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 ライトHノベルの部屋  ライトHノベルの部屋  ライトHノベルの部屋
     ~ラブラブハーレムの世界へようこそ♪~


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ラプソディー(2) ラプソディー(2) 美姉妹といっしょ♪~新婚編
 
 カレンダーが九月に替わり、日中の最高気温が三十度を下回る日が徐々に増え始めた頃。

「あ、そうだ。千恵ちゃん、明日は早めの朝食、お願い出来るかしら? 入学式とオリテで早出しなきゃ拙いのよ」

 九人が揃う夕餉の席で、夏穂は今、思い出したとばかり缶ビール片手に、高校時代の元・教え子に顔を向けた。
 すると、生徒だった頃を彷彿とさせるように打てば響く速さで答えが返って来た。

「はい、大丈夫です。何時に家(うち)を出ますか?」

 箸を置くや椅子から立ち上がり、千恵はキッチンの壁に掛かるホワイトボード――屋敷に住まう各人の向こう一週間の行動予定表――に歩み寄る。

「んと、式の最終チェックとオリテの準備があるから……七時には出るわ」

「いつもより二十分繰り上げですね。判りました。それじゃ、六時過ぎには朝食が摂れるようにしておきますね。えっと、お昼と夕食はどうされます?」

「明日は学食やってないけど購買で済ませるわ。昼からの部活も三時間程度で終わるから、夜はみんなと一緒に食べるわ」

「お弁当は要らなくて……夕食はいつも通り、と。判りました」

 名前の横に書かれている出発時刻を『7:00』と書き直し、昼食欄の『×』と夕食欄の『○』はそのままに朝食欄の『○』を消して『6:00~』と記しつつ快く応じる千恵。
 最後に日付下の予定欄に『入学式』と書き足し、その流れるような一連の動きはあくまで自然で何の躊躇いも無い。

「ありがと。いつも助かるわ♪」

「いえいえ、あたいらは平気ですから。ね♪」

 席に戻る千恵の視線の先では、お屋敷の料理長である若菜が満面の笑みでVサインを掲げ、真奈美と多恵子の主婦組も茶碗片手に、千恵同様にこやかに頷いている。
 みんな、社会人の都合に合わせて朝食や夕食時間を快く融通してくれるから嬉しい。
 現に、今夜も晶とほのかの二人は仕事(フライト)で帰りが十時を過ぎるが、既に軽めの夕食がラップに包(くる)まれ用意されている。

(千恵ちゃん、ホント、主婦業が板に付いたわねー。高校生の頃は誰もが慕う御姐様だったけど、今や若菜ちゃん共々、姉さんと同じ立派な人妻だもんねー)

 すっかりと成長し頼もしくなった教え子達に満足しつつ、夏穂は無意識にヒョイと肩を竦めた。

「ま、新入生が百二十人程度だし午前中で全て終わるから好いけど、これが公立とかで四百人近くになると一日仕事になるから大変なのよねー。ホント、小さな私立高で助かるわ。あははは!」

 缶ビールを呷り豪快に笑うと、隣に座る宏やダイニングテーブルを囲む面々が小さく笑う。

「夏穂先生の学校もグローバル化で九月入学になって大変ですね。それにしても、夏穂先生らしい素直な感想で安心しました」

(ん? ウチ、何かヘンな事、言ったかしら? 何でみんなして笑う?)

 内心、首を捻っていると、なめこの味噌汁を啜っていた真奈美が小さく首を傾げ尋ねて来た。

「夏穂さん、オリテって何をするんですか?」

 その真っ直ぐで興味津々な瞳からすると、どうやら真奈美は高校入学時のオリエンテーションは未経験らしい。

「うん、それは――」

 明日の、オリテの予行練習に丁度好いとばかり口を開いたら。

「そう言えば、私達が宏先輩のいる県立の高校に入った時は入学式の前日にオリエンテーションしたけど、夏穂姉さんのトコは入学後にするんだね。それは公立と私立の違い? はたまた田舎と東京の違い?」

 姪の飛鳥が興味深そうに口を挟み、それに釣られて各自が一斉に喋り出した。

「あれ? 真奈美さんが高校に入学する時、オリテはしなかったんですか? 俺の時は入学式の一週間位前に高校(がっこう)の体育館に集まって高校生活のあれこれ聞かされて、その後にクラス分けされて教室へ移動して時間割やら教材やら貰ったりして――」

「宏君と違って私の通った高校はオリテなんてしなかったわ。初日にクラス分けと入学式だけやって、翌日のホームルームで教科書貰って学校の簡単な説明があっただけで――」

「美優樹は、高校に入った時はすぐ三年に編入したからオリテの経験は大学に入る時だけだったわ」

「あたい達の時は……どうだったっけ? 若菜(あんた)、覚えてる?」

「私達の時は~、オリテそのものは無かったよ~。入学式当日にクラス分けして式やって、帰りに教科書と時間割渡されてお終いだったよ~。そして次の日からさっそく授業始まったし~」

「えっ!? 若姉、そうだったの? って事は、俺が入るまでの僅か二年の間に変革が――」

「みなさん、つい最近の思い出話で楽しそうですわね。わたくしの高校入学など、忘却の彼方に過ぎ去った出来事ですわ。……ふぅ」

「……多恵子さん。ドンマイ。ボク達ではどうにも出来無い事もありますから気にしないで下さい」

 目を見張る宏と、少し哀しそう(?)な表情をした多恵子を慰める優も加わり、夕餉の場は一気に華やいだ。

「あははは! みんな一斉に喋るから訳判らん! でもまぁ、賑やかで好いわね。こーゆー雰囲気、ウチ、好きよ♪」

 缶ビールのプルタブを開けた夏穂の高笑いに、ご当主の声が重なった。

「悦んで貰えて嬉しいです。ところで夏穂先生。本採用からいきなり担任になっての入学式ですけど、緊張とか不安とか無いんですか? いつもと変わらないペースで缶ビール、ぐいぐい呷ってますが」

 高校の元・教え子であり、今は夫でもある宏がビールグラスを傾けつつ顔を向けて来た(今晩は一緒に晩酌してるのだ♥)。

「あはは! 今迄の約一年、非常勤講師ながら本職と何ら変わらない仕事して来たし、昔は毎年のように卒業生を送り出し新入生を受け入れて来たから今更緊張や不安は無いわ。だけどさー」

「だけど……何です? 何か気に掛かる事が?」

 職場の現状を思い出したらつい、愚痴っぽい溜息が出てしまった。
 しかし、隣に座る愛しき夫は嫌な顔ひとつせず、最後まで聞く姿勢を見せてくれるから嬉しくなる。

「あのね、昨年度で……つまり七月一杯で部活の顧問が勇退しちゃって臨時コーチのウチがそのまま顧問に昇格したのは……前に話したでしょ? まぁ喜寿まで頑張って来られたんだから、それはそれで仕方無いけど、今度はコーチ役がいなくて困ってんのよー」

「コーチ役……ですか? 陸上部の?」

「そう。今、部員が三十人近くいるんだけど、限られた時間の中でウチひとりがトラックとフィールドを見てるから隅々まで目が届きにくくなってんのよ~。実際、夏休み中はあっち教えてこっち見てその間に記録取ったり練習メニュー考えたりと忙しくてねー」

「そう言えば……先月先々月と部活に出る度に、身体がもうひとつ欲しい~、って言ってましたね」

「そうなのよ~。そんな状態が続いてるのに新入生が更に加わりでもしたら、完全にお手上げになっちゃう」

 夏穂は缶ビールを呑み干し、そのままバンザイのポーズを取る。

「つまり、新入生に陸上の基礎を教える為に掛かりっきりになると他のメンバーに指導出来無くなる、しかし二・三年生に指導していると今度は新入生への指導が疎かになる――って事ですね」

 宏も手酌でグラスにビールを注ぎつつ、納得したように頷いている。

「ご名答~。宏クンに三重丸を上げよう♪ 流石、中高と陸上部部長を張っただけはあるわね♪」

 ニッコリ笑って褒め称えると、その宏からごもっともな意見が飛び出した。

「俺が部長の時は俺が一年生に教えてましたが、夏穂先生のトコは上級生が教える訳にはいかないんですか?」

 他の面々もそう思ったのだろう、みんな食事を摂りつつ一斉に頷いている。

「普通はそうなんだろうけど、ウチの部、高校に入って暫くしてから陸上始めた娘(こ)が殆どだから、正直、人様に教授するレベルに無いのよねー。だから県大会でも決勝に残る部員、未だにゼロだし」

「あ~、それはそれは。基礎の出来て無い人間が生半可に教えると相手に故障のタネ、植えかねないですからね」

(ウンウン♪ 宏クンは判ってくれてる! 流石、何十人もの部員を率いてただけあるわ!)

 妻の置かれた境遇をちゃんと理解してくれるから話しも早いし、何よりも嬉しい。

「そうなのよねー。だから顧問のウチが教えるしかないのよ。たとえ陸上の専門家じゃ無くても……ね」

「夏穂先生、元は国語教師で文系ですもんね。そう言えば、そもそも何で陸上のコーチに抜擢されたんです?」

「い゛っ!? そ、それは……」

 この質問に、夏穂は一瞬、言葉に詰まってしまう。

(そ、そんなん、恥ずかしくて言える訳、無いじゃん! でも……言わないと話しが進まないし)

 夏穂は瞬き一回分で思考を巡らせ、腹を括ると缶ビールを呷って口を湿らす。

「それは宏クンの姿を三年間、国語準備室から目で追ってたからよ! だからある程度、陸上部の練習を知ってたの。それを教頭が聞き付けて、『何も知らない者よりマシですから』ってんで臨時コーチやらされたのよ」

「あ、そうか。俺達の練習場所、二階にあった国語準備室の真下でしたもんね。そうだ、担任の夏穂先生がずっと窓越しに見てましたもんね。今、思い出しました♪」

 とうの昔から知ってる筈だのに、どことなく勝ち誇ったかのように見つめる宏が小憎たらしい。

(うぅ……だから言いたくなかったのよ!)

 赤面し顔が火照るのを、ビールを呷って誤魔化す夏穂だった。

「それにしても、何とも凄い理由ですね。大雑把と言うか……適当と言うか」

「そうなのよねー。挙げ句の果て顧問がいなくなった途端に、ところてん式に昇格するんだから適当も好いとこよっ」

 手にした缶ビールがメキョリと潰れる。
 さっきの恥ずかしさも手伝い、顧問決定の好い加減さについ、手に力が入ってしまった。

「まぁ、夏穂先生が怒るのも判りますが、むしろ部員達は喜んだんじゃないですか? 夏穂先生、接しやすい・話しやすい・ナイスボディで憧れのお姉様! で人気ありそうだから」

「う゛っ。そ、それは……否定しないわ。実際、ウチが臨時コーチに就いた途端に入部希望者、押し寄せたし」

「あぁ、それで陸上経験が無い上級生達の誕生、と相成った訳ですね」

「そうなのよねー。部員が増えて活気が出るのは好いけど、だからこそ、ちゃんとしたコーチが必要なのよ」

「先生達の中に陸上経験者、いないんですか?」

 またまたごもっともな意見をぶつける宏に、夏穂の瞳がス~っと細まる。

「宏クン。教員の中で最年少のウチがコーチしてる意味、判る?」

「あー、つまり誰もいないからお鉢が回って来た……と?」

「嬉しく無いけど正解~。非常勤講師として採用された直後に教頭のいる職員室で陸上部の顧問とお茶飲みながら陸上競技の話題で盛り上がっちゃったからねぇ」

「なるほど。そこで教頭の『何も知らない者』云々に繋がる訳ですね」

 夏穂は頷く代わりに、ヒョイと肩を竦めて缶ビールを呷る。

「お陰でこの一年、陸上指導に関する書籍、読みまくったわよ。果てはスポーツ医学にまで範囲が拡がるし」

「陸上も筋トレしたりストレッチしたりしますし、筋肉も傷めやすいから応急手当や本格的な診断治療も必要ですからね。夏穂先生、根は真面目だから好い加減な指導、絶対にしませんものね」

 ここで宏が言葉を切り、じ~~っと見つめて来た。

「そんな、生徒の為に真摯に勉強し尽力する夏穂先生、俺、好きです♥」

「う゛っ!?」

 赤面する事を無意識に、しかも平気で言う宏も相当な強者だ。
 言われたこっちが恥ずかしくなる。
 オマケに、ひゅ~ひゅ~と囃し立てる、周囲からの温かい(?)目が。

「そ、それはともかく! ど、どこかにトラックとフィールドの両方に精通してる人、いないかしら。ウチがいるからどっちかひとつでも詳しい人がいれば大助かりなのよ」

 話題転換とばかり、夏穂は慌てて話しを現実(リアル)に戻す。

「夏穂先生の学校では、今月からの新年度に合わせて新人教師、採用しないんですか?」

「それがね、今年から、や~~~っと新卒を二人入れるんだけど、どちらも文系女子で運動系じゃ無いのよ。そもそも、新人にいきなり運動部の顧問は無理よ。それこそ、その道の専門家(プロ)で無い限りはね」

「あらら。それは残念ですね。それじゃ、外部からの招聘は? どこぞの有名野球部みたく」

「いくら地域に根差した全日制高校だとしても、こんな陸上無名校に来てくれる殊勝な人、いないわよ。第一、コーチ料の予算が付けられるかも不明だし、来てくれても謝礼程度になっちゃうわ」

「夏穂先生の勤める吉井(よしい)女学園って、この辺りでは割と有名って聞きましたけど?」

 宏の言葉に、みんな一斉に頷く。
 どうやら、学校名だけは広く浸透しているらしい。

「陸上部以外はね。他の部活では毎年何人かは全国レベルで活躍してるんだけどねぇ。ま、ひとクラス三十人前後で一学年四クラス、全生徒数四百人にも満たない小規模校よ」

「でも、小規模ならではの好い点もあるんですよね? あたい、どっかで聞いた事あります」

 卑下するように肩を竦めていると、千恵がフォローするように慌てて口を挟んで来た。
 何年経っても面倒見の好い性格は健在だ。

「まぁねぇ。明るく開放的で活気のある学園として地元で名を馳せている――って教頭が言ってたっけ」

 と、ここでそれまで黙って聞いていた若菜から茶々(?)が入った。

「ってコトは、夏穂先生率いる陸上部って、『お先真っ暗』、なんですか~?」

「わ、若姉……ぶっちゃけ過ぎだって」

「お、オノレは黙っとれ!」

「きゃんっ!」

 言いにくい事をずばっと言ってしまった若菜に宏は苦笑いを浮かべ、その向かいでは目を三角にした千恵が妹の頭を思いっ切りド突いて食卓に笑いの波が広がる。

「ま、コーチの件はおいおいどうにかするとして……むふふ♪ 実は入学式が秘かな楽しみなのよね~♪」

 宏達が首を傾げる中、ひとり悦に浸っていると、微妙~に眇めた瞳で見つめて来る者が。

「夏穂ちゃん……何か好からぬコト、考えてますね?」

(流石、姉さん。伊達に生まれながらの付き合いじゃ無いわ)

 夏穂は缶ビールをグビリと呑み干し、答えを待つ宏達に向かってニヤリと笑う。

「女子高だけに、ピッチピチの若い蕾が大量に来るのよ! 入れ食いよ! よりどりみどりなのよっ! 一年生の担任として見逃す訳、無いでしょっ」

 手にした缶ビールがメキョリと音を立てて潰れ(これで二回目だ)、涎をじゅるりと啜る夏穂。
 そんな女教師に、宏達は一斉に笑い声を上げた。

「か、夏穂先生! それじゃ女子高に赴任したアブナイ男性教師みたいですって!」

 ダイニングテーブルを囲む面々も相好を崩したまま、宏の突っ込みにウンウンと首を縦に何度も振っている。

「何でみんな笑うのよっ? アンタ達は知らないだろうけど、中学出たての新入生ってホント、あどけないしほっぺはツルツルで赤味が差して、これがまた実に初々しくて美味しそうなんだからっ!」

 拳を握り尚も力説していると、隣に座る夫がしおらしく頭を下げた。

「あはは! 夏穂先生らしい答えですけど……真面目に聞いてた俺がバカでした」

「ニャン♪」

「なによぅ。正直に答えたのにぃ~」

 肩を竦める宏の足下では仔猫が宏に同調するかのように鳴き、屋敷は温かな笑い声に包まれた。


     ☆     ☆     ☆


「あ~~~もう、面倒臭いったら、ありゃしない! 新二年生のクラス分けなんて、本来は一年の担任だった四人が話し合って決める事だろうに、何で臨時講師だったウチが原案作らにゃならんのよ! そりゃ、生徒達を好く知り信頼も厚いからってんで頼まれたのは、まぁ好いけどさ……って、うわっ、もう一時過ぎてる! 明日は早出なのに拙いな、こりゃ。早く纏めないと明日の会議に間に合わない!」

 時計の短針が文字盤の頂点を余裕で過ぎた深夜。
 夏穂は薄暗い部屋の中でブツブツ文句を言いながら机に向かって脳細胞をフル回転させていた。
 壁や天井の灯りを全て落とし机のスタンドだけ点けているので、パッと見は試験を目前にした受験生のようだ。

「ん~~~、この娘(こ)はあの娘と仲が好いけどこっちの娘とは折り合い悪くて……このグループはこっちのグループと水と油だし……それを踏まえて成績が好いのと悪いのを四クラスで均等化させるには……」

 晩酌のアルコールはとうの昔に消え失せ、今やアドレナリン全開だ。
 新二年生百二十人分の生徒名簿や成績表も見つつ、夏穂は丸で囲った名前やグループが線で結ばれていたりバツ印が付いていたりと乱雑に走り書きされた紙を前にシャープペンシルの頭を囓り、〆切直前の作家みたくウンウン唸っていたら。

「夏穂先生?」

「ひっ! ――って、ひ、宏クンっ!? い、いつの間にっ!?」

 突然背後から掛けられた声に飛び上がらんばかりに驚き、椅子ごと振り向いた先にはTシャツにスェットズボンを纏った愛しき男性(ひと)が湯気の立つマグカップを携え佇んでいた。

「夏穂先生、余り根を詰め過ぎないで下さいね。明日は早いんでしょ? そろそろ切り上げたらどうですか?」

「あぅあぅ……」

 予想外の展開に高性能を誇る脳細胞が一瞬でフリーズしてしまい、口をパクパクさせながら宏の顔を見る事しか出来無い。

「ノックしたんですけど応答が無くて……でもドアの隙間から光りが漏れて念仏みたく独り言がずっと聞こえてたので、悪いとは思ったんですが入らせて貰いました」

 寝ている姉への配慮なのか声を顰め、申し訳無さそうに頭を下げる夫に、フリーズが解けた夏穂は即座に大きく首を横に振る。

「ううん! 悪くなんて無い! ここは宏クンのお屋敷なんだから、妻の部屋に入るのも遠慮は無用よ! ……って、念仏? ウチの声、そんなおっきかった?」

 夏穂も小声で応えるも、念仏発言には眉根を寄せてしまった。

「はぁ、何だか怨念が籠もってたような……じゃなくて! いくら夫でも女性の部屋に入る以上はノックしないと――」

「お、怨念……。って、いやいや、問題はソコじゃ無い!」

 最後まで聞かず頭(かぶり)を振った夏穂は、椅子に座ったまま目の前の愛しき男性(ひと)に視線を戻す。

「ウチは全く気にしないから♪ 二十四時間三百六十五日年中無休だから好きな時に自由に入って♪ ってか、いつでも来て欲しいわ♥ 姉さんだって常々そう思ってる」

 夏穂は嘘偽りの無い心からの言葉を贈ると、背後のベッドにチラリと視線を向ける。
 その視線の先、夏穂の空いたベッドの向う側には机のスタンドから漏れる明かりで薄闇に淡く浮かび上がる多恵子の横顔があった。
 普段はアップに纏めている髪を下ろし仰向けで眠っている所為か、寝顔は昼間よりもずっと大人びて見える……のは女性なら当然だろうか。
 元・教え子も、優しい瞳で姉を見つめている。

(姉さんって、最年長のくせに十人いる妻の中では最も若く見えるのよねー。だけど薄明かりの中では年相応に妖艶さが滲み出るから不思議だわー。まるで玉藻の前……なーんちゃって♪)

 などと、夫共々姉の寝顔に見入っていたら。

「あ! こ、これ、ジャスミンティーです。寝る前にリラックス出来ると思って淹れて来ました」

 我に返ったかのように、宏が湯気の立つマグカップをそっと目の前に差し出して来た。
 どうやら姉の寝顔に暫し心が奪われていたようだが、やっと本来の用件を思い出したらしい。

「あ、ありがとう♪」

 夏穂も宏の突然の訪問で頭が上手く回らず気の利いた言葉が咄嗟に出て来ないが、心の中では小躍りして悦んでいるのは本当だ。

「ん~~、好い香り♪ 気分が晴れるわ」

 差し出されたマグカップを両手で大事そうに受け取り、鼻に抜けるジャスミンティーの芳醇な香りを肺一杯に吸い込んでからゆっくりとひと口啜る。
 椅子の背もたれに寄り掛かり胸を反らして芳醇な香りと味を堪能していると、今迄霞が掛かっていたかのような脳細胞のひとつひとつがシャッキリと活性化するのが判った。

「あ~~~癒される~~~生き返る~~~♪ ありがとね、宏クン♪」

 満面の笑みで目の前に佇む愛しき男性(ひと)へ心からの礼を言うと、宏は急に照れたように顔を背け、視線を机上に逸らした。

「か、夏穂先生、クラス分け、結構手こずっているようですが、まだ終わらないんですか? 夕食後の団欒ではすぐに終わるような事、言ってましたが」

「あ~、まぁねぇ。単に成績順に一組二組と振り分けてお終い! ……って訳にいかないからね。生徒達には今後の一年や一生を左右する大事なイベントだから、性格やら相性の善し悪しやらも加味して充分に検討しなきゃね。いくら原案とは言え、こっちも真剣にならざるを得ないわ。でも大丈夫! 明後日の始業式迄には余裕で間に合うから」

 やれやれと肩をヒョイと竦めると、小さく頷いた宏がそっと背後に回る。

「夏穂先生、相変わらず生徒想いで嬉しいです。生徒さんは幸せですね。こんなに素晴らしい女性(ひと)が教員として正式に配属されるんですから。俺も……もう一度、先生の生徒になりたいな」

 宏の両腕が肩の上から首に回され、椅子に座る夏穂は背後から抱かれる形になった。
 しかも右肩には夫の顔が載せられ、右頬に温かくて柔らかな宏の頬が密着する。

(ひ、宏クンっ!? 今夜はいつになく積極的ね♥ ……でも、どうしたのかしら?)

 心躍る嬉しさとは別に、普段の草食系男子(?)とは思えないスキンシップに若干、戸惑っていたら。

「夏穂先生、時間も時間ですし、そろそろ切り上げて下さい。明日に障りますし、夜更かしはお肌の敵だって常々言ってたでしょ?」

 耳元で囁かれ、そのまま耳朶に唇が這わされると舌先でなぞられ、時々、甘噛みまでされてしまう。
 その温かな感触とくすぐったさに体温が急上昇し、鼓動がそれまでの倍の速さ(当人比)で稼働し出す。

「あん♥ おいたはダメ……んむっ!?」

 首を巡らせ抑止しようとした瞬間、元・教え子の顔がアップになり、そのまま唇に温かなモノが重なって来た。

(あぁ……宏クンにキスされてる♥ 後ろで姉さんが寝ているのに……こっそりキスしてるぅ♥)

 一瞬、姉の拗ねた顔が脳裏に浮かぶ。
 この部屋で宏とエッチをする場合、いついかなる時も姉と一緒に、と言うのが姉妹間での暗黙のルールになっているからだ。
 しかし、唇の隙間から忍んで来た熱い舌先に全神経が立ち所に奪われ、些細なルールなど、どうでも好くなってしまう。

「はぁん♥ ひ、宏クン……だ、ダメぇ。せ、せめて仕事が終わってから……んはぁ、ね、姉さんもいるし……んふん♥」

 途切れ途切れに翻意を促すも、愛情溢れる熱いキスのお陰で鼻に掛かった甘い声になってしまった。
 当然(?)、すっかりと鼻息を荒げた歳下の夫は聞きもしない。
 むしろ、これ幸いとばかり抱き締めていた両手が滑るように下げられ、遂にはタンクトップ越しに双丘の下側を優しく包まれてしまった。

「夏穂先生のオッパイ、いつ触れてもタプタプ揺れてすっごく気持ちイイです。ホラ、こうして……下から掬い上げるようにして揉むと、ノーブラだからプルンプルン揺れて指が弾かれるみたいです」

 宏の手がゆっくりと揉みしだく度に、胎内に潜む痴熱発電所からの性電気が全身を駆け抜け、それぞれ尖りだした左右両乳首に静かに、そして確実に帯電されてゆく。
 同時にお腹の奥が熱を帯び始め、燻りとなって子宮やショーツに隠された活断層をも揺さ振って来る。

「あん♥ だ、ダメだったらぁ♥ ま、まだ仕事中だし……ね、寝るのが遅くなっちゃう……はぅんっ!」

 上体を小さく震わせ、重ねた唇の隙間から夏穂の短くも甲高い声が迸る。
 バストを捏ね回す夫の指先が、タンクトップをすっかりと押し上げた肉筒を掠めたのだ。

「夏穂先生、タンクトップにノーブラ、しかもショーツ一枚なんて無防備過ぎます。これじゃ、襲ってくれって言ってるようなモンです。俺、ずっと我慢してたのに……色っぽい太腿は目に飛び込んで来るし、タンクトップに浮き出た突起までも見せ付けるように胸を反らすから、俺……」

 最後まで言わず唇を重ね、アンダーバストを荒々しく揉みしだいて来る。
 その度に、夏穂の全身に甘い痺れがじわじわと拡がってゆく。

「ホラ、こんなにも乳首勃たせて……小指の先位にまで勃ってるのが、タンクトップの上からでも判るんです」

「はぁん♥ こ、この格好はすぐ寝るつもりだったし、胸だって宏クンがキスしてオッパイ散々揉むから勃って当然でしょ! 宏クンだって、さっきからハァハァして……そんなにウチのオッパイ、触るの気持ちイイ?」

 夏穂の右頬にはさっきよりもずっと早く、そして熱い鼻息が掛かるので聞くまでもないが、それでも言葉にして欲しい時もある。

「気持ちイイです! いつまでも揉んでいたい位に♪ しかもこうして肩から見下ろすと、タンクトップ越しにオッパイの盛り上がりとニョッキリと勃ち上がってる乳首の様子が一望出来て、すっごくエロいんです! しかも、双丘の向う側には白くてムッチリした太腿が見えてて……興奮するなって言う方が無理ですっ」

 耳元で囁きながら、決して揉みしだく手を休めない宏。
 しかもわざとなのか、一定のペースで山裾をモミモミするだけで、決して頂きの蕾を摘もうとしないのが憎らしい。

「あぁんっ♥ ひ、宏クンが揉むから……乳首勃っちゃうのよぉ♥ 宏クンのキスだけで……ウチのエッチぃスイッチ、入っちゃうんだからぁ♥ ねぇ、お願いだから乳首も弄ってぇ♥」

 好い加減、放電して貰わないとおかしくなりそうなので鼻を鳴らし、甘えた声でおねだりしてみる。

「夏穂先生……可愛いです♥ とても三十路越えの――って、イタタタタッ!」

「余計なひと言、言わんで好いの! 素直に可愛い、て言えば好いのっ! ったくぅ、いつまで経っても女心が判らない唐変木なんだから! これじゃ、姉さんが嘆くのも判るわ」

 宏が禁句を発した瞬間、夏穂は宏の手の甲をつねった。
 もっとも、夏穂の右胸から温かな手が遠ざかり、チョッとだけ寂しくなったのは……今は内緒だ。

「って、何で多恵子さんの名前がここで出るんですか? そりゃまぁ、三十路発言は完全にこちらのミスなので謝罪し撤回しますが」

「フン! 教えてあげない!」

 頬を膨らませ、そっぽを向く夏穂。
 まるで幼い子供のように拗ねるから「三十路越えとは思えない云々」発言が出るのだが、それはさておき。

「夏穂先生、すみません。機嫌直して下さい。お詫びに何でもしますから♥」

「あん♥ し、仕方無いわねぇ。そ、そこまで言うんなら……はぅんっ♥」

 御機嫌取りのように胸を揉み始め、頬にもキスの雨を見舞う宏に、夏穂も素直に身を任せる。
 椅子の背もたれに深く寄り掛かり、夫からの愛撫を受けやすいように身体を開く。
 すると、今度は宏の右手が右胸の頂点を掠めてから脇腹まで下りて来た。

「夏穂先生、やっぱりウェスト細いですね。前に五十九センチって言ってた記憶があるんですが、今もそうなんですか? このくびれ、見ても触っても興奮します」

 腰骨からアンダーバストの横まで何度も撫で擦る手の温もりに、燻っていた夏穂の身体にいよいよ火が点る。

「そ、そうよ。あぁ……宏クンの手、優しくて気持ちイイ♥ お願い、直に触れて欲しいな♥ 布越しじゃ焦れったくて」

 身を捩り、今度はこっちから唇を奪う。
 這わせるように唇を動かしては軽く吸い、時々、柔らかく挟み込んでもみたりして、愛しき夫とのキスを堪能する。

(あぁ……完全にスイッチ、入っちゃった。こうなったらもう、早く脱がせてくれないかしら)

 しかし、この歳下の夫は妻の願いとは少し違う解釈をしたらしい。

「それじゃ、中に手を入れますね♪」

 唇を外すと、タンクトップはそのままに裾から両手を潜り込ませて来た。

「えっ!? ぬ、脱がせないの!? なんで――っ!」

 つい、声高に責めてしまう夏穂。
 しかし、すぐに自ら口を両手で塞ぐ。

(――って、姉さん寝てるんだった! すっかり忘れてたわっ。静かにしないと叱られちゃう!)

 思わず、背後のベッドに、そ~~~っと視線を向ける夏穂。
 そこには、こちらに背を向けて安らかな寝息を立てている姉の姿があった。

(好かった! 起きてない。助かったぁ~。こんな状況見られたら、後々まで祟られてメンドイからねー)

 安堵の息を漏らしつつ宏に視線を向けると、判ってくれたのか小さく頷いた。

「夏穂先生、大声は拙いです。これからは耳元で囁くように言いましょう♪ 俺も熟睡している多恵子さんを無理矢理起こしてまでエッチ、するつもりありませんし」

「声を出させたのは宏クンじゃないっ! ……まぁ、脱がなくても可愛がってくれるんならイイけど」

 つい、睨みを利かせてしまうも、耳元に口を寄せ合って言葉を交わし合うので、まるで効果が無い。

(でも、これはこれで秘め事みたいで楽しいじゃん! これがホントの夜這いプレイ~♥)

 などと、状況を忘れて顔が綻んでしまう夏穂だった。


     ☆     ☆     ☆


(夏穂先生、すぐ隣で多恵子さんが寝てるのに、すっかり発情してる)

 己の仕業を顧みず、恩師の責任に転嫁させる宏。
 もっとも、宏自身も発情しているのは確かだ。

(ノーブラタンクトップにショーツ一枚だけで机に向かってるんだもん。それがスタンドに照らされ妖艶に見えるから、こっちが先に興奮して当然じゃん)

 己の下半身を突き上げる膨らみに目を向けつつ自己保身に走っていたら。

「ねぇ、宏クン。続き、しないの?」

 耳元で囁く、恩師からのありがた~いお誘いが。

「ハイ! 悦んでっ!」

 宏は嬉々として左手を裾から突っ込むと直接重みを感じるバストを揉みしだき、右指の腹で恩師の陶磁器のような素肌を堪能しつつショーツに近付けてゆく。

「夏穂先生の肌、肌理細やかでスベスベしてて気持ち好いです♪ ホント、晶姉達と同じ肌質なんですね」

 左胸を下から支え包むようにして持ち上げ、小さく回転させつつ指先にも力を入れる。
 すると、肉まんのような弾力で指先が弾き返されてしまった。

「夏穂先生のお碗型オッパイ、若々しくて素敵です♪ ブラして無いのに垂れたり型崩れしてたりしないんですから」

 宏の脳内では、恩師の肢体を自由に弄っている、と言う意識が夫婦と言う意識を塗り潰してゆく。
 夏穂も元・教え子に愛撫されている状況に昂ぶっているのか、小鼻がさっきから開きっ放しになっている。

「あん♥ それはきっと、定期的にホルモン注射、されてるからじゃないかしら」

「ホルモン……注射? テレビか何かで聞いた事はありますが、夏穂先生、そんなコト、してたんですか?」

 思わず愛撫の手を止め、まじまじと横顔を眺めていたら、恩師が呆れたような顔付きになった。

「宏クンって、ホント、朴念仁の看板が似合うわね。ってか、すでに大御所、はたまた家元、って感じよねー」

 何だか、可哀想な人を見るような瞳で言われてしまった。

「えっと、何だか褒められたよりも貶された感が強いのは……気の所為ですか?」

「気の所為よ、たぶん」

「とても気の所為とは思えないんですが……あの、気になるんで教えて貰えると嬉しいんですが?」

 御機嫌取りとばかり左手で胸を揉み、右手でウェストを撫で擦りつつ教えを請うと、教師の血が騒ぐのか、夏穂は「仕方無いわねぇ」と苦笑いしつつ応じてくれた。

「ホルモン注射、って言うのは、このコトよ!」

「はぅっ!」

 恩師の言葉が終わらぬうちに、宏の股間に性電気の雷が落ちた。
 座ったままの夏穂が後ろ手に宏の股間を右手で握ったのだ。

「せ、先生! 注射って、もしかして……」

「もしかもナニも、これ以外、ナニがあるって言うのよ! この注射で連日連夜、誰かれに何度も『挿して注いでる』でるでしょっ!」

 口調は厳しくとも、微妙な力加減で――それこそ勃起を更に促すように強弱を付けて握るから堪らない。
 実際、棒状に膨らむ先端に色濃く染みが浮き出てしまった。

「わ、判りましたから……あの、タマは握らないで貰えると嬉しいんですが……流石に力を入れて握られると動けないんです」

「あら♪ イイコト、聞いちゃった♪ 今度から、宏クンを黙らせるにはココを強く握れば好いのね♪」

「あの、センセイ。そうやってモミモミされると……別の意味で収まり付かなくなるんですが?」

「あらら、さっきよか長く太く成長したわねー。まるで遮断棒がトーテムポールに育ったみたい♥」

「あの、俺のナニは遮断機マラじゃありませんってば」

「あはは! 同じ太さ長さで上下する――ってヤツね。ま、似たようなモノじゃない♪」

 ニヤリと口角を上げ、竿に沿って上下にさする夏穂。
 その宏を見るギラ付いた目付きは肉食系女子、そのものだ。

「違います! 俺がこうなったのは夏穂先生の姿が色っぽいからです! 乳首勃たせて股間濡らして……まるで男を誘ってるみたいで堪りませんってばっ! オマケに憧れてた恩師のオッパイ、じかにモミモミしてるんですからっ!」

 タンクトップを押し上げる小さな二つの突起に、腰に纏う薄ピンクのショーツには薄っすらと笹の葉状の染みまでもが見て取れるのだから堪らない。

「だってぇ、愛する宏クンからディープなキスされてオッパイ散々揉まれれば、濡れて当然でしょ?」

 それこそ濡れた瞳で見上げられ、宏の鼓動は確実にワンテンポ、速くなる。
 夏穂は椅子に座ったままなので、背後から抱く宏に対してはどうしても振り返っての上目遣いになるのだ。

「夏穂先生♥ 俺だって愛する女性(ひと)の妖艶な姿と匂いに勃たない訳、ありませんよ」

 恩師の手に、ぐいっとばかり腰を押し付ける宏。

「うふふ♪ 手の中で、やんちゃ坊主が更に猛ったわ。元気ね~♪ このままイッとく?」

「はぅ! そ、そんな段差を攻められたら……だ、ダメですってば」

 夏穂の手に力が籠もり、スェット越しに亀頭のくびれを何度も擦り上げて来る。
 その痺れるような快感に、宏は息も切れ切れに「このまま身を任せても好いかも♥」と一瞬、思ってしまう。

(――って、これじゃ俺がヘタレショタみたいじゃん! ここはひとつ……)

 万が一、このまま果てようものなら、今後の妻に対する夫の沽券(股間?)に係わる気がする。

「夏穂先生だって、ココ、透けて見える位にびっしょり濡らしてますよ? 女の亀裂が丸判りです♪」

 攻勢に転じた宏は右手を這わせ、ショーツの上から淫裂を手の平に収めた。

「はぁんっ! ちょっ、ちょっと、ソコはダメぇ! それ、反則ぅ♥」

 抗うように身を捩る恩師に構わず、宏は熱を帯びている縦筋に中指をショーツごと埋め込んだ。

「ホラ、センセイの割れ目に簡単に挿(はい)っちゃいました。凄いですねー、パンツの上から触れてるだけなのに中指がヌルヌル熱々の温泉渓谷に沈んじゃいましたー」

「くぅ~~、ひ、卑怯者~~~っ! お、女の弱点をいきなり攻めるとは……はぁん♥ そ、ソコ、くりくりしちゃダメぇ! 中を掻き回しちゃ……クチュクチュ音が出ちゃうから……らめぇ!」

「聞こえませ~ん♪」

 まるでローションを塗したかのように動く指の勢いそのままに、恩師の淫裂を存分に掻き回す宏。
 畳まれた薄肉片や、それと判る程に膨らんだ肉芽が指に当たる度に、夏穂は息を呑み身体が小さく震える。

「ん~~~っ! むふ~~~~~~~っ!!」

 背後で眠る多恵子を気遣ってだろう、自ら中指を咥え、喘ぎ声を強引に封じて悶える恩師に燃え(萌え!)ない宏では無い。

「夏穂先生、ちょこっと態勢変えますね♪」

 一瞬の隙を突き、宏は椅子を回転させて自分に向けると夏穂の両足の間に素早く潜り込んだ。
 フローリングの床に胡座を掻き、正面から両腿を肩に載せたのだ。

「って、宏クン! こ、この格好じゃ――」

「いやー、絶景かな絶景かな♪ 薄ピンクのショーツの中心が笹の葉状に濡れて……すっかり地肌に貼り付いて透けて見えてます。無毛の亀裂がパックリ開いて……中のビラビラの色形がクッキリ浮き出てます♪」

「ええい、いちいち言わなくてイイから! 恥ずかしいでしょ!」

「あぁ……センセイの太腿、あったかくてスベスベムチムチで気持ち好い♪ こうしてると、まるで自動頬擦り器みたいです」

 両頬は夏穂が身動ぎする度に太腿で擦られ、しかも目の前には恩師の隠されたピンクの渓谷が微妙に形を変えて蠢いてもいる。

「夏穂先生のパイパンマンコ、すっごく綺麗で……食べちゃいたい位です! ってか、早速頂きます♥」

 宏は身を乗り出し、匂い立つ股間に頭を突っ込んだ。

「あひゃぁ!? ちょ、ちょっと! ひ、宏クンっ……はぁん♥」

 顔面に絞れる程に濡れたショーツが触れた瞬間、夏穂の口から艶っぽい声が上がった。
 宏もまた、大きな呼吸をしつつ熱くぬかるんだ中心地に舌を繰り出していた。

「こ、こらっ! 鼻を鳴らしてクンクン匂いを嗅ぐんじゃない――って、言ってる傍からペロペロ舐め回しちゃダメぇ!」

「だって、ここから甘酸っぱい香りが強く立ち昇ってますし、飲める程に濡れそぼってますモン♪」

「はひゃぁ! ひ、宏クン! ま、本気(マジ)でヤバイって! そ、そこ弄られたら、ウチは……はぅん! んんっ!」

 宏はショーツごと口に含む勢いで舌先を無作為に動かし続ける。
 夏穂は舌先が何かに触れる度に腿を震わせ身体が強張るが、決して大声は出さない。
 どうやら隣で眠る姉をかなり意識しているようだ。

(あ♪ 深紅の洞穴、みっけ♪ ここから泉が湧き出て……すっかり駄々漏れだ。なれば、そのまま舌先でなぞり上げてみると……ほら、あった。すっかり尖ってる~♥)

 ジュルジュルと音を立てて愛液を呑み干し、プックリ浮き出た紅真珠を舌先で容赦無く弾く。
 恩師の思惑など、どこ吹く風の攻撃(口撃♥)だ。

「ひっ!? ――――――――っっ!!」

(ムフッ♪ 夏穂先生が悶える姿、萌える~♪ 『誘惑女教師、返り討ちで昇天』、なんちて♪)

 指を咥え、首を仰け反らせて必死に喘ぎ声を押し殺す恩師の姿に、宏の加虐心に火が点いた。
 タンクトップの中に両手を突っ込み、バストに指の跡が付く程に揉みしだいてゆく。

「はっ! ひっ! ふぅんっ!」

 胸と股間に同時攻撃を受けた恩師の身体がビクビク跳ね上がり、その都度、肌に朱(あか)が色濃く差し、細かい汗もが一斉に浮き出て来た。

(夏穂先生、声を出せないもどかしさで性感が胎内で渦巻いてるみたいだ。いつも以上に悶えてるし♪)

 指を咥えたままセミロングの髪を振り乱し、小鼻を膨らませ目元も赤く染めて快感にむせぶ恩師の艶姿は何度見てもそそられる。

(ムフフ♪ このままオッパイとクリ、攻め続けてみようっと。ソフトに揉みつつ舌先で上下左右に弾いて、っと♪)

 乳首には触れず、ショーツ越しとは言え女の弱点を徹底的に舐る快感に我を忘れる宏。
 当然、攻められている夏穂の鼻息も比例して荒く、激しくなる。

「むふ――――――――っ! んふ――――――――っ!!」

 首に回された太腿が何度も痙攣し、膝が勢い好く伸ばされ、反射的に曲げられる度に踵が背中を何度も強く叩く。

(夏穂先生の腿、かなり火照って俺の頬も熱くなってる。鼻息も荒く激しいし、そろそろイキ時(どき)みたいだ)

 肩に載せた太腿が断続的に細かく痙攣し、髪を鷲掴みにされ腰自体も迫り上がって顔面に押し付けているので絶頂が近いと教えてくれる。
 しかし、それはクンニを続ける宏に取って諸刃の剣であると、すぐに気付いた。

(うっ!? か、夏穂先生の太腿が……俺の首、力一杯締め付けて来た! このままじゃ頸動脈締められて……って、夏穂先生、俺の頭掴んで股間に押し付けてっ……このままじゃ息が……ヘタしたら俺が先に逝っちまう!)

 夏穂のイクのが早いか、それとも宏がイクのが早いのか、深夜の夏穂の部屋で文字通り、壮絶な果たし合い! になってしまった。

(くっ! 目が霞んで来た! こ、ここで負けてなるものか! 男として……夫として何が何でも夏穂先生を先にイカせなきゃ!)

 口と手を使って愛撫の手を激しくするも目の前がぼやけ、意識も徐々に遠のいて来る。

(ヤバイ! こ、このままじゃ……せめて首を緩めないと――って、ビクともしねぇっ!?)

 首に巻き付いた太腿を外そうにも、背後で足首がロックされているらしく少しも緩まない。
 むしろ、喘ぎ声と共にじわじわ締まって来ている……気がする。

(いやぁ、流石、陸上部顧問だけあって脚力あるわ♪ ――って暢気に褒めてる場合じゃねぇ! マジヤバイ! くっそー、何が何でも俺よか先に堕とさないと……イチかバチかで勝負だ!)

 宏は止(とど)めとばかり、それまで手付かずだった双丘の頂点で打ち震える肉筒を摘み上げると目一杯引っ張り、そのままダイヤルを回すが如く左右に強く捻り上げた。
 同時に、顔面を小刻みに揺すってバイブレーションを利かせつつ完全勃起した紅真珠をショーツごと甘噛みした。
 果たして。

「!! ――――――――――――っ!」

 声にはならない、くぐもったアクメ声を上げ、夏穂は股間から潮を噴き零すと全身を硬直させた。
 薄布越しに染み出す大量の液体が宏の鼻から下をびっしょりと濡らし、胡座を掻いた股間にボタボタ滴ってゆく。
 それは同時に宏の頭が鷲掴みにされて濡れた股間に押し付けられ、首に回された太腿に力が目一杯、加わった事を意味する。

「む゛――――――――――っ!!」

 宏もまた、恩師の温もりを顔一杯に浴び、アクメを贈った満足感に包まれたまま意識を失った。
 床に胡座を掻いて椅子に座る恩師の股間に顔面を突っ込み、腕をタンクトップに忍ばせたままの姿で――。


     ☆     ☆     ☆


 ――チッ、チッ、チッ、チッ――

 刻(とき)を刻む秒針の音だけが部屋に響き、誰も動かなくなったと思われた、その時。

「宏さんに夏穂ちゃん~~~。わたくしを忘れてイチャイチャと……後でキツ~イお仕置きよっ!」

 ゆっくりと開かれた多恵子の瞳に剣呑(邪悪?)な光りが宿った事に、気持ち好く昇天した二人は気付く筈も無かった――。


                                            (つづく)


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ラプソディー(3) ラプソディー(3) 美姉妹といっしょ♪~新婚編
  
 カレンダーが九月に替わり、残暑と秋の涼しい風が交互に訪れている頃。
 宏は屋敷の最寄り駅から二駅隣にあるバイト先の倉庫(屋敷から三十分少々で着ける)でいつも通り仕事に勤しんでいた。

「ん……ん……ん、オッケー、店舗への出荷のし忘れ無し! チェック終了、と」

 倉庫入り口横に設けられた簡易机に座って出荷品リストと出荷伝票を一枚一枚丁寧に突き合わせ確認し終えた宏は、壁に掛かった大時計に目をやってからバイト仲間三人に顔を向けた。

「ちょっと早いけど、昼メシにしようか」



 ここは秋葉原に本店がある大手家電ショップの県内向け配送センターで、社員六人(内、事務担当で三十路を過ぎた独身のお姉さんがひとり)とバイト四人が勤める小規模な倉庫兼事務所だ。
 午前中は県内四店舗へ大小様々な家電品を出荷し、午後はメーカーからの製品を荷受けし所定の場所へ保管するのだ。
 宏はこの配送センターに三年半前に入出庫と在庫管理(要は荷役作業だ)のバイトとして採用され、専門学校在学中は空いた時間に、卒業後は社員同様、土日祝休みの月金九時五時のフルタイムで働いていた。

「午後の入荷に備えて今のうちにエネルギーを補充しておこう。そろそろ白物家電に加えてファンヒーターやら炬燵やらホットカーペットやらの冬物製品が十トン車に満載されて来る頃だし」

 昨年、半日でトラック十数台分の製品を荷捌きした死闘が頭をよぎり、思わず眉が寄ってしまう。
 そんな宏を殊更煽るように、同い年の松本(まつもと)がニヤリと笑った。

「そうだな。今年も初っ端から四十フィートコンテナが連なって来るかもしれないぜ? 去年がそうだったし」

 そら恐ろしい事を平気で言うこの男は宏と同時にバイトを始めた二十二歳のフリーターで、肩迄伸ばした茶髪を首の後ろで無造作に縛った髪型をトレードマークにしている今風の男だ。
 しかし見た目の派手さとは裏腹に根は真面目で人当たりも柔らかく、オマケにバイトを始めてから今日(こんにち)迄無遅刻無欠席を貫く優秀な男なのだ。

「おいおい、いくら今月が冬物の入荷ピークとは言え、この人数で四十フィート連チャンはキツいって」

「そうですよ~。手降ろしなんて、かよわい女の子がする仕事じゃありません」

 思いっ切り眉を顰める宏に、同調する千歳(ちとせ)の声が重なる。
 千歳は今年二十一歳になる女子大の三年生で、ショートヘアの似合う、笑うとえくぼが可愛い女の子だ。
 宏より一年遅くこのバイトを始め、長期休みと平日の空いた時間をバイトに充てる頑張り屋さんだ。
 その一方で浮いた話しが一切出ない所を見ると、今も彼氏募集中らしい。

「誰が『かよわい』って? まぁそれは置いとくとして、確かにコンテナはご勘弁願いたいですねー。十トン車みたくパレット積みされてませんからねー。少しは降ろす時の手間を考えて欲しいものです」

 軽い調子でバンザイし愚痴るのは、千歳と連れ立ってバイトを始めた美保(みほ)だ。
 セミロングの髪をポニーテールにした明朗活発な女の子で、千歳とは大学入学からずっとクラスメイトなのだそうだ。
 ところがこの美保、平日でも連日朝からバイトに精を出し、いつ大学に行っているのか不明にも係わらず成績はそこそこ好いから不思議だとか(千歳談)。
 その美保に同感とばかり、宏も苦々しく溜息を吐(つ)く。

「全くだ。松本、このクソ暑い日にコンテナの中に入る者の身にもなってくれよ。いくら電動ローラーがあってもしんどいって」

「あはは! 冗談だ。間違ってもそうなって欲しく無いって意味だ」

 気色ばむ宏と及び腰の女子二人に、松本は相好を崩す。
 メーカーから来る製品の殆どはパレット積みされているので社員さん操るフォークリフト一台であっという間に降ろせる(それを所定の場所に片付けるのが宏達の仕事なのだ)が、コンテナはパレット積み出来無いので全て手降ろしなのだ。
 しかも、残暑厳しい今日この頃、真夏並みの太陽に熱せられたコンテナ内の温度は軽く四十度を超えている。
 その中に入って天井迄満載された製品(しかも軽くはない)を伸び上がって、はたまた中腰になってひとつひとつ持ち上げローラーに載せてゆくとなると……。
 そう考えれば、誰もが遠慮したくなるのは当然だろう。

「ったく~、勘弁してくれよ。コンテナ作業だけは真冬でもご遠慮願いたいのにさ」

 宏が両手を上に向けて肩を竦めたポーズでおどけると、その場に笑いの花が咲く。
 良くも悪くも、松本は憎めない男なのだ。

「ま、今の所、トラックはまだ来てないし、午後に備えて今はたっぷり休養しよう」

 倉庫前の通りにトラックの姿が無いのを確認した宏は改めて三人に向き直る。
 既に入荷の車が来ていれば、ドライバーに声を掛け作業開始時間や手順を確認するのも宏達に任された仕事なのだ。

「「は~い」」

「おしっ、メシだメシ♪」

 宏の掛け声に女性陣と松本の声が綺麗にハモり、四人は着替えと弁当を取りにロッカールームへ引き上げた。


     ☆     ☆     ☆


「ん~~~~? なんか……妙だな」

 午後の入荷作業が一段落した頃。
 十トントラック四台分の荷捌きを終えた宏は通路中央に立って倉庫全体を見渡し、呟いた。
 倉庫は入口から見て縦長になっており、広い通路の横に出荷(或いは入荷)に使う電動式ローラーベルトが奥迄繋がっている。
 その通路から左右にも通路が延び、洗濯機や冷蔵庫、エアコンに液晶テレビなどの大型製品はフォークリフトを使って三段、四段重ねで、ファンヒーターやホットカーペット、空気清浄機などの中型軽量物はローラーを伸ばして八段から十段重ねで積み置き、電気シェーバーの替え刃や電動歯ブラシ、ヘアドライヤーなどの小物製品は入口横に並んだラック数列に収めているのだが……。

「なぁ、松本」

「ん~? なんだ、宏。難しそうな声出して。何か問題でもあったか?」

 隣で一緒に床掃除(早い話、入荷待ちの時間潰しだ)をしている松本が顔も向けずノンビリと応える。

「いや、問題、って程じゃ無いんだが……今月に入ってから今日迄の入荷を見てて思ったんだが、去年、一昨年と比べて全体の入荷量が極端に少なくないか? エアコンや扇風機は既に時期外れだから入荷が少なくて当然だけど、これから捌けるファンヒーターとかホットカーペットなんか、えらく入りが少ない……ってか、殆ど数える程じゃんか」

「あ~~~、そうだっけ? 今はそうでも、来週辺りからどっと増えるんじゃね?」

 何を気にしているんだ、とばかり素っ気ない態度を取る松本だが、宏は構わず話を続ける。

「でもなぁ。俺の記憶だと去年、一昨年と九月の中旬には天井に届く迄ファンヒーターとかホットカーペット、山積みになってたぜ? ホラ、ファンヒーターだけが満載された十トン車が十台連なって来てたのが、丁度今頃だったじゃん」

「あ~~、そう言われれば……そうだった……かも。確かに……全体に製品、少ないな。冷蔵庫や洗濯機なんて、いつもは四段積みになってんのに、今は一段、所々で二段、だもんな」

 ここで松本が立ち止まり、手を止めるとようやく周囲を見回した。

「だろ? 昨日、今日の入荷だって荷台の半分しか載ってなかったし、今月入ったファンヒーターやホットカーペットなんてパレットに積んだまま床に並べて置いてあるだけだぜ? あんなの、週明けには全部捌けちまう」

「あ~、確かに変だな。これからシーズンを迎える製品が入って来ないなんて、もしかしたら――」

「もしかしたら……なんです?」

「わたしも松本さんの見解を聞きたいですねー」

 と、ここで手ぶらの千歳と美保が興味深そうに話しに加わって来た。
 二人共、箒を持っていない所を見ると、倉庫奥の掃き掃除が終わったらしい。
 松本は小さく肩を竦め、さも当然とばかり自信満々に曰(のたま)った。

「今年はモデルチェンジするからじゃね?」

しかし。

「だったら新商品が大量に入るんじゃありません? 第一、家電品の全部が一斉にリニューアルしませんよー」

「それもそうか」

「あはは! 松本さん、ダメダメですねー」

 松本の推論に美保がダメ出しをし、指差してケラケラ笑う。
 バイト仲間で最も好奇心旺盛な美保は、明らかに面白がっている顔だ。

「宏さんはどう考えてます? この現状」

 そんな二人のやり取りをにこやかに眺めていたら、隣に立った千歳が興味津々とばかり尋ねて来た。

「俺?」

「はい。是非、宏さんのお考えをお伺いしたいです。何たって、ここに勤めて丸三年以上経っているんですから、家電品の流通に関してある程度は詳しいでしょうから」

 この娘(こ)は美保と同じく何でも知りたがり、且つ、常に宏の考えを聞きたがるのだ。

「何しろ、バイト仲間では最もベテランなんですから、裏情報も含めて是非にお聞かせ願います♪」

「おいおい、オレだって宏と同期――」

「松本さんには聞いてませーん。聞こえませーん」

「……………………ぐっすん」

 笑う美保の無情な突っ込みに、俯いて意気消沈する松本だった。

「いじけた松本さんは置いといて、わたしも宏さんの御意見を聞きたいですー♪」

 美保からも煌めく瞳を向けられてしまった。

(なんで、何かしらの現象が起こると最後にみんなして俺の意見、聞きたがるかな~?)

 不思議に思うも、どことなく頼られている感も窺えるので気分的に悪くはない。
 しかも、相手は現役の(ピッチピチの♪)美人女子大生なのだ。
 汗で湿った薄手のTシャツ姿(胸の膨らみが生々しい♪)で迫られ、嬉しく無い訳は無い。

(あ……二人共、仄(ほの)かな汗の匂いに混じって制汗スプレーの甘い匂いがする。流石、今を時めく女子大生。どんな時でも身だしなみは完璧なんだな♪)

 自分の妻に二人の現役女子大生がいる事をすっかりと忘れ、目の前の眼福に鼻の下を伸ばす宏。

「ん~~、そうだなぁ」

 それでもスケベ心を悟られぬようポーカーフェイスで倉庫全体を見回し、おもむろに口を開いた。

「考えられる原因のは二つ、かな」

「「二つ?」」

 女性陣が綺麗にハモる。
 親友だけあって、息もピッタリだ。

「うん、ひとつは、近々ここを建て替える計画があること。見ての通り、ここはかなり年季が入った倉庫だから内壁や外壁に傷みが多々あるでしょ? 梁の鉄骨だって埃と錆だらけだし。だから入荷を控え、中がある程度、空になるのを待っている……ってのがひとつ」

「なるほど。その可能性が最も高そうだな。……そんな話、ちっとも聞かんけど。で、参考迄にもうひとつは?」

 復活した松本も容赦無く突っ込みつつ好奇心満々に尋ねて来た。
 宏は箒の柄の先端に両手を置き、そこに顎を載せて僅かに眉根を寄せる。

「うん、余り考えたくは無いけど……可能性のひとつとしてなら、あながち有り得ない話じゃ無いんだが、いいか?」

 コクコクと頷く三人(みんな瞳を煌めかせている)。

「それはだな、今、流行(はやり)の――」 

 宏がここ迄言った時、倉庫二階にある事務所から若い社員さんがひとり、内階段を降りて来た。

「お~い。ラスト一台、もうすぐ着くってよ。みんな、スタンバッてくれ。今日の最後だ、締めていこう♪」

 入荷伝票を簡易机に置くとヘルメットを被り、フォークリフトに乗り込んでそそくさと準備を始めた。
 仕事に長けた社員さんと言えど、週末を控えた金曜の午後は心が弾むらしい。

「あらら。それじゃ、行きますか」

 松本が続きは後でと肩を叩き、入口に向かって歩き出す。

「今日のラスト? まだ三時過ぎだぞ? もしかしたら今度も入荷、少ない?」

 宏は小首を傾げつつ、敷地に丁度入って来た見覚えのある十トン車を眺める。
 先に来た四台はせいぜい半分程度の積載量、加えて仕事に慣れた面々だった為に、あっという間に荷捌きを終えていた。
 故の、掃き掃除中だったのだ。

「ま、少ないなら少ないで楽だからイイじゃん♪」

「そうですよー。わざわざ苦労するコト、ありませんよー」

 お気楽な松本の後ろを歩く美保も同感とばかり、にこやかに頷いている。

「でもなぁ。なんか裏があるような気がしてしょうがないんだが……」

「宏さん、もう少し楽観的でも好いと思いますよ? 私達ではどうしようも無い事なんですから」

 尚もブツブツ言っていると、隣に並んで歩く千歳から諭されてしまった。

「まぁ、それもそうか。じゃ、今は目の前の仕事を確実に片付けようか」

「はい♪」

 どこまでも真面目に考える宏が余程可笑しかったのか、満面の笑みを浮かべる千歳だった。


     ☆     ☆     ☆


 その日の晩。

「――なんて事があってさ。結局今日も一時間の早上がりだったし、今月は未だに残業ゼロだよ。去年や一昨年の今頃は連日夜の九時十時迄残ってたのにね。なんか、晶姉やほのかさんが今月に入ってからずっと残業してるのとは大違いだ。……これも産業間格差、なのかなぁ」

 夕餉の席で宏は晩酌しつつ、今日の出来事をみんなに語っていた。
 宏達は夕食時やその後の団欒で、各自話せる範囲で今日の出来事や巷の話題などを語り合うのが習慣となっていた。
 下を向いて黙々と食したり無言でテレビや雑誌を眺めたりする雰囲気を誰もが嫌っているので、自ずとそうなるのだ。

「その晶姉とほのかさんのハードウィーク(過酷な一週間・晶命名)は……今日で終わるんだっけ?」

 キッチンの壁に掛かったホワイトボード(各人の一週間の行動予定が記されている)に目を向けた宏が誰とも無く尋ねると、今やすっかりスケジュール管理担当となった千恵がボードを見ずに大きく頷いた。

「そう。今日の帰りは二十三時予定ね。これで『先週から続いた日本縦断の旅がようやく終了するんだ♪』って、ほのかさん、今朝、喜んで出掛けてったわよ」

 どうやら千恵の頭の中には各人のスケジュールがしっかり納まっているらしい。
 流石、主婦として屋敷を預かるだけはある。

(千恵姉にこの屋敷を任せて正解だったな。この先も安泰、間違い無しだな♪)

 宏は幼馴染にして妻に娶った千恵を誇らしく思うのだった。

「それにしても、ほのかさん、『フライト行脚』って……言い得て妙だな(ホワイトボードに日付を跨いで線が引かれ、その上にほのかの直筆でそう書かれている)。で、今日はどこ迄行ってんの?」

 ホワイトボードには行き先迄書かれていないので千恵に視線を向けると、こっちの情報は入って無いらしく、腰に届くポニーテールが横に大きく傾いた。

「えっと……どこって言ってたっけ? 昨夜だか聞いたような……」

 箸をピタリと止め、黒のタンクトップにデニムのホットパンツ姿の千恵(ムチムチの太腿が色っぽい♪)が思考に走ると、食卓を囲む面々が同時に喋り出した。

「美優樹は金沢、って聞きましたけど?」

 レースのフリルがふんだんに使われた黒のゴスロリドレスを纏う美優樹(同色のヘッドドレスと相まってまるでどこぞのお姫様だ♪)がショウガ焼きを頬張りつつ応え、

「今日は横浜に行くって……誰かから聞いたような?」

 白シャツに橙色のミニスカ&黒のオーバーニーソックス姿の飛鳥(絶対領域が眩しい♪)がご飯の上に載せた鶏の唐揚げに醤油を垂らしつつ応え、

「青森迄往復すると伺いましたわ」

 宏のビアタンブラーに缶ビールをお酌しつつ、青いラインの入った白の割烹着姿の多恵子(小柄な体格なのでまるで給食を配る生徒だ♪)がにこやかに応え、

「やおら八尾に行ってから高松に行く、とかなんとか」

 純白の半袖ワンピースを纏った真奈美(一見すると深窓のお嬢様だ♥)が野沢菜漬けを箸で摘んだまま真面目に応え、

「京都だったら好いね~♪ 秋の京都で紅葉狩り~♪」

 行き先を全く聞いていなかったのだろう(オマケに紅葉狩りにはまだ二ヶ月早い)、紫のトレーナーにジーンズ姿の若菜がニコ目で応え、

「……お姉ちゃん達、今日は広島方面へ行くような事、言ってた。現在地は……そうか。飛行中は携帯の電源切るからGPS情報が届かない。お姉ちゃんとほのか、今現在、行方不明」

 濃赤のTシャツと黒のスパッツ姿の優(ボディラインが浮き出た腰回りが色っぽい♪)がワインレッド色の携帯を取り出し居場所を特定しようと試みたものの無反応だったらしく物騒な発言をかまし、

「タコ焼き買ってからちゃんぽん仕入れて、そこから白い変人買って来るとかじゃなかった?」

 ライトグリーンのタンクトップに豹柄のパンツを纏い赤ら顔で缶ビールを何本も呷っている女教師(しかもノーブラノーパンが丸判りでとても聖職者には見えない!)に、みんなの訝かしむ視線が一斉に集まる。
 当然(?)、突っ込むのは元・生徒だった宏だ。

「タコ焼き? ちゃんぽん? 白い変人? それって……大阪と長崎と札幌って意味ですか――って、夏穂先生が今食べたい物じゃないですかっ!」

 ご当主の指摘に大きく頷く一同。
 もっとも、夏穂のボケ(マジボケ?)はいつもの事なので、みんな声を出して笑ってもいる。

「だって~、そう聞いた記憶があったような……無かったような? あははははっ! ま、どこ行こうが同じ地球上、放って置いても、じきに帰って来るわよ。なんたって、ココには『愛しの君(キミ)♥』がいるんだからさ~♪」

「!! ~~~~っ」

「ニャン♪」

 手にした焼き鳥の串で宏を指し、スルメを咥えて高笑いする恩師と一瞬で赤面する宏、そしてニヤニヤしている一同に、焼き鳥のおこぼれに与(あずか)る仔猫が「まったくだ♪」と言わんばかりに、ひと声、啼いた。


     ☆     ☆     ☆


 その日の夜遅く。

「……ヒロクン。ちょっと気になる点があるから、ボクの部屋に来てくれる?」

 夕食後の一家団欒を終え(晶とほのかも手土産を山と抱えて無事に帰って来た)、あとは寝るだけとなった頃。
 リビングから部屋に戻ろうとした宏は優に腕を引かれ、耳元で囁かれた。

「気になる点?」

「……うん。ここでは……ちょっと」

 眉根を僅かに寄せ言い淀む四つ上の従姉に、宏はすぐに手を握り返した。

「いいよ。詳しく聞かせて?」

(優姉が人目を憚ってそっと耳打ちするように言う所を見ると、余り好い内容じゃなさそうだ)

 優の真っ直ぐ見つめる瞳に、何やらただ事では無い何かを察する宏。
 ここ迄真剣な瞳を見るのは、この屋敷に来てから初めてかもしれない。

「……ちょっとだけ待ってて」

「うん。慌てないで好いからね」

 宏の優しい言葉とは裏腹に部屋に入るや優は小走りで机に座るとデスクトップパソコンを立ち上げ、キーボードを素早く叩き何回かクリックした後に、とある画面を示した。

「……これ、なんだけど」

「どれどれ? あ、これって……」

「……そう。今日の夕方、たまたま見てて気付いた。で、何となく引っ掛かる点があったから精査してみたら――」

 腰を曲げて妻の肩越しに見る二十一インチのモニター画面には、見覚えのあるロゴや数字が記号付きで小さく表示されていた。
 優は画面を見据えたままマウスポインタであちこち示しつつ、幾つか別画面も出して判り易く説明してくれるが……。

「……以上の観点から、ボクがこれまで見て来た前例に鑑みると、おそらく――の可能性が非常に高い」

「ゆ、優姉、それ……ホントなの?」

 画面を見据えたまま微動だにせず、掠れた声でポツリと漏らす宏。
 優の卓越した分析力と冷静な判断力はその道のプロをも軽く凌駕するが、告げられた内容はにわかには信じられない。

「……うん。残念だけど状況がそう語っている。だけど、これはあくまでボクの推論に過ぎない。まだ公式なアナウンスがされてない以上、机上の空論でしかない――」

 慰めるように言う優の声が次第に遠くに聞こえ、目には何も映らなくなった。
 足の力が抜け、宇宙空間に突然放り出されたような錯覚にも陥った。
 しかし、真面目、且つ真剣な顔で事実のみを淡々と語る従姉の姿に、現実味がいやが上にも増して来る。
 今、鏡で自分の顔を見たら、きっと顔面蒼白になっているだろう。

「ま、本気(マジ)かよ。こんな事って……」

 宏は言葉を完全に失い、呆然と立ち尽くしてしまった。
 何か云おうとして口をつぐみ、哀しそうな瞳を向ける優に最後まで気付かぬままに――。


                                            (つづく)


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