが、それでも美優樹達には充分な広さです」

 すると、周囲からどよめきが起こる。

「えっ!? それぞれ個室じゃ無いの? どうして?」

 同級生の当然過ぎる質問に、今度は姉が答える。

「だって、私達は勉強する為に部屋を貸して貰ってるんだもん。ベッドと机さえあれば、私達には御の字よ。それに……あの狭くて乱雑な寮と比べたら、遥かに天国よ♪」

 ほんのりと目元を赤く染める飛鳥(と美優樹)。
 頭の中で、「宏先輩(宏さん)がいるから♥」と思い描いているのだが、そんなコトとはつゆ知らぬ学生達は一斉に、さもありなんと頷く。
 みんな、飛鳥達が寮を出た経緯(いきさつ)を知っているのだ。

「そっか、まぁ、二人共納得してんなら好いけど……。それじゃ、私ら遊びに行けるのかな?」

 クラスメイトが首を傾げて尋ねる。
 一人暮らしのアパートやワンルームマンションと違い、賄い付き下宿となると大家、若しくは管理人が同居している事になる。
 果たして簡単に遊びに行ったりお泊まり会したりなど出来るのか心配になったのだ。

「えっ!? そ、それは……………………どう思う?」

 言い淀む姉からいきなり話を振られたゴスロリ美少女は、切れ長の瞳をパチクリさせながら姉を見返す。
 そんなコト、急に聞かれても答えようが無い。
 自分は大家でも管理人でも無いのだ。

「どう……って、下宿とは言え、宏さんのお屋敷なのだから、念の為、許可を取った方が好いと思うわ。いきなり大勢で押し掛けてご迷惑をお掛けしても申し訳無いし……」

 遠慮がちな、でも、ごもっともな意見に、姉は勿論、周りのクラスメイト達もなるほど、と頷く。

「それじゃ、都合の好い時に遊びに行くから、その時は教えてね。一緒にパジャマパーティーしようよ♪」

 特に仲の好いクラスメイト達が破顔して提案する。
 ヒーローとヒロインの下宿生活を垣間見る好い機会だと思っているのかもしれない。

「あ、うん、判った。宏先輩に聞いてみる。でも、期待しないでね。どうなるか判んないし」

「えっ!? 下宿先の大家さんって、飛鳥ちゃんの先輩なのっ!?」

 初めて知る事実に、クラスメイト達の瞳が一斉に輝き出す。
 どうやら、いらぬ好奇心を刺激してしまったらしい。
 二人を取り囲む輪が更に狭くなった。

「あ、えっと、ほらっ! そろそろ講義が始まるから、その話はまたあとでっ! ねっ!? 今はホラ、時間が……」

 飛鳥の言葉を後押しするかのように、キャンパスに柔らかい鐘の音が鳴り響いた。
 講義開始五分前の合図だ。

「いけないっ! 一限目は遅刻厳禁なの! 単位取れ無くなっちゃう! 飛鳥ちゃん、美優樹ちゃん、続きはお昼休みにね!」

 まるで蜘蛛の子を散らすかのように廊下を駆けてゆくクラスメイト達に、飛鳥と美優樹は顔を見合わせる。

「「……お昼休みも、こうなるの?」」

 共に苦笑いを浮かべ、肩を落として深い溜め息を吐(つ)く姉妹だった。

     ※     ※     ※

 七月中旬に起きた学生寮の事件以降、美優樹と飛鳥はキャンパス内で最も有名な二人になってしまった。
 悪の組織(素行不良の上級生グループだ)に捉えられた妹を助ける為に、ひとり果敢に立ち向かった姉の飛鳥。
 白馬に乗った王子様に憧れる……には少々(かなり?)年齢は高いが、キャンパスの女の子達にとって飛鳥は正に姫を救う王子様、そのものに映ったのだ。
 そして事件が明るみに出るきっかけを作った姉を救うべく、学長から減刑を導き出し、才女の名に恥じない冷静で的確な手腕を発揮した妹の美優樹。
 入学当初から黒のゴスロリ衣装を纏い、その出で立ちは西洋のお姫様を彷彿とさせていたので、飛鳥に助け出された美優樹は正にお城のお姫様、そのものに映っていたのだ。

「見知らぬ人から気軽に声を掛けられるのは嬉しいんだけど……こんなに有名になるなんて……美優樹、正直困るわ。どう対処して好いのか判らないし……かと言っていつまでもお姉ちゃんに頼りっ放しもマズイし……」

 王子様とお姫様と見られる背景には、入学した当初から二人の外見が大きく影響していた。

「えっ!? 三歳違い? 一卵性双生児じゃなくて? うそっ、ホント~!?」

 初対面の学生に二人の関係を説明すると、百人中百人が必ず同じ反応をする。
 それもその筈、二人の外観は鏡で映したようにそっくりなのだ。
 女性としてはかなり高い百八十センチの身長に明るい栗色の髪を頭の高い位置で結い上げ、その先端は背中を優に超える長さにまで伸ばされたツインテールの髪形。
 切れ長で二重(ふたえ)の瞳と鼻筋の通った小顔に、肌理が細かく張りのある肌。
 スラリと長い手足にスレンダーなボディは八頭身より九頭身に近いのではないかと思える程のスタイルの好さ……等々、キャンパスに集う女性陣の羨望を一身に集める美貌とスタイルを持つ美少女が同じ顔で二人もいるのだ。
 ひとりは文学部に所属し、ツインテールにミニスカートと長い足を引き立てる黒のオーバーニーソックスを穿きこなし、その溌剌とした言動はテレビのアイドルがそのまま具現化したかのような美少女。
 そして一方の女の子は工学部に所属し、ゴスロリ衣装を纏い、それこそアンティークドールが擬人化したかのような美少女。
 これで注目を集めない訳が無い。
 しかも、活発な方が文学部で大人しい方が工学部と、見掛けとはまるで正反対の所属とあって、これも注目される一因となっていた。

「最初は物珍しさだったんだろうけど、お姉ちゃんの件があってから再び注目を集めちゃったし……」

 今でこそだいぶ落ち着いたが、今月初めに登校した朝は凄かった。
 下宿探しや引っ越し待ちなどでひと月遅れの後期授業開始となった二人を出迎えたのは、勝利の歓声の如く盛大な拍手だった。
 何でも、悪行を重ねた連中を一年生なのに好く退治してくれた、とか、これで悪の上級生がいなくなったから安心して歩ける、寮生活が百八十度変わって明るく楽しくなった、などなど、賛辞の嵐だったのだ。
 しかも、キャンパスのそこかしこから、

「ホラッ! あのゴスロリ衣装でツインテールにした娘(こ)が美優樹ちゃんよ。あの寮で危うい所を助けられた」

 などと、まるで珍獣(絶滅危惧種?)扱いされたりもしたのだ。
 それから暫くは周囲が騒がしかった。
 なにせ、

「あ、美優樹ちゃんだ! ほら、飛び級で入って例の寮で……」

 好奇心丸出しの瞳を爛々と輝かせる、学年がひとつ上の学生達。
 そして、

「怪我は大した事無かったらしいよ~。それよか~、学長自ら頭を下げて彼女の他の大学への移籍を阻止したんだって~」

 どこから漏れたのか、ほぼ正解を口にする三年生。
 果ては、

「自ら退寮して三方一両損を現代に蘇らせたらしいよ」

「三方一両損? なに、それ?」

「つまりだな、姉の飛鳥ちゃんはひと月の停学と即時退寮と言う処分が前期終了に合せての退寮処分だけになった。妹の美優樹ちゃんは飛鳥ちゃんに合わせて自ら退寮した。で、大学側もスキャンダルの隠蔽を図る代償として美優樹ちゃんの学費を卒業するまで半額にしようとした。でも、美優樹ちゃんはそもそも学長自ら招聘しているから学費は取ってない。で、怪我の功名となった飛鳥ちゃんへそっくりそのままシフトさせた。つまり、飛鳥ちゃんの学費が卒業までの四年間、半額になった、って訳さ」

「なるほどー。美優樹ちゃんは被害者だけど退寮する事で少し不利を被った。飛鳥ちゃんは減刑されて退寮処分だけで済んだ。大学側も飛鳥ちゃんの学費を半額免除する事で少し損をした。で、結果的に三者がチョッとずつ損をしたけど全て丸く収まった、って事ね?」

「その通り。まぁ、この一両損も、実は裏で美優樹ちゃんが主導した、って専らの噂だけどな」

 などと、まるでその場で見ていたかのように口にする最上級生。
 事件の全容は関係者だけに封印されている筈だが、実際はキャンパス中の学生が正しく知っていると言う、情報化社会の見本のような状態だったのだ。
 この調子だと、学生達のブログなどを通じて全世界に事件がとっくに広まっているのかもしれない。

「まったく……。あの箝口令は何だったのかしら。……まぁ、美優樹達に対する悪い噂じゃ無いのが不幸中の幸い……だと思えば好いのかしら?」

 ただ、最初の頃は退学させられた上級生の仲間による嫌がらせが飛鳥と美優樹に降り掛かった――取り囲まれて因縁を吹っ掛けられた――が、周囲の善良な上級生による粛清が直ちに行われて事無きを得ていた。

「まぁ、あれこれ表立って口にしないだけ、まだマシ……なのかも」

 美優樹はやれやれと小さく溜め息を吐(つ)いた所で、二時限目の終了を告げる鐘が鳴った。
 と、その鐘の音が鳴り止まない内に、教室の後ろから元気な声が掛かった。

「美優樹ちゃん~、お昼にしよう~?」

 振り向いた美優樹の視線の先には、五人のクラスメイトがここだよと、小さく手を振っていた。

「はい、判りました。……あの、今日もお姉ちゃんと一緒なんですけど、宜しいですか?」

「構わないよ~。私達も飛鳥ちゃんとお喋りしたいし~♪」

「ありがとうございます♪」

(美優樹も、いつの間にか大学(がっこう)に馴染んでるよねー)

 自らを顧みて、しみじみと思う。
 入学して三ヶ月位はどこかよそよそしく、近寄りがたい雰囲気(オーラ)を纏っていた――と、友人が語っていたのを思い出したのだ。
 そう言われれば、美優樹にも心当たりがある。
 年下なのに飛び級して同学年になった工学部イチの才女――などと、快く思われていないのではないか、と当初考えていたのだ。
 だから目立たぬよう、人との接触も自分からは極力避けて大人しくしていた。
 後に話を聞くと、同級生達にはそれが一匹狼の如く映っていたらしい。
 しかも、常にゴスロリ衣装を纏っているので何かと目に付きやすく、もしここが普通の中学や高校なら、とっくに不心得者によるイジメの対象(ターゲット)になっていただろうとも言われた。

(まぁ、普通の学校ならそうでしょうね。連(つる)まなきゃ何も出来無い人がいるし、間違った事を世の中の常識だと履き違えている人も数多いし)

 このキャンパスでは、例の悪の組織に属する上級生によるちょっかい以外、イジメなどは受けなかった。
 素行不良の上級生達が幅を利かせていた為に、普通の学生による普通のイジメ(?)がはびこらない状況にあった為だ。
 そして、授業時間以外は常に姉の飛鳥が防波堤(?)として一緒にいてくれた事も大きい。
 美優樹はノートとペンケースを小さめのデイパックに詰めながら、もうひとりの自分――姿形が瓜二つな姉の飛鳥を思い起こす。

(弱い美優樹を、お姉ちゃんが守ってくれてたんだよね)

 いくら頭脳優秀でも、心と身体はまだ十五歳。
 優しく迎え入れて貰っているとは言え、十八歳以上がウヨウヨいる世界にひとりで過ごす事は精神的に難しい。

(お姉ちゃんが傍にいてくれたから、美優樹はここを歩けたのよね)

 屈託の無い姉の笑顔を想い浮かべると、心がほんのり、温かくなる。
 愛する宏を想い浮かべると胸と顔が火照るが、それとは違う、どこか安心する温もりなのだ。

(それが今では、普通の大学生として、ひとりで普通に過ごせているんだから……凄いわ)

 事件後、例の上級生からイジメを受けていた女の子やその友人などから感謝され、その他同級生なども加わって急速に友人の輪が広がった。
 どうやら、大人しい(人畜無害な?)性格に加えて可愛い衣装(ゴスロリだよ!?)に前々から惹かれていたらしい。
 夏休み前とは大違いだ。

(これこそ、雨降って地固まる、だわね)

 美優樹はニコリと微笑みながら、手招きする同級生――でもやっぱり三歳年上のお姉様達に駆け寄った。

     ※     ※     ※

「あっちゃー! 十分も遅れちゃった。美優樹、待ってるだろうなー」

 広い廊下を小走りに、友人七人と共に飛鳥は長いツインテールをなびかせて学食へと向かう。
 昼食はいつも美優樹と一緒に、ここで食べているのだ。

「美優樹ちゃん? お友達とお喋りしてるだろうから、大丈夫よ」

 朝の騒動の中心にいた三宅(みやけ)が一緒に走りながら笑い掛けると、飛鳥もそれもそうかと頷く。

「それにしても、あの准教授ったら下らん話をグダグダと! 鐘が鳴ったら、さっさと終わらせろよなっ!」

 飛鳥の怒りの矛先が先の時限の講師に向く。
 どの大学、どの学部でもそうだが、必ずひとりは時間オーバーをかます輩がいるものだ。
 殊に昼食前や五時限目――一日の最後のコマでこれをやられると、学生達の受ける精神的ダメージが格段に大きくなる。
 そして本日の被害者は飛鳥達だった。
 同じ教室から出て来る学生の殆どは飛鳥と同じ、眉根を寄せた怒り顔だ。
 声高に文句を言う分にはまだマシな方で、中には文学部の教室棟全体に響くような大音響を立てて教室のゴミ箱――ナゼか昔ながらの大型の金製だ――を蹴り飛ばした学生もいる程だ(ここは女子大なのに)。

「あの准教授、このキャンパスでは結構有名らしいわよ? 時間オーバーの常習者で」

「ホント、困ったものね~。ああ言うタイプって、たいがい他人(ひと)に厳しく自分に甘いタイプなのよね~」

 飛鳥同様、八尾(やお)と宮古(みやこ)も眉根を寄せた渋い顔で同調する。
 学食への昼食ダッシュ――昼食奪取にも通じる――に遅れを取る事は食堂での数量限定メニューや環境の好い席――窓際やフロア奥の人通りの少ない席などを失う事に繋がるので、学生達にとっては真剣かつ必死にならざるを得ないのだ。

「これで食えず座れなかったら、あの准教授のいる準備室へ怒鳴り込んでやるっ!」

「まぁ、席は何とかなるんじゃない? 二十分以上遅れて行っても窓際に座れる事、結構あるし」

 息巻く飛鳥に、ひとりお気楽な小松(こまつ)がしんがりを務めつつ急がなくても大丈夫だと笑う。
 ショートヘアを揺らす石見(いわみ)も、相変わらず熱しやすい飛鳥に苦笑する。
 このツインテール娘は正義感に加えて負けん気も強いので他人(ひと)の後塵を拝する事が嫌いだ、と言う事を数回の付き合いだけで把握しているのだ。

「あとワンフロア! みんな、急いで!」

 飛鳥は紺色のミニスカートを翻らせつつ右に左にと道行く学生を追い抜き、走るスピードを落とさずに二段飛ばしで階段を駆け降りてゆく。
 この時、スカートが翻って中身が丸見えとなっていたが、ここには女子しかいないし美優樹を待たせてもいるので構わず走り抜ける。

「って、飛鳥、待ってっ! 早いって!」

「さすが、中学高校と陸上部で鍛えた足は伊達じゃないわねー。フットワーク軽いし」

 花巻(はなまき)と但馬(たじま)も遅れまいと必死で付いて行く。

「……飛鳥ちゃん、今日は薄ピンクのショーツなんだ。昨日は純白だったし、気の強さとは裏腹に意外と純情派?」

 ひとり、そっち系(?)の者がいるが、それはさておき。
 飛鳥は軽く息をはずませつつ学食の入り口に立ち、学生で賑わう食堂全体を見渡す。
 すると、千人位は軽く収まりそうなワンフロアぶち抜きの広大な食堂の奥の窓際に、一際目立つ容姿の学生をすぐに見つける事が出来た。

「こーゆー時、あの娘(こ)のゴスロリ衣装と栗色のツインテールは便利よね-。座高も高いから一発で見つかるわ」

 自分もその容姿だと言う事をすっかりと忘れ、飛鳥はトレイを持って彷徨う学生達と接触せぬよう、ゆっくりと足を進める。
 妹の姿が大きくなるにつれ、美優樹の隣にひとつ空席があるだけで、左右正面の周囲五席は全て埋まっている事に気付いた。
 空席は自分の為に美優樹がいつもキープしておいてくれるのだ。
 同時に、周りの席の面々は美優樹の連れ(友人)だと判った。
 もっとも、自分の友人も含めて何度もランチを共にしているので、学部は違えど、今や共通の友人となっていた。

「……そっか。最近、友達も増えてるみたいだし、そろそろ私の庇護の元から卒業かなー」

 それはそれで寂しい物があるが、ひとりの学生として独り立ちするなら、姉としては手放しで歓ぶ話だ。

(そろそろ、自分も妹離れする時期かなー)

 などと思いつつ、美優樹に声を掛けた。

「お待たせ。みんなも、お待たせ。講義がちっとも終わんなくてさー」

 椅子に座りながら肩を竦めて苦笑いすると、一斉に笑顔と笑い声が返って来る。
 飛鳥の友人七人もそれぞれにこやかに挨拶を交わし、美優樹の友人に交じって腰を据える。
 飛鳥と美優樹が友人を引き連れて何度もランチを楽しむ内に、お互いの友人同士も親交を深めていたのだ。

「あははっ! 判る判る。もしかして、成田(なりた)准教授じゃない? ……やっぱり! あの女性(ひと)、始める時間はシビアなのに、終わる時間はすっごくルーズなのよねー」

「キャハハハハッ! そうそう! やってらんないわよねー」

 美優樹の向こう隣に座る羽田(はた)が天敵(?)の成田を糾弾すると、美優樹の正面に座る神戸(かんべ)も全くだ、と気勢を上げる。
 十九歳、箸が転んでも可笑しい年頃なのだろうか。
 総勢十四人が一斉に笑い声を上げ、食堂の一角が華やかな色に染まった。

「お姉ちゃん、今日は何にする?」

「私はいつも通り、日替わり定食! ライスはてんこ盛りっ。で、美優樹は?」

「美優樹は、もつ煮込み定食。味噌汁は豚汁バージョン、デザートは栗きんとんの抹茶味で」

「し、渋いっ……!」

 衣装と食事に何ら関係性は無いとは言え、ゴスロリ美少女十五歳(もうすぐ十六歳♪)のランチとは思えない内容に、一同ポカンと口を開けて絶句する。
 ただ、姉の飛鳥だけは慣れた顔付きで「それじゃ、私のデザートは『かき氷』のブルーハワイバージョンにするね♪」と足取り軽くカウンターへ向かうのだった。

     ※     ※     ※

「それにしても、いつ見ても二人はそっくり……いや、同じ顔ね~」

 豪華な(?)ランチを楽しみ、日溜まりになっている中庭の芝生の上で車座になって食後のデザート(各自持参のお菓子類だ)を楽しんでいると、美優樹のクラスメイトである三沢(みさわ)が飛鳥と美優樹を何度も見比べ始めた。
 それを機に、朝の再現とばかり十二人の友人達から好奇心満載の質問が一斉に飛ぶ。

「二人共、ホントに同じ身長なの? 三歳違いでも?」

「ってコトは、美優樹ちゃんの方が、いくらか成長が早い――ってコト?」

 身長が百六十センチに満たない小松と石見が同時に尋ねると、飛鳥が素直に首を縦に振る。
 この二人は高い身長に憧れているらしい。

「どっちも百八十センチよ。うん、そうなるね」

「髪の色も長さも全く同じ、栗色のストレートなのね~。それって、地毛?」

 ボブカットの花巻とセミロングヘアの但馬が芝生に着きそうなまでに伸ばされたツインテールに眩しげな視線を向ける。
 長くて綺麗な髪は、女性にとっては憧れのひとつなのだ。

「はい。生まれながらにこの色と質です。美優樹、この髪の色、好きです。漆黒の髪も同じ位好きですけど、何だか明るい感じがして好きなんです」

 にこやかに応じる十五歳の少女。
 三つ以上年上のお姉様方に囲まれても少しも動じないのは、年齢に関係無く、人としての付き合い方に慣れて来た証しだ。
 これも事件の――好い意味での後遺症だ。

「顔の輪郭とか、眉の形、瞳の大きさと形とか、鏡で映したみたいなのね~。不思議だわ~」

「ホントよね。顔も小さいし、掃いたような眉に切れ長で二重(ふたえ)の瞳、鼻筋の通り方や唇の形と色、厚みなんか、寸分の違いも無いのね。これで三つ違いの姉妹なんだから、医学部も裸足で逃げ出すわね」

 真ん丸顔の神戸と瓜実顔の大村(おおむら)が顔を覗き込むと、ツーポイントフレームの眼鏡を掛けた宇部(うべ)も、つい、とフレームを上げて一緒に顔を寄せてまじまじと見比べる。

「肌の肌理細やかさとか色合いなんかも全く同じ……なのね。まさしく生命の神秘だわ」

 十二人――二十四の瞳から見つめられたツインテール姉妹は、何やら腰が落ち着かなくなる。

「あ、あははは~」

「………………」

 飛鳥と美優樹も、ここまで見比べられると戸惑いよりも恥ずかしさが先に立ってしまう。
 上野のパンダもこんな気持ちだったのかも……などと、場違いな思いに囚われてしまう。

「でも、さすがに着る服は違うわね。飛鳥ちゃんはミニスカに黒のオーバーニーソックスが定番で、またそれがよく似合ってんのよね~。背が高くて足が長いと、何かと得するわねぇ」

 自身もデニムのタイトスカートとジージャンを纏った羽田が足下から舐めるように視線を上げてゆく。
 その視線は、まるでファッション雑誌の編集者のそれだ。

「美優樹ちゃんはいつも黒のゴスロリ衣装よね。レースの白フリルがアクセントになって可愛いわぁ。衣装に合わせたヘッドドレスも素敵だしぃ♪」

 ピンクの花柄ワンピースにロングのファーコートを羽織った小松も美優樹の衣装に視線を這わせ、うっとりと目を細めて溜め息を吐(つ)く。
 どうやら、可愛いモノに目が無いようだ。

「そこまで顔が同じなら、裸になったら、それこそ見分けが付かないんじゃ無い?」

 瞳を妖しく光らせた三宅の台詞に、一同が一斉に大きく頷く。
 どうやらみんなの頭の中で、この姉妹のスッポンポンの姿が浮かんでいるらしい。
 見つめる視線がエロオヤジの如く、ギラ付いている。

「あ、あのね~」

 苦笑しつつ思いっ切り腰を退く飛鳥。
 宏ならともかく、クラスメイトからそんな風に見られたくは無い。
 しかし、十五歳のゴスロリ美少女は違ったようだ。
 いとも簡単に、微笑みを浮かべて話に乗る。

「いえ、ただ一点だけ違う部分があります。なので、一目で判ると思いますよ」

 いけしゃあしゃあと曰う美優樹に、一同の瞳が一斉に見開かれる。

「へっ!? 見て判る違いなんて、服装以外にあるの? ホントに?」

「だったら、いつも見せてよ~。衣装で見分けるのって、何だか失礼じゃない?」

 そうだそうだと友人達が囃し立てる中、美優樹が小さく微笑むと姉の胸元にチラリと視線を向けた。
 妹のこの態度に、飛鳥も黙ってはいられない。
 無い乳の飛鳥にとって、胸の話題はタブーなのだ。

「って、なんで、ソコで胸、見るかなっ!?」

「あら、違うトコって、胸なの? あ……、そう言われれば、確かに……」

「あれ、ホントだ。ちっとも気付かなかったわ。大きさが……確かに違うわね。美優樹ちゃんの方が膨らんでるし」

 友人の中では一番のナイスボディーの持ち主である三宅が二人の胸元に顔を寄せ、しげしげと眺め回すと、残りの面々の視線までもが二人の胸に集中する。

「やったぁ! 飛鳥も同じだぁ~♪ これでトリオが組めるね♪」

 手放しで歓んだのは石見と但馬だ。
 どちらも微乳コンビなのだ。

「……って、なんでバラすのよっ! 黙ってりゃ判らんでしょうよ!」

 胸元を両腕で隠し、上体を捻った飛鳥が猛然と口から火を噴く。
 その顔は羞恥の為か怒りの為か(絶対、後者だ)、真っ赤に染まっている。

「えっ? 美優樹、ひとっ言も胸だ、なんて言ってないよ? お姉ちゃんが勝手に胸だ、って言ったんだよ?」

「へっ!? ……………………あっ!」

 自分の台詞を思い出したのだろう、今度は顔を蒼くした飛鳥の顔に「しまった!」と書いてある。

「でも、あんたが胸を見たんじゃないっ! だから私はっ……」

 尚も言い繕う飛鳥に、友人達の容赦無い言葉が重なった。

「はい、あんたの負け~。自ら告白するとは、さすが、お姫様を助け出した王子様。潔いわねー」

「……って、誰が王子よ! あたしゃ女だ!」

「まぁまぁ。飛鳥ちゃんは、このキャンパスでは王子として名を馳せているんだから、諦めて」

 慰める三宅(でも瞳は大いに笑っている)の言葉に、周りの女達も一斉に首肯する。

「……しくしく」

 女性として見て貰えない悔しさに涙する飛鳥。
 そんなやさぐれる飛鳥に美優樹を含めた十三人による大爆笑が起こり、余計に落ち込む飛鳥だった。

     ※     ※     ※

 午後に組まれた授業三コマの内、昼食後の二つ――三時限目と四時限目はテンションが上がらない。
 いくら必須の教養科目だろうが気に入った教授の講義だろうが、満腹後の眠気や柔らかな陽射しの差し込む教室の気怠さにはどう足掻いても勝てないのだ。
 加えて、あと少しの時間で解放される(今日は四時限目で帰れる♪)と思うと講義に身が入らない。
 そんな時、飛鳥の心は自然と想い人が浮かんで来る。
 自分より二つ年上で、中高と同じ学校に通い、同じ部活で共に汗を流した男性(ひと)――。

「宏先輩……♥」

 宏の事を想うと鼓動が早まり、心が温かくなる。
 同時に、どことなく切なくもなる。
 まるで、初めて宏を異性として好きになった瞬間のように。

「夏休み前までは、逢いたくても逢えなかったのに、今や……」

 宏の笑顔が浮かぶ。

「同じ屋根の下で、毎日一緒に同じご飯を食べてる……」

 それだけで歓喜の声を上げそうになった。

「今は下宿人としての繋がりだけど、いつか、きっと……」

 頭の中では、ウェディングドレスを纏った自分とタキシード姿の宏が腕を組んでバージンロードを歩いているシーンが浮かび上がって来る。
 恋する乙女の想いは、いつの時代でも同じだ。

「……まぁ、美優樹も夏穂姉さんも同じ想いを抱(いだ)いているんだろうし、いつまでも夢見る乙女じゃいられないよなー。宏先輩も既に六人のお婿さんだし、私から少しは積極的にアプローチした方が好いのかなー」

 実際は妻を娶ったのだが、飛鳥の中ではいつもお婿さん扱いの宏。
 自分の花嫁姿を想像し、目元がほんのりと赤くなり、鼓動がだんだん早くなる。

「でも、毎朝毎晩、宏先輩と顔を合せてお喋りするだけで嬉しいし……焦らなくても好いのかなー。同居してるんだし、この先チャンスはいくらでもあるだろうし……って、同居? 同居……同棲……」

 立場こそ下宿人と大家だが、傍から見れば同棲生活にも見える……かもしれない。
 そう思ったら頭の中で、裸で抱き合うシーンが浮かんで来た。

「ど、同棲!?」

 自分で想い描き、自分で突っこむ飛鳥。
 同棲イコール淫靡な性生活、などと三流漫画で描かれる方程式が頭の中を駆け巡ったのだ。

「はわわわっ!」

 少々刺激が強過ぎたのか声が出てしまい、思わず立ち上がる長身のミニスカ・ツインテール娘。
 当然、静まり返った教室の注目を一瞬で集めてしまう。
 年輩の教授から睨まれ、居眠りから醒めた友人から怪訝な目を向けられる飛鳥。
 集まる視線の中、頭の中が真っ白になってパニクった飛鳥は、自分でも訳の判らん行動を取ってしまう。

「あっ! 窓の外にUFOがっ!」

 大きな窓の外には雲ひとつ無い秋の蒼空が高く広がり、ビシッと指差す方向には小さく見える、ジェット機のシルエット。
 夕暮れが近付いたのか、地平線に薄っすらと色付く朱味(あかみ)が綺麗だ。

「あ~~~、キミキミ。あれは羽田へ降りるビジネスジェットだ。決してUFOでは無いが……キミにはそう見えるのかね?」

 冷静な教授のツっ込みに、教室に大爆笑の嵐が沸き起こる。

「飛鳥って……王子よりもピエロ(道化師)が似合ってるかも」

 前後左右に座っていた友人達から慰めの目(でも笑っている)で見られた飛鳥は、心の中で叫んだ。

「宏先輩~! みんなが苛める~~~!」

 意外とひょうきんな一面を覗かせた飛鳥の縋る想いが、澄み渡る秋空に今日も吸い込まれて
ゆく――。

     ※     ※     ※

 教授の都合で四時限目の講義が三十分ばかり早く終わった美優樹はバイトやサークルへ向かう友人達と別れ、ひとり図書館で復習と予習をしていた。
 学食の二階に位置するここは飛鳥と美優樹の帰宅時の待ち合わせ場所としていつも利用し、どちらかの講義が終わるまで予習復習レポートなどで時間を潰す場所となっていた。
 壁の時計を見ると、そろそろ飛鳥の講義が終わる頃だ。

「あ、飛行機。……そっか、ここは羽田への着陸コースのひとつだ、って、ほのかさんが言ってたっけ」

 大きな窓の外は雲ひとつ無い秋の蒼空が一面に広がり、夕暮れが近い為か朱味(あかみ)も差し始めている。
 その広い空の中で、空港へ向かう飛行機のシルエットがいつもと違って一際小さく見えている。
 見掛けの大きさからすると、あれはビジネスジェットのようだ。
 そうなると運輸省航空局か海上保安庁か、それともどこか企業のものだろう。

「ひょっとして……ほのかさんが操縦してたりして」

 小さく微笑み、いつも明るく楽しい金髪碧眼美女の姿を思い浮かべる美優樹。
 航空機設計に携わりたい美優樹にとって、是非ともお近付きになりたい奥方のひとりだ。
 そんな取り留めも無い事をボンヤリと思いつつ、心の中の想いが口から零れる。

「好い天気。宏さんも、同じ空の下にいるのよね」

 美優樹の心は宏一色だ。

 ――広い土地の大きなお屋敷に六人のお嫁さんと住んでいる、五歳年上の男性(ひと)。
 東京で住む場所を探している美優樹達を助け、下宿を快諾してくれた、心の広い男性(ひと)。
 そして……初恋の男性(ひと)――。

「……宏さん♥」

 口に出さずにはいられない、最愛の男性(ひと)。
 宏を想うと胸が激しく高鳴り、顔が火照り出す。
 まるで、初めて宏を異性として意識した瞬間のように。

「夏休み直前までは、頭の中で想い浮かべるだけの遠い存在だったのに……今では一緒に暮らしている……」

 宏を助ける六人のお嫁さんも、素敵な女性(ひと)ばかりだ。
 誰ひとりとして下宿に反対しなかったし、快く迎えてもくれた。
 お嫁さんとして、妻として、そして母として、宏と一生添い遂げる――。

「その輪の中に美優樹も入れたら……どんなに素敵な事なんだろう」

 同時に、母となる為にひとりの女として裸で抱き合う自分をイメージしてしまう。

「はわわっ! いやんっ!」

 思わず腰を浮かせ、声高に声が出てしまうゴスロリ美少女。
 当然、図書館中の視線を一身に集めてしまう。
 既にその衣装と美貌に注目が注がれていたとは言え、奇声を発する不可解な電波系と思われたら流石にイヤだ。
 赤く染まった顔のまま、咄嗟に自らを訂正するかのように独り言(言い訳?)をする。

「あ……あら、やだ。本に虫がいるわ」

 司書が聞いたら慌ててすっ飛んで来そうな台詞を吐き、何とか誤魔化しに成功する美優樹。
 頭の中が宏で占められている今の状態では、もはや予習復習など到底無理だ。

「宏さんがいなかったら、美優樹達、今頃どうしていたかしら。……狭いボロアパートで三人が鮨詰めになってたり両隣の住人からいやらしい目で見られたりして……」

 そう考えると、宏の存在が如何に大きく、ありがたいかが判る。
 いつでも、どんな時でも笑顔で接してくれる男性(ひと)に、美優樹の心が歓喜の歌声を奏でる。

「宏さん、大好き。愛しています♥」

 両手を胸の前で組み、祈るようなポーズで空を見上げる美優樹。
 ゴスロリ美少女の嘘偽りの無い純粋な想いが、今日も秋の高い空に吸い込まれてゆく――。


                           (後編へつづく)

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【 お寄せ戴いた御意見・御感想 】

[ 前半から失礼します♪ ]
( ;∀;)イイハナシダナー
一見KYな若菜でもやはり、千恵姉と同じ血が流れていますね♪
というか、つくづく思うのですが、話作り上手いですね~~ 尊敬(言い過ぎでっしょうか?)します!w

前回「後半へ行って来ます♪」と言ってしまうミスwww というか、中編wwどれだけ長いといいますか、ストックがあるんですかwww 恐ろしい方ですwww

というか、非エロ縛りで……いえ、何でもありませんwww しかし、この構成の上手さから考えると……

更新お疲れ様です。後半も楽しみにしています。

[ メッセージありがとうございます♪ ]
きのさん
 コメントありがとうございます♪

 過分にお褒め戴き、誠に恐縮です。m(_ _)m
 物語はいよいよラストへと向かいます。
 果たしてどんな展開になるのか……ご期待下さいませ♪

 いつも応援ありがとうございます♪ m(_ _)m
 

[ いきなり失礼します ]
こんにちはいつも楽しく読ませていただいてます

私はヒロインの日常っぽい話が大好きなので
ニヤニヤが止まりませんねw

それと助教授と書かれていましたが
今は准教授に肩書きが変わりましたがどうなのでしょうか?

[ いつもご愛読戴き 誠にありがとうございます♪ ]
B-BW Reikaさん
 コメントありがとうございます♪

 物語を楽しんで戴けた様で何よりです。
 助教授/准教授ですが、二年前に呼び方が変っていたのですね。
 少しも知りませんでした……。
 勉強不足で申し訳ございません。
 早速修正致します。

 忌憚なきご意見、誠にありがとうございました。
 今後ともご贔屓に願います♪
 

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