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美姉妹といっしょ♪〜新婚編
「――先輩、今頃何してんのかな……」
薄いブルーのパジャマを纏った少女がベッドの中から時計を眺め、ポツリと呟く。
灯りを落とした狭い個室には秒針が時を刻む音と窓を叩く雨の音が響き、少女の息遣いが夜の闇に溶けてゆく。
上の階からは宴会し騒ぎ立てる声と部屋を出入りする幾つもの足音が、低くビートの効いた音楽に交じって響いて来る。
(……ったく、毎晩毎晩騒ぎやがってっ! これが有名女子大の実態かと思うと情け無いわっ!)
何度も沸き上がる喚声に少女は眉をしかめ、外界と遮断する様に布団を頭まで被る。
自分だけの空間を作った少女は表情を和らげ、手にした写真にそっと語り掛けた。
「私、――先輩と同じ土地にいるんだよ? なのに……」
少女の小さな手には陸上競技のユニフォーム姿の少年がカメラに向かって微笑んでいる写真が一枚、大事そうに握られている。
手の平サイズの写真は所々に小さな皺が走り、常に人の手の中にあった事を示していた。
「無理言って東京の大学を選んだのに、全然逢えないや……。やっぱり、こんな大学寮(ところ)で大人しく待っているだけじゃダメみたいだ……」
ほぅ、と熱い想いと悔しさの混じった溜息が布団に染みてゆく。
「でも、恥ずかしくて私から逢いになんて行けないよ……」
ほんのりと頬を紅く染めた少女は、少年の顔に指をゆっくりと這わせながら語り掛ける。
そして写真の中の少年と目が合った瞬間、身体が条件反射を起こす。
鼓動が早くなり、胸が温かく締め付けられると同時に顔が熱くなる。
お腹の奥が火照り始め、ショーツに包まれた女の部分に向けてトロリと熱い塊が流れ落ちて来る。
「……逢いたいな。逢って、今度こそハッキリと伝えたいな」
太腿を無意識に擦り合わせつつ布団の中で寝返りを打つと、ツインテールにした自慢の長い茶髪がリボンの様に波打ち、白いシーツに柔らかく拡がる。
少女は潤んだ瞳で写真を間近に見つめ、そっと囁いた。
「――先輩、す……」
少女の唇が写真に触れる寸前、いきなり部屋のドアが大きな音と共に開け放たれた。
廊下の明かりが少女のいるベッドを鈍く照らし、ドアから一人の女がゆっくりと姿を現す。
少女は咄嗟に写真を枕の下に隠し、侵入者から守る様にうつ伏せになって枕を抱きかかえる。
それと同時に、酒とタバコの臭いを全身に纏わり付かせた女が呂律も怪しく、少女の布団を容赦無く捲り上げた。
「お〜〜〜いっ!! な〜に、こんな時間から寝てんだよぉ。さっさと起きて相手しなっ」
(チッ、またかよっ!! ったく、こいつら性懲りもなくっ!!)
無残にも甘い雰囲気を壊された少女は舌打ちすると忌々しげに毒吐き、見るからに不機嫌な顔になって乱入した女を睨む。
相手は一級上の二年生だが、こんな程度で少女は屈しない。
入寮早々、酔っ払った最上級生相手に啖呵を切った事もあるのだ。
眉を吊り上げ、元来の気の強さで目の前の女を眼光鋭く威圧する。
「いったい何なんですかっ! ノックもしないで、こんな時間にっ!!」
「こっ、こんな時間……って、日付が変わるまで、まだ一時間はあるだろっ。おっ、お前こそ、こんな早くに何寝てんだよっ。下級生は上級生の晩酌に付き合うのが、この寮の掟だろっ! ほらっ、さっさと起きて俺等の部屋に来るんだよっ!」
少女の怒りの篭もった視線と迫力に怯んだ上級生は視線を逸らし、言葉を吐き捨てると赤ら顔のまま足取りも怪しく部屋を出て行く。
(馬鹿共がっ! 誰が行くかっ!! 二度と来んなっ!!)
少女は怒りで震える身体を両腕で強く抱き締め、女が出て行ったドアを睨み続けた。
と――。
(――っ!?)
自分と同じ状況に陥り、どうする事も出来ずに涙を浮かべた妹の顔が頭を過(よ)ぎった瞬間、少女は居ても立ってもいられなくなった。
素早くジャージに着替え、同じフロアにある妹の部屋を目指して狭い廊下に飛び出す。
長い髪を真横になびかせ、乱雑で薄汚れた廊下を全力で駆け抜ける。
(待っててっ! 今、助けに行くからねっ!!)
心の声に呼応するかの様に、前方の目指すドアから少女と同じく線が細くて背の高い女の子がパジャマ姿のまま、先程の酔った女に片手を掴まれ、引き摺られる様にして出て来た。
駆け寄る足音に気付いた女の子は、反射的に片手を伸ばして叫んだ。
「お姉ちゃんっ!!」
少女が近寄る程に妹の瞳には薄っすらと涙が浮かび、自慢のツインテールが所々ほつれているのが判った。
少女の目には、妹が手荒な扱いをされた証しにしか見えなかった。
怒りで沸騰した血液が瞬時に全身を駆け巡り、妹を呼ぶ絶叫が薄暗い廊下に木霊した。
「――っ!!」
――梅雨末期の土砂降りの雨が窓を激しく叩く、とある夜の出来事だった。
(つづく)
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【 お寄せ戴いた御意見・御感想 】
[ 新作乙です♪ ]
たまーに読ませて頂いています。
こういった本当のハーレム小説を載せるサイトが殆どないから
楽しみにしています。
今後も頑張って下さい。
[ いつもご愛読ありがとうございます♪ ]
naoさん
いつもご愛読&コメントありがとうございます♪
物語を楽しみにして戴き、作者冥利に尽きます♪
これからもラブラブハ〜レムな世界をお送りしてゆきます。
暖かい応援ありがとうございます♪ m(_ _)m
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