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百花繚乱~前編 百花繚乱~前編 美姉妹といっしょ♥~番外編
 
「みんな、おはよ~♪」

 ドアを開け、にこやかに出勤したほのかに、オフィス内のそこかしこから一斉に元気な挨拶が返って来る。
 ほのかの勤める羽田事業所には所長以下、運航管理者(ディスパッチャー)に機長(キャプテン)と副操縦士(コ・パイ)が各二名配置され、整備士や事務専門職などを含めるとおよそ三十人が常駐している。
 そして壁一枚隔てた隣の格納庫(ハンガー)にはアメリカ製のビジネスジェットが一機、据え置かれ、重役の国内外への出張や取引先の送迎等に使われていた。
 羽田空港の一角にあるこの事務所は、それら飛行業務(フライト)に関する最前線基地なのだ。

「ほのかさん、おはようございます」

「あら、ほのかちゃん、おはよう♪ 相変わらず、今日も綺麗ね~」

「ありがとうっ! みんな、愛してるぜ~♪」

 タイムカードを押しつつサムズアップし、同僚や上司に満面の笑顔で応えるほのか。
 腰まで届く波打つ金髪をなびかせ、碧眼を煌めかせた切れ長の二重(ふたえ)に長い睫。
 鼻筋の通った彫りの深い美顔と染みや皺の無い、透き通るような白い肌。
 百七十三センチの高い身長と膨らむ所は膨らみ、細く括れたウェストと滑らかな曲線が描くボディーラインは見る者全てを魅了し、スラリと伸びた美脚が眩しいばかりの北欧生まれのハーフ美女。
 見た目の美しさとは裏腹に豪快な男言葉を使い、気さくな性格と物怖じしない度胸を併せ持った彼女は、今や羽田のクイーンとして人気を博していた。

「さて。今日の仕事(フライト)は確か……」

 袖と肩に金色の四本線があしらわれた純白の制服(下は黒のパンツルックだ)に着替え、髪もアップに纏めたほのかの朝は、一日のスケジュール確認から始まる。

「そっか、今日は復路も乗るんだっけ。な~んだ、お客様を送った帰りは気楽に飛べると喜んでたのに……残念! 板付から『載せる』重役連中の事なぞ、すっかり忘れてたぜ」

 自社の重役を荷物扱いするジョークを飛ばし、事務所中の笑いを誘うほのかは、二十五歳の若さにして社用ビジネスジェットのパイロット――しかもキャプテンなのだ。

「やれやれ。帰りはメタボ軍団を積むから、ぐ~~~っと重くなるなぁ。離陸出来無かったらイヤだなぁ」

 頭をボリボリ掻きつつ堪能な日本語を駆使し、再び爆笑を誘った彼女は今日、福岡空港まで往復するフライトが組まれていた。
 博多から東京へ出向いた取引先の社長(昨日、大きな契約が取り交わされたらしい)を送り届け、帰りの便で九州各地へ出張していた重役数人を乗せて戻るのだ。

「さて。そろそろ始めようか」

 壁に掛かる時計を見たほのかは、隣の席に座る同僚のコ・パイ――二十三歳の独身美女だ――と、直接の上司であり、副所長でもあるディスパッチャーに声を掛け、操縦に必要な書類や道具が詰まったパイロットバッグを手にハンガーの出入り口横に置かれたブリーフィングデスク(ここで出発前の打合せをするのだ)へと足を向ける。
 フライトが組まれている日は遅くとも出発時刻の九十分前迄に、この三人でフライトプランの作成に取り掛かるのだ。
 とは言っても、あらかじめディスパッチャーが最新の気象データを元に飛行コースや高度、それに見合った燃料搭載量をいくつか選定しているので、キャプテンとコ・パイの二人はそれらの精査と確認作業が中心となる。
 因みに、フライトプランとは出発地と出発時刻、飛行経路と飛行高度、目的地と到着時刻、飛行速度、代替目的地などを記した飛行計画書の事だ。
 この書類には他にも飛行機の国籍や登録(機体)番号、飛行機の型式や機体色、飛行方式(有視界か計器か――ほのか達の場合は常に計器飛行となる――)、燃料搭載量と飛行可能時間、通過地点毎の所要時間と残存燃料量、搭乗人数、乗員の氏名等を漏れなく記入しなくてはならない。
 これを出発地の空港事務所へ提出しないと、理由の如何を問わず飛び立てないのだ。

「……なるほど。沿海州の低気圧から山陰沖に伸びる前線が曲者だな」

 ほのかはデスクの隅に置かれたディスプレイに最初に目を向け、気象衛星からリアルタイムで送られる雲の赤外線画像をじっくり眺める。
 机の上には最新の天気図や関東から九州までの西日本をカバーした航空路図、航路沿いの空港に関する資料も広げられ、フライトに必要なデータが全て揃えられている。
 眉根を僅かに寄せ、画面を見つめたままのキャプテンに、机を挟んで正面に座るディスパッチャーが頷きながら補足する。

「気象予報官も、六時間後には北陸から近畿四国沖に懸けて寒冷前線が南下すると予報を立てているわ」

 ほのかの上司は長い黒髪をアップに纏めた、見目麗しき大和撫子――三十五歳・独身――なのだ。

「往路は……前線はまだY20(ヤンキー・ツーゼロ)に懸からないから大丈夫。問題は帰りだ」

 ほのかは座間から富士山の北を通り、琵琶湖上空から岡山、広島を経て下関沖の日本海に伸びる航路を指で辿り、往路に問題は無いと判断する。

「復路はV37(ビクター・スリーセブン)を使おう。通る頃に寒冷前線が懸かるけど、高度を取る(上げる)から、雲そのものの影響は受け無いしな。板付の空港事務所で雲の様子を確認し直すけど、ルートは変わらずに済むと思うよ」

 コ・パイとディスパッチャーも真剣な表情で大分から高知、串本を通り、大島へと辿るほのかの指先を目で追い、判断を支持・了承する。

「ルート上の雲のトップ(雲頂の高さ)と風のデータは入ってる?」

 天気概況を頭に叩き込んだほのかがディスパッチャーに視線を向けると、間髪容れずに答えが返って来る。

「今朝方、飛び立ったお隣のパイロットさんからの報告だと、午前九時のY20上でのトップは一万九千フィート、高度三万一千フィートでの風向きは二百十度――磁方位で示す――、風速は四十ノットよ」

 航空路上の気象情報は企業間の垣根無く、全パイロット共通の情報として扱われる。
 その為、飛行中や着陸したパイロットから送られて来る情報は各航空会社や企業へ十五分毎にファクスで知らされるようになっているのだ。

「同じルートを飛んでいる民間航空会社(エアライン)からの報告では、トップと風向きは同じだけど、高度二万八千だと三十五ノット、三万九千は五十ノットと、上に行くほど強い向かい風になっているわ」

 ディスパッチャーは、その報告書のコピーをキャプテンとコ・パイに示して情報の共有化を図る。

「帰りのV37は、エアラインからの報告だと……同じく午前九時でのトップは一万五千、高度三万三千では二百四十度から四十ノット、三万七千では風向同じく四十五ノットとなっているわ」

「OK。それじゃ……往きは向かい風がまだ弱い二万八千で、帰りは追い風に載せるから三万七千でいこう。次案(セカンド)は往きに三万一千、帰りは四万一千にしよう」

 ルートと高度が決まると、次はウェイトアンドバランス(Weight and Balance)――燃料の搭載量や搭乗者について再検討する。
 飛行機は目的地、飛行高度、その日の気温、湿度、風向きと強さで燃料の量が決まり、それに合わせて搭乗人数や荷物の搭載量が決まる。
 当然、悪天候や緊急着陸などに備えて複数の代替空港(予備着陸地)までの燃料やその分の飛行時間を含めた予備燃料などの計算も必要となる。
 目的の空港に着陸出来無い場合、代替空港へ引き返す燃料が往路、復路それぞれに必要なのだ。

「今日は往きが四人、帰りは五人で間違い無い? 体重が百キロ超える場合は座らせるシートをこちらで決めるから今のうちに言ってくれ」

 ほのかのリクエストに、ディスパッチャーの女性が苦笑しつつ答える。

「今日の往きは四人で問題無いわ。ただ復路が……ひとりは問題無いけど、残り四人が……九十キロ台なの。いずれもウチの重役よ」

「……やっぱり『載せる』んじゃん。あぁ、重たい」

 形好い眉を八の字に下げたほのかが自嘲気味に呟くと、いつもの事です、とコ・パイが慰めるように笑い掛ける。

「それに、四人なら自然に左右に分かれて座りますからバランスは大丈夫ですよ。何でしたら私が搭乗時に声を掛けて席を指定しますから」

「あぁ、頼むよ♪」

 問題(?)も解決し、ほのかがウィンクして話を締める。
 それを見たディスパッチャーがそれでは、と話を続ける。
 ほのかは、コ・パイを交えてエンジン始動から目的地までの所要時間とそれに伴う消費燃料を計算し、ディスパッチャーが予め算定しておいた数字と付き合わせて間違いが無い事を三者で確認し合う。
 勿論、往路での代替空港とした名古屋の小牧空港と大阪の伊丹空港、復路での関西国際空港と中部国際空港の気象状況も考慮した上で数字を弾き出す。

「……それじゃ、搭載燃料は一万一千ポンド――およそ五トン弱――にしよう。何事も無ければ一往復半、飛べる量だ。……まぁ、板付で帰りの分を入れても好いけど、今のうちに全部やっておいた方が楽だし早く帰れるからな♪」

 ウィンクひとつ、投げるほのかに上司と同僚が顔を見合わせ、またかと苦笑いする。
 このキャプテンは仕事に関しては非の打ち所がないのだが、意外と面倒臭がりな面があるのだ。
 なので、この機長は日帰りの場合、「羽田発、目的地経由羽田行き」のフライトプランを立てるのだ。
 これなら目的地の空港事務所で復路のフライトプランを改めて立て直す必要が無いので、折返し時間の短縮にもなる。
 ほのかは目的地であれこれ準備をし直すより、この羽田事務所で出来る事は全て済ませる方法を好むのだ。
 当然、復路で使うドリンクや軽食の詰まったミールカートをここで積む手配も忘れない。

「さて、これで好いかな?」

 最後に羽田と福岡の最新気象状況を確認し、ほのかは改めてフライトプランに目を通して勘違いや思い違いなど、ミスや記入漏れの無い事をディスパッチャーとコ・パイと共に指で指し示しながら確認する。
 フライトプランの最終的な作成と決定は全てキャプテンが行う。
 キャプテンはフライトに関する全責任者であり、飛行中はありとあらゆる権限を持つ絶対的存在である。
 フライトプランの作成から到着後にエンジンを切るまでは、搭乗した自社の社長や会長は勿論、一国の大統領や国王よりもキャプテンの指示・判断が最優先されるのだ。
 ほのかの纏う制服の袖と肩に光り輝く金色の四本線は数々の厳しい訓練と数多(あまた)の経験を積み重ね、人格や判断力に優れ、いくつもの国家試験を通過し、キャプテンたる能力と資格を得た者だけに与えられる栄えある証であり、数々の権限を行使する事を許された証でもあるのだ。

「……よしっ! これで行こう」

 ディスパッチャーにより清書されたフライトプラン(パソコンに各数字を打ち込むと自動的に体裁が整えられるのだ)がプリンタから打ち出され、ほのかが一番下の最後の空欄にサインをした所で、三十分を優に越えた綿密なブリーフィングが終了する。
 ここで作成されたフライトプランは羽田と福岡の両空港の管制室と所沢にある航空管制部へも送られ、エアラインに混じって計器飛行する事が初めて許されるのだ。

「それじゃ、行って来ま~す♪」

 事務所の面々からいつも通りに笑顔(と万歳三唱)で送られ、コ・パイと共に事務所を出ると、ハンガー前の駐機場(スポット)にはもうひとりのパートナー、『ガルフストリームV(ファイブ)』がほのか達を待っていた。
 この飛行機は全長三十メートル、全幅二十九メートル、全高八メートル、自重二十二トン、主翼端にウィングレットを備えた双発小型ジェット機だ。
 客室幅は二百四十五センチ、高さ百九十センチ、長さ十五メートル強――六畳間を縦に五つ並べた広さに近い――あり、設計上での最大乗客数は十九名、この機体では十人まで乗れる仕様にしてある。
 華奢な外見とは裏腹に静粛性や居住性に優れ、ゲストや重役から多く好評を博している機体だ。
 また、巡航速度や航続性能(航続距離)が抜群に優れ、人や荷物を満載した状態でもボーイング747(ジャンボジェットの愛称で有名だ)と同じ速度で羽田からロンドンやニューヨークまでノンストップで飛行出来る、ハイスペックなビジネスジェットでもある。
 陽の光に煌めく機体はアイボリーホワイトと機体底部にライトグレーのツートンカラーに塗られ、横長の楕円形をした窓の下には深紅を金色で挟んだラインが機首から尾翼まで伸びて、スリムなボディーを、より引き締まったシャープで軽快な印象を与えている。

「おっ♪ みんな、ガンバってくれてるな」

 ほのかの視線の先では複数の作業車と数名の整備士が機体に取り付き、フライトプランに記された燃料を入れたりエンジンと機体チェックに精を出していたりと出発前作業の真っ最中だった。
 客室(キャビン)では、事務所のお姉さんが座席を整え、積まれたミールカートを指定された場所に固定している姿も窓越しに見えている。

「みんな、お疲れさん! 今日もよろしく頼むね~♪」

 大きく手を振り、笑顔でスタッフの労に感謝するほのかに、整備士達は一斉に破顔し、サムズアップで応える。
 格納庫前は離着陸する定期便や作業車のエンジン音が響き、言葉が届きにくい。
 その為、整備士達は全員ヘッドセットを装着し、身振り手振りを交えて意志を伝え合うのだ。

「それじゃ、オレは外を見て来るから、中をよろしく」

 ほのかはパイロットバッグをコクピットに収め、フライトログ(飛行記録書――飛行中の異常や整備の記録が書かれた公式文書だ――)に目を通した後、コ・パイに声を掛けてからタラップを降りる。
 副操縦士がコクピット点検(電源や警報ランプ、各種装置の動作チェックやフライトに必要なデータの入力や設定をするのだ)している間に、機長は機外目視点検を行うのだ。
 ほのかは些細な異常をも見逃さないとばかり、自分の顔が映るまでに磨かれた機体に目を凝らし、主翼の後縁にあるフラップなどの可動部やタイヤを含めた足回り(着陸装置)、ピトー管(気圧差を利用して速度等を測る)などは直接手で触って異常の有無を確かめる。
 また、機体後部左右に一基ずつ取り付けられたエンジンも懐中電灯を使って整備士と共に念入りにチェックする。
 勿論、整備士達の腕前を疑ってはいないし全幅の信頼を寄せてはいるが、所詮、飛行機は機械の塊。
 ボルトひとつ緩いだけで飛行中にエンジンが爆発したり機体に大穴が開いたりする事だってあるし、機体に張り付いたごく小さな紙片一枚で計器が狂い墜落する事もある。
 最新ハイテク技術の集大成とは言え、航空機は他の乗り物と違って航行中――空を飛んでいる間はその場に停めたり降りて様子を見たりする事が出来無い。
 故に、自身が風雨に晒されようとも、どんなに時間が無くても――たとえ出発時刻が大幅に過ぎてゲストを怒らせたとしても飛行前には念には念を入れた点検が必須なのだ。

「キャプテン、そろそろお時間です」

 三十分以上時間を掛けた機外点検が終わるのを待って、整備責任者(チーフエンジニア)が書類を手に声を掛けて来た。
 機体の周りに集まっていた作業車は既に引き上げ、整備士達も誘導路に立って機体周辺の安全を確保しつつ出発を待っていた。
 キャビンを整えてくれていた事務所のお姉さんもとっくに機を降り、ハンガー前で見送る態勢になっている。

「了解。お疲れ様♪」

 笑顔で労をねぎらい、ほのかは燃料やミールカートが指定数通りに、規定の場所に積まれた事を確認した書類にもじっくりと目を通し、サインする。
 時計を見ると、出発時刻まで十五分を切っている。

「ボチボチ、ゲスト――ほのかは搭乗者をそう呼んでいる――が到着……」

 しても好い頃だと言い掛けた時、ハンガー横のドアからシルバーグレイの髪をオールバックにした細身の紳士と大きめの鞄を両手に持った中間管理職らしきお付きの男性二人が、会長(恰幅の好い布袋様似のハゲオヤジだ)と会長に付き従う長身の女性秘書(……見覚えのある、見飽きた顔だ)に先導されて姿を見せた。
 その後ろには羽田事務所の所長(容姿はまるで大黒様だ)と美貌の副所長の姿も見え、こちらはゲストの見送りに来たようだ。

「お、来た来た……って、三人? ゲストは四人じゃなかったか? ……まぁ、減る分には影響無いから好いけどさ」

 搭乗人数の直前の変更は相手の仕事の都合でままあるとは言え、連絡無しのドタキャンは個人的に好きになれない。
 眉根を寄せた機長の呟きに、書類を確認していたチーフエンジニアが訝しげに顔を上げる。

「あ、何でもないっ! 個人的な事だから気にしないで好いよ。それじゃ、今日もナンバー・ツー(No2――右エンジン――)から始動するから、よろしくな♪」

「了解しました! いってらっしゃい!」

 チーフエンジニアの元気な声に送られ、ほのかはタラップの横に立つと機長としてゲストを恭しく迎える。

「ようこそ! 福岡まで操縦を担当致します、機長のほのかと申します。短い時間ではありますが、機内ではごゆっくりとおくつろぎ下さい」

 慇懃な態度でゲストと接するほのかを横目に、女性秘書が先んじてタラップに足をかけた。
 機上でゲストを迎え、キャビンに案内する為だ。

(……って、晶も乗るのか!? それじゃ、搭乗者の四人目って、晶なのか!)

 切れ長の碧眼を見開いて驚くほのかに、可笑しげにクスリと笑う晶。
 その視線は、「どう? びっくりしたでしょ♪」と言っている。

(フライトプランに記載された搭乗者数は四だけど、名前までは書かれてないからな)

 搭乗時に住所・氏名・年齢が必要なのは事務側であり、現場(パイロットや整備士等)には関係無いし、必要も無いのだ。
 この女はそれを逆手にとって『ドッキリ』を仕掛けたようだ。
 タラップの前で見送る会長とゲストとの漏れ聞こえる話によると、どうやら福岡までの機内接待(早い話、フライトアテンダント)を仰せ付かったらしい。

(今日のフライトに晶が同伴するなぞ、家(うち)ではひとっ言も言っていなかったじゃんっ!)

 などと思いつつ、

「……いらっしゃい。よくぞお越し下さりやがりましたねぇ」

 初めて知らされる事態に眉根を寄せ、嫌みったらしく呟くほのか。
 そんなほのかに、晶は「してやったり、大成功♪」とばかり、美顔を引き攣らせて必死に笑いを堪えていた。
 オマケに、この腹黒女は右腕で小さくガッツポーツなぞ決めているではないか。

(くっそーっ! だったら、飛行中に機体を三十秒間で二万フィート――毎秒二百二十メートル強の計算になる――急降下させて青ざめさせてやろうか!)

 などと本気で考えたが、今日はゲストがいるので自重する(後に、お客がいなくてもダメですっ! とコ・パイから叱られた)。
 第一、そんな事をしたら管制官から大目玉を食らい(それどころか夕方のニュースネタになってしまう)、会社からは始末書(書くのが面倒臭い)&減俸(宏から貰った億単位のお金があるので痛くも痒くもない♪)モノだ。

(だったら、晶には「フライトアテンダント」として、目~~~一杯、コキ使ってやる!)

 機内に入れば、絶対権力者は自分だ。
 会長の第一秘書だろうが秘書課課長だろうが、そんな肩書きなぞ機長の前では何の効力も持たない。
 夕方ここに戻るまで、せいぜい権限を行使させて貰う事にしよう。
 碧眼を細め、道中楽しくなりそうな予感にほくそ笑むほのかだが、心の奥底では晶との久々の同乗を歓んでいる事に、ほのか自身は気付いていない。

「キャプテン、全て異常無し(オールグリーン)です……って、どうかしましたか? 顔が思いっ切り緩んでますよ?」

 晶とフライトについて簡単な打合せを済ませてからコクピットに戻ったものの、どうやら不埒な考えが顔に出ていたようだ。
 仕事とは別方面に意識が向いていたほのかに、コ・パイが怪訝な顔で尋ねる。

「へっ!? あ、いや、何でも無いっ、何でも無いんだ。それじゃ……」

 慌てて取り繕ったほのかはキャプテンシート(左側の席だ)に腰を据え、機長の顔に戻ると出発前点検を指示する。

「Before Start Check!」

「Roger!」

 チェックリストを手に、二人はエンジンを始動させる為の準備に取り掛かる。
 因みに、コクピット内の会話は母国語と英語、航空管制用語が入り交じった会話となる。

「……Before Start Check Completed. All Green!(スタート前点検完了、異常無し!)」

 コ・パイの確認コールに頷き、ほのかは次の指示を出す。

「では、クリアランスを」

「了解! Tokyo Delivery. Clipper101. to Fukuoka……」

 コ・パイが無線で羽田の管制官に出発地へ向けての飛行許可を求めている間、ほのかはキャビンの様子を映したモニター映像をチラリと眺める。
 客室では、晶がゲストに非常時の対応や救命胴衣の使い方をレクチャーしている真っ最中だった。

「……Contact Grand 121.7 Good day!」

 復唱を終えたコ・パイがサムズアップし、福岡までの飛行許可が下りた旨を告げる。
 ほのかは二つあるエンジンを順次始動させ、各種チェックを行いながら機体を滑走路端まで持ってゆく。

「Clipper101. wind 350 at 10. runway04. cleared for takeoff.」

 管制官から離陸許可が下りると、ほのかは必ず、ある儀式をする。
 左手薬指に嵌められたプラチナリングに唇を寄せるのだ。

(宏、行って来るからな。愛してるぜ♥)

 このリングは自分と宏とを繋ぐ命より大切なマリッジリングであり、道中の安全と無事を祈り、必ず宏の許へ帰ると誓うキスなのだ。

「それじゃ、行きましょう!」

 コ・パイに声を掛け、ほのかはスラストレバー(車のアクセルに相当する)を離陸位置まで押し上げる。
 アイボリーホワイトに紅いラインの入った煌めく機体はロールスロイス社製の独特なエンジン音を高らかに響かせ、晩秋の澄み渡った蒼空に向けて今日も飛び立ってゆく――。


     ☆     ☆     ☆


 宏の屋敷では社会人四人(夏穂、晶、ほのか、宏)が出勤し、女子大生二人(飛鳥、美優樹)が登校すると、残った四人(優、真奈美、千恵、若菜)が主婦として家事全般を切り盛りし、屋敷を預かる事になる。
 千恵と若菜は炊事を、真奈美は掃除・洗濯を、優は家計(財政)を担当しているが、これらはあくまで中心的役割と言う意味で、いつもは四人で家事を分担し、それぞれが積極的に助け合っていた。
 ただ、家計に関しては優の専任になっているので他の者が手伝う事は無い。
 株の売買や外国為替証拠金取引などは専門的過ぎて、優以外は手も足も出ないからだ。
 そして、今朝も社会人と学生を笑顔で送り出し、若菜と真奈美の三人で朝食の片付けを手際好く終わらせた千恵は、休む間もなく次の仕事に取り掛かっていた。
 この屋敷はとても大きく広いので、のんびりしているとあっという間に夕方になってしまうのだ。

「ありゃりゃ。こっちのハンドソープも空に近いじゃんか。こりゃ、あかんなー」

 買い出し品のメモを取りつつ、千恵は二階東側にある洗面台の前で溜め息を吐(つ)いていた。
 この洗面台の下にある棚には十八リットル入りポリ容器の薬用液体石鹸(ハンドソープ)と消毒用アルコールが仕舞われているのだが、二つとも小指一本で持ち上げられるまでに中身が減っていたのだ。

「小分けした消毒用アルコールも減りが早いし……。ま、これは時節柄仕方無い……か」

 洗面台に置かれたポンプボトルを持ち上げて左右に小さく振り、中身が殆ど無い軽さと音に苦笑いする。
 秋が深まるにつれ、巷では新型の風邪が流行り出し、近所の小中学校では学級閉鎖や学校閉鎖に追い込まれる事態となっていた。
 屋敷の面々は、帰宅時は当然として事ある毎に一日数回のうがいと手洗いで自己防衛に努めているので、殺菌・消毒効果のあるハンドソープと消毒用アルコールがどんどん消費されてゆくのだ。

「一階に置いといた分も殆ど無いし……こりゃ、全部ひっくるめてまとめ買いするしかないか……って、ちょうど終わったか」

 千恵がポリ容器からポンプボトルにハンドソープを移し替えると、丁度、ポリ容器が空になった。
 一階の洗面所(脱衣所を兼ねている)と二階西側の洗面所でも空になっていたので、これでこの屋敷からハンドソープのストックが無くなった事になる。

「やれやれ。シャンプーとコンディショナーに続いてハンドソープも、か。しかも、ボディーソープも空だったとは想定外だったわ。いやはや、流石に十人もの人が暮らしていると、減るのが早い早い」

 千恵は手元のメモを見て、さっきよりも深い溜め息を吐(つ)く。
 脱衣所の棚にストックしてあった分まで、全て空になっていたのだ。
 残っているのは、それぞれのポンプボトルに残っている分だけだ。

「今晩も使うから、下手すると明日まで保たないどころか、今日最後に風呂に入ったらボディーソープが無かった――なんてハメになりそうだわ」

 千恵は腕を組んで暫し考え込む。
 まさか今夜から取水制限ならぬ、石鹸類の使用制限をする訳にもいかない。
 なにせ、この屋敷にはうら若き乙女が九人もいるのだ。
 男の宏はともかく、女性陣は風呂に入らない訳にはいかない。

(第一、汗臭いまま宏と……らぶらぶえっち、する訳にいかないじゃないっ!)

 目元をほんのり紅く、染める千恵。
 どう見てもこちらが本音と本質なのだが、千恵は気付いていない。

「先週チェックした時には、あと十日位で無くなると読んだんだけど、完全にミスったなー。ここまで減りが早いなんて、読み違いも甚だしいわ」

 己の判断ミスにボリボリと頭を掻き、苦笑いする千恵。
 この屋敷では食器用洗剤に始まり、入浴で使うシャンプーやコンディショナーにボディーソープ、洗面所に常備してある手洗い用の薬用液体石鹸に消毒用アルコール、洗濯用の液体洗剤に柔軟剤、浴室や台所などに使う掃除用洗剤などは、ポリ容器に入った業務用の十八リットル入りのものを仕入れ、それらを小分けして使っている。
 ところが、食器洗剤と掃除洗剤を除いたそれら殆どが底を着き、今や屋敷の衛生用品は枯渇状態になっていたのだ。

「やれやれ。これじゃ日用品担当失格ね。自ら引き受けた役目なのに、みんなから笑われちゃうわ」

 この屋敷では、千恵が生活備品類の一括管理を任されていた。
 任されたと言っても、実際は消耗品のチェックや仕入れなど自ら進んで引き受けたのだ。
 面倒見の好い性格のお陰か、細々とした雑務(?)をこなしても全く苦にならないのだ。
 もっとも、根っ子の部分では宏の妻として家を守る、みんなとの生活を維持したい、維持させる――と言う想いが断然、強いのかもしれない。
 そして今日も朝食後、週一回行う生活消耗品のチェックをしていると殆ど空の容器を多数発見、溜め息を吐(つ)いていたのだった。

「ネットで注文は……間に合わない、か」

 普段、これらの品々は近所のホームセンターで仕入れている。
 この店のネットショップで夕方までに注文すると、翌日の午前中に届けてくれるのだ(この時、空になった容器を引取って貰う)。
 しかし、今回はそれでは間に合わない。

「買って帰るには量が多いし、重過ぎて運べないんだよなー。たとえ食材用の運搬カート(入れる部分が袋タイプのものだ)を使っても、サイズ的に中に入らんから、どのみち無理……か」

 十八リットル入りのポリ容器は、一斗缶と同じ寸法なのだ。
 これを一度に五コも六コも運ぶなど、うら若き乙女がする事ではない。

「はてさて、マジで困ったな。どれも今日、使うものばっかりだからなー。どれかひとつだけだったら、カートに括り付ければ運べない事も無いけど……」

 かと言って、片道十五分のホームセンターまで何往復も歩くのは、いくら何でも、しんど過ぎる。

「ん~~~、仕方無い。今日だけ普通の詰め替え用を買って来て、それで急場を凌ぐか」

 頭の中でそうするしかないだろうな、明日からの分はネットで注文しとかないと、などと唸りながらリビングに戻ると、ノートパソコンの前に座っていた美女が声を掛けて来た。

「……千恵さん、どうしたの? 何か問題でも?」

 静かな話し方と落ち着いた声が、悩める千恵の意識を呼び覚ました。

「へっ?! 優さん? あぁ、あのね、実は……」

 声を掛けた美女こそ、宏の従姉にして晶の双子の妹でもある優だ。
 ショートヘアをシャギーカットにし、姉と同じく強い意志を感じさせる透き通った瞳に鼻筋の通った小顔。
 線の細いボディーと慎ましやかな胸の膨らみは得も言われぬ色香を放ち、もの静かな口調と落ち着いた態度はクールな印象を与えるものの内面は熱い心を持っている、二十五歳のスレンダー美人だ。
 しかし、見た目の大人しさとは裏腹に株や外貨取引など、金融に関する第一人者でもある。
 的確で冷静な判断力はプロや姉をも凌ぎ、宏の預けた十万円を僅か四年で億単位にまで増やした手腕と実績を持つ、我が屋敷きっての大蔵大臣なのだ。

「……千恵さん。まずは座って」

 勢い込む千恵を小さく制し、ノートパソコンをそっと閉じる優。
 今迄、リアルタイムで株価のチェックをしていたらしい。
 壁際に置かれたテレビ画面には、昨日からの株価と為替の推移や現状を解説している番組が音を消した状態で流れていた。
 千恵は優の対面のソファーに腰を下ろし、メモを見せつつ事情を語り出した。

「……なんだ、そんな事。直ぐに解決出来る。ホームセンターで……すれば好い」

 全てを聞き終えた優がサラリと口にするものだから、ひと息吐(つ)いていた千恵はうっかり聞き逃してしまった。

「えっ!? あの……もう一度言って貰えます? 今、車を借りる……とかなんとか、聞こえたような気がしたんですけど?」

 身を乗り出し、正面に座る二つ年上の美女に眉根を寄せて迫る千恵。
 訝しむ千恵に、優は懇切丁寧にもう一度繰り返す。

「……だから、車を借りて、買った品物をここまで運べば好い」

 余りに簡単明瞭過ぎて、千恵は逆に判らなくなってしまった。

「えっと…………車を借りる、って、どこから? 運転は……誰が?」

 首を捻り、頭の中をクエスチョンマークで満たした千恵に、目の前の美女が微笑みながら、いともあっさり答えた。

「……車は、ホームセンターのレンタルサービスを利用する」

「レンタルサービス……って、確か……大量の品物やかさばる物を買ったお客が家(うち)まで運ぶのに自分の車じゃ運べないから店の車を借りて運ぶ、って言う、あのレンタルサービス?」

「……うん、そう。ボク達が買い物に行って、買った品物を車に積んでここに戻り、車を返す。ただそれだけの話」

「あ、何だぁ。そんな簡単な事だったんですねぇ。いやぁ、重いモノ運ばなくて助かった――って、あの……?」

 ここで千恵は重大な部分に気付いた。
 自分も妹の若菜も、免許は持っていない。
 真奈美も妹と買い物に行っているので、ここにはいない。
 となると、この場で車の運転云々を言っている人物と言えば……。

「あの、まさか、運転……って、ひょっとして……優さん……が?」

 ニッコリと笑って何度も頷く優に、大きな瞳を更に真ん丸に見開く千恵。
 人生二十三年にして初めて知る事実に驚愕し、暫し時間を忘れるのだった。

     ※     ※     ※

「優さん。いったい何時、免許取ったんです? あたい、ちっとも知らなかった」

 ホームセンターへの道すがら、千恵は隣を歩く優に向かって興味津々に尋ねる。
 今の今迄、免許どころか車の運転にさえ縁がないと勝手に思い込んでいただけに、物凄く新鮮に映ったのだ。

「……んと、確か十九歳……大学一年の夏休みに、お姉ちゃんと一緒に地元(田舎)で取った。だから、免許暦は六年になる」

「大学の一年と言うと……あたいが高校二年、宏が中学三年の時ね。……そっか、宏と二人っきりで海へ行った、あの夏……か」

 ほんのりと紅く頬を染め、遠い目で大切な想い出を瞬時に回想する千恵に優の眉がピクリと動いた。
 柔らかい笑顔のままだが、澄んだ瞳が僅かばかり眇められる。
 流石に晶の妹だけあって、宏に関しては人一倍、勘とレーダーが働くようだ。

「……二人っきりで……海? それは初耳。……千恵ちゃん。店に着くまでに詳しく聞かせて貰おうかな?」

 しかも、恐るべき地獄耳である。
 涼しげな目元と口の端が心なしか吊り上って見えるのは、気のせい――だろうか。

(あ……自ら地雷、踏んじゃったかも)

 メデューサの如く突き刺さる視線に脂汗をタラタラ流しつつ、千恵は蛇に睨まれた蛙状態になってしまった。

     ※     ※     ※

「――よいしょっ、と。これが最後、っと。はぁ~~~~、重かったぁ」

「……ふぅ。流石に量と重さがあるから、好い運動にもなる」

 千恵と優はホームセンターの駐車場で店から借りた軽バン(軽自動車のワンボックスタイプ)の後部ドアに特大のショッピングカートを横付けし、十八リットル入りのシャンプーやら薬用液体石鹸やらのポリ容器、その他を積み替えていた。
 会計時に店のスタッフ数人が品物の余りの量と重さに手伝いを申し出てくれたが、そこまで甘えないのが千恵と優だ。
 レジから車までカートを押して貰うだけに止(とど)め、車への積み込みは自分達で行っていた。

 ――自分の事は自分でする――。

 宏同様、昔から叩き込まれた習性なのだ。
 お陰で薄っすらと汗を掻いてしまったが、晩秋の吹き抜ける風が冷たくて気持ち好い。

「これで全部買った……わよね? 忘れ物は無いかな?」

 千恵は仕入れの品と数量を記したメモを片手に今一度、荷物スペースに積まれた品物の山に視線を向ける。
 せっかく車があるのだから、下手な買い忘れなどしたくない。

「えっと、シャンプー、コンディショナー、ボディーソープ、薬用液体石鹸、消毒用アルコール、浴室用と掃除用洗剤が各二個ずつと……」

「……ん、……んむ、……うん。ちゃんと二個ずつある」

 優が目で追って数えてくれる。

「液体洗濯石鹸と柔軟剤、食器用洗剤と床用のワックスが各一個と……」

「……うん、OK」

「十二個入りトイレットペーパーが十個に……」

「……………………大丈夫。ある」

「五個入りティッシュボックスも十個と、ウェットティッシュの詰め替え用が三十個……で最後」

「…………うん、………………………………うむ、全部揃った」

「揃ったは好いけど……」

 千恵は運転席の後ろから品物が山と積まれた状態の車を、半ば唖然として眺めていた。

「……? 千恵さん? どうしたの?」

「あ、いや、気のせいかな、車が後ろの方へ沈んでいるように……見えたもんだから」

「……ううん、気のせいじゃない。十八リットル入りポリ容器だけで十八個、三百三十キロ近い。残りの荷物を加えると三百四十キロ近くになる」

 数字に強いだけあって、表情を変えずにあっという間に積載量を計算する優。
 しかし、その数字を聞いた千恵は思いっ切り脱力していた。

「さ、三百四十……。もはや、か弱い女の子のする買い物じゃ無いわね。……ってか、この車で洗剤の移動販売が今すぐ出来るわ。……まぁ、他にもいろいろ買ったのはあたいなんだけど」

 千恵は買い物の際、「せっかく車を借りるなら、ついでに買い置きの品も買っちゃえ!」 とばかり、メモに記した以外の品(いつも使う品が安売りしていた♪)も大量に仕入れたのだ。
 そんな自嘲気味な千恵に、優は慰めるように柔らかい笑みを浮かべた。

「……でも、この買い物がヒロクンやみんなとの生活を支えているのかと思うと、ボクはすっごく楽しい。幸せな位に」

 その笑顔は、同性の千恵でさえ見惚れてしまう、何のてらいもない輝ける笑顔だった。

「あ……そ、そうね。この程度でヘコたれてちゃダメね。うん! あたいが宏の生活を支える一端を担っているんだもんね!」

 千恵は、この年上のお姉様には一生敵わない、と心底思った。
 どんな時でもプラスに思考が働くのは、一も二もなく宏と夫婦になれた賜物だろう。
 同時に、夫を同じとする妻同士として一緒に暮らせる喜びも感じてもいた。

(あたいも見習わなくちゃっ! どんな時でも笑顔で宏と過ごせるように!)

 決意も新たに、拳に力を篭める千恵だった。

「……買い忘れも無いようだし、そろそろ帰ろうか」

 珍しく(?)、優が積極的に運転席に乗り込む。
 千恵が慌てて助手席に座り、隣のお姉様を見ると……。

「……ふっふっふっ。運転なんて、久し振り。……ワクワクする♪」

 ハンドルに置いた手をワキワキと動かし、口の端が微妙に上がり、心なしか瞳がギラ付いて見えるのは――気のせいだと思いたい。

「あっ、あの、優さん? 久し振り……って、いつ振りなんです?」

 イヤな予感に囚われ、手の平に汗が浮かんで心拍数が急上昇する。
 聞きたく無いが、聞かない訳にはいかないだろう。
 恐る恐る千恵が尋ねると、エンジンを掛け終わった優が振り向く事なく、ベルトをキッチリ締めつつ答えた。

「……んっと、………………………………大学一年の夏休み、自動車学校以来だね」

「っ!! って、その微妙な間は何ですかっ! ってか、自動車学校!? それって――――っ!」

「……左右確認。前後オーライ。発進っ!」

 千恵が慌ててベルトをロックする「カチリ」と言う金属音と同時に、ホームセンターの駐車場から一台の軽バンがタイヤをけたたましく鳴らしながら猛ダッシュで飛び出した。

「ペーパードライバーと言うんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――っ!!」

 甲高い女性の悲鳴がドップラー効果で遠ざかる姿を、唖然と見送る買い物客達。
 その勢いはカタパルトから飛び出す艦載機をも凌ぐ勢いだったと、後に目撃者が語ったと言う。

     ※     ※     ※

「ぜ~ぜ~、あ゛~~、う゛~~」

 息も絶え絶えに蒼ざめた顔で車から降り立つのは、紫掛かった黒髪を深紅のリボンで頭の高い位置で結い上げた千恵だ。
 ポニーテールの先端は腰まで届き、百五十センチの身長ながらDカップに膨らむ形好い胸と細く締まったウェストはトレーナーの上からでも判り、スリムジーンズに包まれた丸味を帯びたヒップとしなやかな美脚が艶めかしい、ナイスボディーの持ち主だ。
 やや吊り目がちの大きな瞳はどこまでも澄み渡り、目鼻立ちの整った小顔の八頭身美人でもある。
 昔から面倒見が好く、中学から大学までの在学中は「御姐様♥」と慕われ、君臨した実績を持つ美女なのだが……。

「ぎ、ぎも゛ぢわ゛る゛い゛…………。よ゛、酔゛った……」

 自慢のポニーテールは所々ほつれ、目の下に大きな隈(くま)を作った千恵が覚束ない足取りで車に寄り掛かり、深呼吸を繰り返して優を恨みがましく見つめていた。
 そのやつれ果てた姿たるや、美貌の御姐様と同一人物とは到底思えない。

「……千恵さん? どうしたの? 酷く疲れているようだけど……荷物の積み込みがそんなに堪えた?」

「ゆ゛、優゛さん……」

 白のパーカーにデニムのタイトスカート姿で颯爽と運転席から降り立つスレンダー美人に千恵は一気に脱力し、その場にへたり込んだ。
 意外と天然な優に、言い返す気力も湧かない。

「な゛、なんで……たった一キロ少々の道で……酔わねば、ならんのよ。……しかも、途中でいくつも交差点を曲がって信号待ちとかもしたのに……二分と掛からず着くのって……」

 普通に運転すれば五分少々で着く道程だが、文字通り、目の回る早さで屋敷に着いたのだ。
 千恵は今後、世界最大の絶叫ジェットコースターに乗っても、鼻歌交じりの笑顔で足取り軽く降りる自信があると、本気で思った。

「……うっぷっ! とっ、とにかく、荷物は玄関に。あとは、あたいがやりますから、優さんは車をお願いしますっ」

 千恵はこみ上げる胃液を無理矢理飲み込み、最後は引き攣った笑顔で優に懇願した。
 これで車の返却にまで付き合ったら、本気で吐きそうだ。
 触らぬ神に祟りなし、だ。
 しかし。

「……? うん、それは構わない。それじゃ、車の返却時間まで余裕があるから気分転換に一緒にドライブでも……」

「いえいえいえっ! あたいは片付けとかっ、他の仕事がありますからっ、優さんはっ、どうか返却をっ! 何卒っ! お願いしますっ!」

 笑顔で誘惑(?)する優の言葉を慌てて遮り、必死な形相で頭を下げる千恵。

「……? 変な千恵さん。まぁ、そこまで言うなら、そうさせて貰うね」

「はいっ! 是非っ!!」

 涙を浮かべた千恵の気持ちを知ってか知らずにか(きっと……絶対後者だ)、鼻歌交じりに荷降ろしを始める優。
 そして入れ替わりに使用済みポリ容器を車に積み込むと嬉しそうに運転席に乗り込み、またも一瞬で消え去ってゆく。
 千恵は見る間に小さくなる車の影を見送りながら、心底思った。

「生きてるって、素晴らしいっ!」

     ※     ※     ※

「やれやれ。非道い目に遭ったわ。金輪際、優さんが運転する車には乗らないようにしないと」

 固く心に誓いつつ、千恵はハンドソープや消毒用アルコールの詰まったポリ容器を所定の場所へと仕舞ってゆく。
 ボディーソープやシャンプーなど、空に近いポンプボトルにも補充し終わると、やっと消耗品チェックの仕事が終わる。
 時計を見ると、既に十一時近い。

「さて、次は洗濯物干し、か」

 脱衣所にある大型洗濯機には十人分の下着(もちろん女性用はネット袋に入れてある)やら衣類やらが詰め込まれ、脱水を終えた状態で止まっていた。
 朝食の洗い物をしている間に、真奈美が洗濯機を回しておいてくれたのだ。

「ガス乾燥機もあるけど、天日干しには敵わないのよね~♪」

 洗濯物でてんこ盛りにした籠二つを腕に下げ、足取り軽く千恵は二階の真ん中の区画へと向かう。
 そこは秋の陽射しがたっぷりと注がれ、ちょっとした温室のようになっていた。

「さて、っと♪」

 車酔いからすっかり立ち直った千恵は下着類と衣類、シーツなどを手際好く、テラスに置いた物干し台と区画の梁に張ったロープにハンガーと洗濯バサミで次々に下げてゆく。
 当然、下着類は全て屋内に干し、その他衣類はテラスに干す。
 表の道路からは物干し台が丸見えなので、ブラやショーツなどの女性下着類は絶対に干せないのだ。

「でも、陽当たりが好いから、部屋でも充分乾くのよね~♪」

 床から天井まで届く大窓のお陰で部屋の奥まで日の光りが届き、部屋干しでも屋外と同じ様に陽射しを受ける事が出来るのだ。
 鼻歌交じりに宏のパンツに鼻を寄せ、しっかりと頬擦りしつつ自分のショーツと並べて(くっ付けて♥)干してゆく。
 と、視線の隅に東側二区画前のテラスが映った。
 そこには、三組の布団が日の光りを一杯に浴びて並んでいた。
 どうやら飛鳥か美優樹が出掛けに布団を干していったらしい。
 テラスの窓際には、綺麗に並んだ枕も見える。
 この屋敷では、原則的に自分の布団は自分で干すのだ。

「そうだ! 宏の布団もついでに干しちゃうか。天気も好いし♪」

 思い立ったが吉日。
 雲ひとつ無い蒼空に目を向けた千恵は早速、宏のベッドから布団一式を運び込む。
 宏の為なら、一階から二階への布団運びの苦労など厭わないのだ。

「掛布団をテラスに掛けて、続けて敷布団を……って、あ……………………宏の……匂いがする♥」

 抱えた敷布団から立ち昇る嗅ぎ慣れた匂いに、千恵の動きがピタリと止まる。
 柔軟剤の薄まった香りと微かな汗の匂いを混ぜて陽に当てたような――好きで好きで堪らない、最愛の男性(ひと)の匂いだ。

「……宏、大好き♥」

 布団を強く抱き締めると顔を埋(うず)め、ひときわ大きな深呼吸を繰り返す千恵。
 肺の中が愛する男性(ひと)の匂いで満たされ、布団の柔らかな感触も手伝って、本当に宏の胸に抱き締められているかのような錯覚に陥った。
 胸の奥がほんのりと温かくなり、同時に泣きたい位の切なさが込み上げて来る。

「あぁ……宏……宏ぃ♥」

 まるで愛を囁くように甘く何度も名前を呼び、敷布団に頬擦りし続ける千恵。
 熱い吐息が布団に染み込み、宏の匂いと交じって返って来る。
 この布団には宏の汗や迸り液、そして自分の――他の妻達もいるが――汗と愛液、その他(!?)の匂いが染み込んだ、愛の歴史が刻み込まれた布団なのだ。

「……あぁ、濡れてる……」

 宏を想う間に瞳はすっかりと潤み、ショーツのクロッチ部分には女の秘裂が浮き出る程に潤んでいるのが自分でも判った。
 起立した胸の先端がブラの中で擦れ、媚電流が身体全体に走り回ってもいる。
 もしかしたら、ジーンズの股間にまで恥ずかしい染みが浮き出ているかもしれない。

「あぁ、宏の……匂いに包まれて……あたい……幸せ♥」

 喉を鳴らして甘える猫のように瞳を細めた千恵は、宏の布団を床に置くと身体をぐるりと回転させ、自ら簀(す)巻き状態になる。
 こうすると、より一層、宏の匂いに包まれて幸せに感じるのだ。
 両腕で胸を抱き締めると、右手が左手に嵌められたリングに触れるのが判った。
 小さな千恵の左手薬指には、宏の大きな愛で作られたプラチナリングが燦然と光り輝いている。

「小指同士を繋いだ赤い糸は存在するけど目には見えない。けど、このリングは宏とあたいを繋ぐ、目に見える赤い糸なの。あたいが、宏の妻である証なの」

 千恵はリングにそっと唇を寄せ、幼馴染から奥さんに昇格した慶びを呟く。

「宏、愛してるわ♥ 愛してる。一生一緒よ♥ 宏……♥ あたいはどんな事があっても、決して離れないからねっ♥」

 心温まる匂いに包まれ、千恵の頭の中は宏の笑顔で占められていった。
 そして。
 車を返し終えて帰宅し、昼食の準備に呼びに来た優が見たものは……。
 温かな陽射しの中、宏の布団にくるまったまま穏やかな笑みを浮かべ、安らかな寝息を立てている千恵の姿だった――。


     ☆     ☆     ☆


「それじゃ、今日は煮麺(にゅうめん)にチャレンジしてみましょうか」

「……うん、判った。頑張る」

 千恵に後押しされ、薄緑色のエプロンを着けた優は台所に立って腕捲りする。
 今日の昼食は優による賄いご飯だ。
 家事全般が全滅だった優が自ら進んで家事をするようになったのは、一も二もなく宏の為だ。
 今年の初夏に宏と二人っきりになったものの、ご飯ひとつ作ってあげられない自分が余りにも不甲斐なく、滅茶苦茶落ち込んだ時期があったのだ。
 以来奮起し、みんなと一緒に家事を手伝い、若菜や真奈美から包丁の使い方や料理用語、コンロの扱い方なども教えて貰うようになっていた。
 何度も台所に立ち、ある程度慣れた所で、実習(実戦?)を兼ねて留守番部隊のお昼ご飯を担当するようにもなった。

「失敗する事が成功への秘訣なんだよ~♪ どんどん失敗して~、どんどん直せば好いの~。だから~、私達がいつでも練習台になってあげるね~」

 とは、この屋敷の料理長・若菜の弁だ。
 なんでも、失敗した部分は次に直せば好いだけなので、結果的にどんどん腕が上達するのだそうだ。

「最初のうちは、習うより慣れろ、だよ~♪」

 このアドバイスのお陰で気が楽になった優は時々小さな失敗――焦がしたり味付けをミスったり――はするものの、徐々に料理人としての体裁が整って行った。
 もっとも、まだ見習いの予備訓練兵のような状態だし、単独での調理(ソロデビュー)は当分先なので必ず誰かに付き添って貰っている。
 そして、今日の担当教官は千恵だ。
 妹の若菜と遜色の無い腕前を持つ料理の達人で、この屋敷の副料理長でもある。

「煮麺なんて、難しく考えなくても大丈夫ですよ。十五分と掛からずに出来ますから♪ まぁ、インスタントラーメンを作るのと似ているかも」

 ピンクのエプロンを纏った笑顔の千恵が緊張気味の優をリラックスさせつつ、手際好く材料を揃えてゆく。
 テーブルの上には、「鶏ガラの素」「昆布と椎茸の合わせ出汁の素」「帆立(ホタテ)の素」の出汁粉末が入った容器が置かれ、主役の「そうめん」(お中元に貰った残りだ)は勿論、小さじと五百ミリリットルまで計れる計量カップも用意された。

「最後に乗っける具材ですけど、今日はシンプルに刻みネギとかまぼこと茹でたホウレン草を用意しました。まぁ、好きな物を乗っければ、何でもオッケー、なんですけどね♪」

 千恵の言葉を聞きつつ、目の前に並ぶ材料を見回した優はある事に気付いた。

「……今回の出汁は粉末状の素を使うんだね。朝と夕ご飯はちゃんと昆布と干し椎茸から取るのに」

「あははっ! お昼はあたい達だけですし、手っ取り早く済ませるには、こっちで充分なんです。朝夕はホラ、宏がいますでしょ? だからちゃんと素材から作ったものを美味しく食べさせてあげたいなぁ、と♥」

 目元を紅く染め、頬も染める千恵。
 長く垂らしたポニーテールが左右に小さく揺れ、新妻の匂いを振り捲いてゆく。
 なるほど、ごもっともな意見だし、大いに共感出来るので優は大きく頷く。
 今、こうして立っているのも全ては宏の役に立ちたい、喜んで貰いたい、と言う想いなのだから。

「なので、材料はこれだけです。簡単に言えば、お湯に出汁の粉末を入れてスープを作り、茹でたそうめんと合わせる、これだけなんです。ね、インスタントラーメンみたく、簡単でしょ?」

 しかし、千恵にとって朝飯前の料理でも、優にとっては初めて挑戦するメニュー(料理)だ。
 教官の言う簡単と、見習い訓練兵にとっての簡単は天と地ほどの差があるように思えてならない。
 しかし、当たって砕けろ、だ。
 実習の一番初めに作った卵焼きや二番目に作った目玉焼同様、何事もやってみないと判らない。

「成功とか失敗とか考えないで~、調理そのものを楽しめば好いんだよ~♪」

 料理長の言葉が頭の中で蘇る。

「……うん、やってみる」

 多少の不安と僅かの緊張を胸に抱えた優は、ともかく一歩前に出る。

「それじゃ、まずは言う通りにしてみて下さい。今日は、おおよその段取りを覚えれば好いですから♪」

 コクリと頷く優に、教官がゆっくりと指令を出す。

「それじゃ、まずは鍋に水を六カップ分、千二百ミリリットル入れます。……そう、計量カップに『カップ』と『ミリリットル』の目盛りがありますでしょ? 自分の使い易い方で計って下さいね」

「……判った。計る」

 テーブルに置いたカップに目線の高さを合わせ、静々と水を入れる優だが……。

「……あ、一ミリ、多かった。失敗。やり直し」

 眉根を寄せて悔しがる優に、千恵は笑顔で見守ってくれる。

「あはははっ。そのままで大丈夫ですよ。次、その分を減らせば好いですから」

(……なるほど。人数分作る時は、トータルで計れば好いのか)

 またひとつ、知恵を吸収する優。
 その顔は知らない世界を知る喜びに輝き、さっきまでの不安に揺れる表情はすっかりと消え去っていた。
 千恵も偉ぶる事無く、にこやかな顔でひとつひとつ丁寧に教えてゆく。

「水を入れたら、コンロに移して蓋をして……」

 優が鍋を火に掛けると、主婦としての千恵から知恵袋が飛び出した。

「鍋を火に掛ける時はコンロを全開にしないで、炎の先端が鍋底に当たるように火加減を調節するんです。鍋の横に広がるまで火を強くしても沸くまでの時間はたいして変わりませんし、それより何より、ガス代の節約にもなりますから♪」

「……なるほど、理に適ってる。エコロジー、なんだね」

 まるで隠れた新事実を発見した科学者のように、目から鱗の優だった。

「それじゃ、お湯が沸くまでの間に……」

 副料理長の教えに従い、優は水を二リットル少々張った寸胴を火に掛け、どんぶりにポットの湯を入れて温めたり箸を用意したりする。

「で、鍋から湯気が出始めたら弱火にして、この『鶏ガラの素』と『合わせ出汁の素』、『ホタテの素』を同じ割合で入れます。今日は二人分だから、それぞれ小さじ二杯ずつですね。これは山盛りにしちゃダメです。スプーンの窪んだ部分が軽く埋まる程度によそって……そう。スプーン一杯で一人分、と覚えておけば、何人いても直ぐに作れますよ」

「……判った。……一杯、……二杯。これを繰り返して……」

 いずれも顆粒状なので、優は零さぬように慎重にスプーンを動かす。
 ここでくしゃみなぞしたら、まるでコントになってしまう。
 緊張で手が震えるが、千恵は見て見ぬ振りをしてくれている。
 しかし。

「……むぅ。粉末の計量が難しい。スプーンの形状が微妙に歪んでて正確に測れない」

 優は、スプーンに盛った粉をもうひとつのスプーンの背で真っ平らにしようと奮闘していた。
 先程の計量カップの時といい今回といい、これには千恵も声を出さずにはいられなかった。

「あ、あの、優さん? 理科の実験じゃないんだから……」

 苦笑し、冷や汗を垂らす千恵を余所に、真剣な眼差しで出汁の粉末をスプーンで計る優。
 その眼差しは真剣で必死だ。
 そんな厳密過ぎる優に、千恵は堪らずフォローする。

「優さん。素材の分量なんてものは、『だいたいこれ位』、でも充分美味しく出来ますから、余りに細かく計らなくても大丈夫ですよ。あたいらなんかも、いつもそうしてますから」

 そう言うと、千恵は実際にスプーンを手に実演してみせる。
 その慣れた手付きに、優は目を丸くする。
 自分が数分掛かって計った量を、千恵は適当に掬い、軽く振るい落としただけで同じ量にしたのだ。

「ね。だいたいこれ位、で大丈夫。若干、量が違っても大きな味の差にはなりませんから。それに、『料理は愛情!』です。細かく正確に作るより、宏の事を想いつつ作った方がよっぽど美味しく仕上がるんですよ♪」

 優は、ここは大学の研究室ではなく、宏の屋敷の台所なのだと改めて思い直した。

「……うん、判った。あまり量には拘らない」

 優はさっそく見よう見まねで出汁の粉末を掬い上げ、鍋へと放り込む。
 まだ何か言いたげな千恵だったが、笑顔で頷いてくれた。

(……千恵さん、ありがとう)

 優は、料理に関して思いの外不器用な自分に嫌な顔ひとつせず、いつまでも付き合ってくれる千恵に心から感謝した。
 流石、面倒見の好い御姐様と名を馳せただけの事はある。

「はい、それでオッケーです。全部入れ終わったら、好くかき混ぜて……そうそう。で、煮立つ直前にトロ火にします。煮詰め過ぎると風味が飛んじゃいますから気を付けて下さいね。……そう。これで、スープが完成です。一度、味見してみて下さい」

 火加減を調節するレバーをトロ火の位置へずらし、勧められるままにレンゲで掬って味見をすると……。

「……! お、美味しい! たったこれだけの材料で……シンプルだけど、すごく深い味になってる……」

 本当にこれを自分が作ったのか疑う優だったが、舌先から這い上がるスープの熱さが紛れもない現実だと告げている。

「ね♪ 簡単でしたでしょ? 出汁の量を厳密にしなくても、これ位の仕上がりにはなるんです。しかも、この出汁スープはうどんや煮物などにも使えますから、案外、便利なんです。……宏にはナイショですけど、朝夕の料理にもチョコッと使ったりしてるんですよ♪」

 千恵がVサインをして破顔する。
 流石、料理の達人は教え方も巧い。
 素人同然の優を――既に完成された出汁の粉末を使ってはいるが――あっという間に料理人もどきに変えてしまった。

「味の調整ですけど、もう少し塩っ気が欲しいなー、って時は『鶏ガラ』の量をひとつまみ増やせば好いですし、薄味が好ければお湯を少し足すか、作る時にそれぞれの出汁の素を減らせばオッケーです」

 教官の千恵は出汁の粉末の入った三つの容器を指しながら判りやすく解説する。

「味を濃くしたければ『合わせ出汁の素』を追加し、味をもっとまろやかにしたければ『ホタテの素』を増やします。でも、味の微調整はひとつまみ程度にして下さい。でないと、塩っ気が強過ぎたり味が濃かったりと、味が大きく変わってしまいます」

 そう言うと、副料理長は親指と人差し指で鶏ガラの素をひとつまみし、指を軽く擦り合わせて落としてみせる。
 なるほど、ひとつまみでも意外と量があるのだ。

「このスープの基本はあくまで一対一対一の割合です。宏も、この味付けが好みですし♥」

「……そっか。この味付けが、ヒロクン好みの味、なんだね。……判った。一生、メモリー(記憶)しておく」

 まるで調理ロボットのような優に、千恵は腹を抱えて笑い出す。
 優も、基本のスープが旨く出来た事もあり、一緒に笑ってしまう。
 屋敷には、しばし軽やかで明るい笑い声が響いていた。

「それじゃ、そうめんを茹でる前に、どんぶりを用意しておきましょうか。そうめんはあっという間に茹で上がるので、今のうちに用意しとかないと茹で過ぎたりしますから」

 千恵の指示に従い、優は洗い桶にどんぶりのお湯を移し、雫を軽く拭き取る。

「どんぶりを温めるのは、冷水ですすいだそうめんにスープを入れると出来上がりが『ぬるく』なっちゃうんです。それを防ぐ為にスープはトロ火で沸騰直前の温度をキープして、どんぶりも出来る限り熱くしておくんです」

 料理のノウハウを惜し気も無く伝授する千恵。
 優も、一つ一つ頭の中にインプットしてゆく。
 因みに、洗い桶に移したお湯は食べ終わったどんぶりや箸を洗う時に使うのだそうだ。
 ここにも、台所を預かる千恵のエコ精神が活きている。

「それじゃ、そうめんを茹でましょうか。二人だから、二束……二百グラムで大丈夫かと。……そう、あらかじめ沸騰させておいた寸胴にパラパラと入れて……そうそう。上手です」

 麺を入れ終わった所で、千恵がキッチンタイマーを作動させる。

「そうめんは茹で過ぎ無いように、だいたい茹で時間より三~四十秒早く、ザルにあけます。あとで熱いスープを入れるので早目に上げるんです。……で、時間が来たら……ザルにあけて……熱いから気を付けて」

 ピピピ……とタイマーが鳴り、優は千恵の言葉通りに寸胴からシンクに置いたザルに麺をあける。

「最初に、充分水を掛けてから手を入れます。麺の中が熱い時があるので、充分注意して下さい。迂闊に突っこむと火傷しちゃいますから。……そうそう、そんな感じで、流水でぬめりを取るのと同時に、そうめんを締めます。食べた時の歯応えが全然違うんですよ♪」

 優はシンクに置いたザルを片手で支え、ぎこちない手付きで水を掛けつつ指を広げた手を左右に振って、そうめんを掻き回す。

「本当は氷水で締めると一番好いんですけど、そこまで拘らなくても大丈夫です」

 千恵のレクチャーを聴きつつ、優は感動に浸っていた。

(……何だか、いかにも料理してます、みたいで……楽しい♪)

 家事全滅の頃の自分と比べると、考えられない進歩だ。
 まるで、初めて石器を持った猿人と宇宙ステーションにいる人間位に違うとも思う。

(……そっか、若菜さんが言ってた『調理を楽しむ』って、こんな感じなんだね)

 優は、自分の顔が綻んでいる事に気付いてなかった。

(……なるほど。鼻歌交じりで台所に立っているみんなの気持ちが、今ならボクにも判る♪ 好きな男性(ひと)に――ヒロクンに食べて貰いたい、と思えば、どんな作業でも楽しくなる)

 そんな優しい笑みを浮かべる優に、千恵は今回の実習の成功を確信した。
 大成功と言っても好いだろう。
 しかし、まだ調理は終わっていない。

「充分水ですすいだら、ザルごと水を切って……そうそう、上下に振ってよ~~~く水を切ります。で、温めておいたどんぶりにそうめんを入れます。手で掴んだ方が早く簡単に分けられますが……どうします? 菜箸もありますけど」

「……ん、手で分ける。……こうして……掴んで……こんな感じかな?」

 優は同じ量になるよう、麺を数本摘んでは、きっちり均等に分けてゆく。
 やっぱり手付きが実験的になる優に、千恵は笑いを噛み殺していた。

「最後に、熱いスープを注いで……軽く麺をほぐして……具材を乗っけて……ハイッ、完成~!」

「……うん、出来たっ!」

 時計を見ると、若干まごついたものの、確かに二十分も掛かっていない。
 目の前には、どんぶりに入った煮麺が美味しそうに湯気を立てていた。
 透明に近いスープに浸る乳白色のそうめんに、かまぼこの朱(あか)とホウレン草の緑、そしてネギの白。
 とても実習生が作った料理とは思えない彩りと出来映えだ。

「因みに、スープの鍋に締めたそうめんを入れて一煮立ちさせる方法もあるんです。これなら、どんぶりを温める必要がありませんし、もっと熱々の状態で食べられます。でもこれはまぁ、好みの問題なので、今回は手軽で簡単な方法を採りました」

 教官の教えも出尽くした所で、さっそく千恵監修、優作の煮麺を二人で戴く。

「それじゃ、いっただっきま~すっ!」

「……いただきます」

 千恵は料理の成功を祝い、勢い好く箸を取る。
 午前中から働きずくめだったので、お腹が空いているのだ。
 優は恐る恐るどんぶりに口を付け、ゆっくりと麺を啜る。
 スープの出来映えは確認してあるが、一品料理としてどうなのか心配だったのだ。

「……!! こ、こんなに美味しいそうめん、生まれて初めて! 麺の茹で加減も丁度好いし、どんぶりを温めておいたからスープもぬるくない! 夏でお馴染みの、あの冷たい食べ方も好いけど、これなら寒い時でも温かいそうめんを食べられて……最高!」

 杞憂も何のその、珍しく感情を露わにした優が、これまた珍しく早口でまくし立てる。
 涼しげな瞳が大きく見開かれ、驚きと感嘆、そして感謝の眼差しで千恵を見る。

「……千恵さん、ありがとうっ! 今回、ボクの料理が成功したのは、みんな千恵さんのお陰。本当にありがとうっ!」

 箸を片手に頭を下げる優に千恵は破顔し、照れ臭そうに肩を竦める。

「これで優さんの料理のレパートリーがまたひとつ、増えましたね♪ 今度、宏に御馳走してあげると、きっと泣いて喜びますよ」

「……えっ? ヒロクンが……喜ぶ!?」

 千恵の台詞に、優の脳内では、料理を振る舞う自分に滂沱と涙する宏が浮かび上がり、そのご褒美として濃厚な精液を胎内に注がれる自分の姿が想い描かれていた。

「……うふふっ、ぐふふふふっ♥ ……んふぅ♥」

 素肌が触れ合う悦びと胎内で情熱が弾ける感触をリアルに想像し、ショーツを熱く濡らして身を捩る優。
 顔が火照り、思わず熱い吐息が漏れてしまう。
 この時、千恵から怪訝な顔で見られているとは全く気付かなかった。

     ※     ※     ※

 充実した昼食が終われば、あとは風呂掃除だ。
 この屋敷では各自の部屋は基本的に各自が掃除を行い、リビングや廊下、風呂、トイレなどの公共部分――パブリックスペースは主婦組が主体となって行っている。
 休日は屋敷の全員で手分けをして掃除をする事もあるが、平日の今日は真奈美と若菜が外出しているので必然的に優が千恵と一緒に風呂掃除をする事になる。

「それじゃ、パパッとやっちゃいますか」

「……うん。大変だけど、頑張る」

 食休みを充分に取った二人は風呂掃除専用スタイル――タンクトップに短パン――に着替え、洗剤を入れたバケツ片手に浴室へと足を踏み入れる。
 しかしこの季節、いくら天気が好くて小春日和とはいえ、裸足で冷えたタイルの上を歩くには少々しんどい。

「それじゃ、あたいが浴槽内を洗いますから、優さんは洗い場をお願いします」

 浴槽の栓を抜き、洗面器で残り湯を洗い場や壁のタイル地に撒きながら千恵が声を掛ける。
 残り湯はだいぶぬるくなってはいるが、それでも足裏の冷たさは瞬時に解消される。

「……ん、了解。……千恵さん、ここでもエコに徹している。凄い」

 千恵はこの残り湯で洗濯や掃除に利用し、更には庭の水撒きをもしているのだから、主婦としてエコの腕前はかなりのものだと思う。
 経済的に利息生活者であっても、節約すべきは節約する千恵の姿勢は見習うものがあると、素直に思う優だった。

「はい、これをどうぞ。洗剤を捲くと滑りますから、充分気を付けて下さいね」

「……うん、判った。注意する」

 デッキブラシを渡された優は、バケツにブラシを突っ込むと洗い場の奥から壁と床のタイルをゴシゴシ擦ってゆく。
 入り口側から奥に向けて洗い出すと洗剤の上を歩く事になり、滑って危ないのだ。
 奥から手前に――カランの前まで後退りながら洗うと、洗剤を踏まずに済む。
 オマケに、そこからシャワーを使って泡を洗い流す事が出来るので、自分の足が殆ど洗剤と触れずに済むのだ。
 これも、千恵から教えられた技のひとつだ。

(……生活の知恵、主婦の千恵(知恵)。……座布団一枚♪)

 自画自賛の優だった。

「……んしょ、んしょ♪」

 優は、ほぼ日課となった風呂掃除が楽しくて仕方がなかった。
 この屋敷の浴室は洗い場だけでおよそ八畳分、浴槽は四畳半分の広さがある。
 トータル十二畳強の浴室を二人で洗うのは、正直キツい。
 ブラシを持つ腕が悲鳴を上げ、柄を握る力がだんだん弱くなってゆくのが自分でも判る。
 普段、ここは留守番役の四人で掃除するのだ。

(……でも、ちっとも苦にならない。ヒロクンに気持ち好く使って貰いたい、綺麗なお風呂で身体をゆっくりと休めて温まって欲しい、なんて想うからかな)

 涼しげな目元をほんのりと紅く染める優。
 疲れも忘れ、ブラシを握る手に力が篭もる。

(……今迄、こんな力仕事なんて縁が無かったのに、不思議)

 家事初心者の優にとって、屋敷での清掃作業は力仕事のイメージが強い。
 大型の掃除機を持って階段を上り下りしたり長い廊下を雑巾掛けしたりと、思いの外、体力が要るのだ。
 殊に風呂掃除はカランを丁寧に洗ったり、デッキブラシでタイル面を力強く擦ったり、果ては排水溝に手を伸ばしたりと、体力に加えて繊細さと根性が必要なので、手伝い始めた当初は大いに閉口したものだ。
 しかし、決してイヤだとは思わなかった。

(……むしろ、掃除を楽しむボクがいる♪)

 妻として家を守り、維持し、食事や風呂の支度をして愛する夫の帰りを待つ――。

(……なるほど。世間の新妻って、こんな楽しい気分になっているんだね)

 姉の晶に言わせると「そんなの、人それぞれよ」なんて冷めた口調で言われそうだが、少なくとも優にとって家事は初めて株の売却益を得た以上にドキドキするし、心弾む仕事なのだ。

「優さん、何か楽しい事でもありました? 顔がずっと笑ってますよ」

 首を傾げた千恵に指摘されるまで、優の顔は緩みっ放しになっていた。

     ※     ※     ※

 風呂掃除も終わり、夕食の仕込み――手伝いまで時間が少々空いた所で。

「……あ、株を売買するの、すっかり忘れてた」

 リビングのソファーに腰を落ち着け、閉じていたノートパソコンに目を向けた瞬間に思い出したのだ。
 ホームセンターへ行く直前まで、ここで株価のチェックをしていた事を。
 今日の家事は――特に昼食はいつも以上に充実していたお陰で、株まで頭が回らなかったようだ。

「……ま、仕方ない。明日以降でも何とかなる」

 時計を見ると、既に午後三時を回っている。
 そろそろ若菜達が、そして一時間もすれば飛鳥と美優樹の学生組も帰って来る頃だ。

「……本業を忘れて家事に専念、主婦業にいそしみ、家族の帰りを待つボク……、か」

 愛する宏と結婚し、式を挙げ、ハネム~ンも済ませて名実共に奥さんになった。
 家事も、少しずつではあるがこなせるようにもなった。

(……あと三時間位で、ヒロクンが帰って来る)

 最愛の男性(ひと)の事を想い浮かべると鼓動が少し、早くなる。
 顔が火照り、そわそわして妙に落ち着かない気分にもなる。
 まるで、恋人との逢瀬を待ち焦がれる少女のように。

(……そっか。ボクにも、少しは女の子らしい部分が残ってたんだね)

 ほんのりと、目元を紅く染める優。
 これまでは宏から預かった大切なお金を増やす事ばかりに心血を注いで来た。
 その甲斐あって、このお屋敷を手に入れる為の貢献も出来た。
 その代わり、ひとりの女として愛する男性(ひと)の為に掃除をしたりご飯を作って上げたりする事が出来無かった。

(……でも、今は千恵さんや若菜さん、真奈美のような女の子として、ヒロクンの為に家事を手伝う事が出来る)

 家事の時間が増えた分、資産を増やす時間は確かに減った。
 しかし、今はお金を増やすよりも、妻として家事を覚えたい――そんな想いが強いのだ。
 微笑んだ優は、左手薬指に嵌められたプラチナリングを胸に抱き締める。

「……ヒロクン。今日、ボクは煮麺の作り方を覚えたよ。次の休みの日に作ってあげるね♥」

 そっと唇を寄せ、瞳を閉じたまま、しばしその姿勢で動かない。
 このリングは、従弟の関係以上に強い愛と絆で結ばれた証なのだ。
 そして宏からの、目に見える愛の形のひとつでもあるのだ。

「……ヒロクン、大好き♥ 愛してる♥」

 リングを抱いていると、宏に抱かれているかのように胸が温かくなる。
 そして、続けて願うのだった。

「……今度、ヒロクンと一緒にドライブしようね。勿論、ボクの運転で♪」

 呟いた瞬間、二階で洗濯物を取り込んでいる千恵の「それだけは止めて!」と全力で拒む声が聞こえたような気がしたが……きっと気のせいだろう。

「……………………ヒロクン♥」

 優の、充実した一日はもう少し続く――。


                              (中編へつづく)

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【 お寄せ戴いた御意見・御感想 】

[ 生活の知恵、主婦の千恵(知恵)。……座布団一枚♪ では、私がもう一枚加えましょうwww ]
優のあの台詞には声を出して笑ってしまいましたw 可愛いですねwww
それから千恵姉の「生きてるって、素晴らしいっ!」wwww 本当ですww 下手な絶叫マシンよりも確実に怖いですからねwww 私の知り合いにも二、三人いますが……あれは勘弁ですねwww
というか、主婦組のせいで、序盤の晶とほのかの話がすごく空気になってしまっている私……結構内容濃いはずですのに、後半の二人のボケで完全に流されてしまってwwwwwww

最後に、更新乙です。というか、前回の更新からそんなに経ってないのにこれだけ長い話をしかも前後編だなんて……
では、お疲れ様です。次回も楽しみにしています♪ それから、もうすぐで4周年突入ですか!?大長編ですねww 体調などには気を付けてください

では、後半へ行って来ます♪

[ ご愛読戴き 誠にありがとうございます♪ ]
きのさん
 コメントありがとうございます♪

 前編では美女軍団の三人がフィーチャーされておりますが、お気に召して戴けたようで何よりです。
 それぞれの美女の(可愛い)一面を感じて戴ければ幸いです。

 残りの美女軍団の活躍もご期待下さいませ♪
 

[ 爆弾はだれのために? ]
優姉さんに乾杯(^^♪
生活の知恵、主婦の千恵(知恵)には私もクリーンヒットです
優姉さんの愛らしい心情がヒシヒシと伝わってきますね(^_-)
ま、千恵ちゃんは地獄の扉を見てしまったようで・・・

さてと・・・次はどこに何処に爆弾感想しよかな・・・?
この作品は何処をとっても楽しめるから何度でも読んじゃいますよ(^^♪

[ ま、毎度お越し戴き……♪ ]
草薙さん
 コメントありがとうございます♪

 う゛ぁあ……もはや言葉もゴザイマセン。(^^ゞ
 お好きなように爆弾をバラ撒いて下さいませ♪

 千恵&優のコンビも好い味出していますね。
 もっとも、千恵にとっては災難(?)も付いて回るようですが……。(^_^;)

 拙小説を楽しんで戴きありがとうございます♪ m(_ _)m
 

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